ガッカリほっこり再びガッカリ

asakusa浅草の街。すっかり外人観光客の街になった。
寿司食べ放題の店には朝から行列。中国人を当て込んだお土産物屋さんなんて、日本人なんて相手にしちゃらんないよ的ハンターのごとき目で行く人を見ていたりする(笑)。
かつて浅草を支えたシニアな観光客は、肩身狭げでさみしい限り。
よし、外人に日本を売ろう!
日本のいろんな産品を集めて売れば外国人も喜ぶし、行く場所なくしたお年寄りだって喜ぶだろう。何より産地はウハウハさ…、的、便乗丸出しの商業施設。「まるごと日本」を見たのだけれど。

百貨店の県産品を扱う催事が常設課された施設って感じ。
面白いけど、すぐ飽きる。
買うもののなさは絶望的で、しかもやってる人は県産品を知ってほしいとモティベーションの高い若者。そのモティベーションも中国人には役に立たず、お年寄りには暑苦しくて空回り。
何よりこれで町の人たちは潤うんだろうか?って思ってしまう。3年後にはないだろうなぁ…、って思いもしました。浮かれ騒ぎな、なさけなさ。

a wakao口直しにと変わらぬお店。「若生」という店。
若く生まれて「わかお」と読む。
父の名前が「芳しく生まれる」と書いて「よしお」と呼んだので、それでちょっと身近に感じてくるようになった。
「まるごと日本」の入ったビルの向かい側。
その壁みたいな大きなビルができるまでは、かなり裏路地めいた雰囲気にひっそり佇むって感じだった。
ところが背の高いビルを建てるために公開空地が大きくできて、だから見通しがきくスペースに生まれ変わった。だから突然目の前が開けて立地がまるで見違える。
とはいえ、お店の風情やメニューは昔のままで、爆買いブームとはまる無縁の、我が道行く的のんびり風情。
瓦の屋根がつきだしたとこに、白いのれんにガラリの引き戸。喫茶店というよりも、とんかつ屋とか洋食屋さんとか食堂っぽい雰囲気があってなんだかオモシロイ。不思議とこういう店の前には自転車がある。自転車で通える範囲にお店の人が住んでる証…、と思ってニッコリ。

a wakao nekoa wakao coffeeちなみにこの店。
マスコット的なネコがいる。
でっぷり太って、動くことが難儀なようで、のっそり、ゆったり。
動かないときっはぬいぐるみかと思ってしまうほどに静かで、ところがさっきまで寝てたかと思うと急に立ち上がったりと見てて飽きない。
飲食店に動物がいる。それを嫌う人もいるけど、こういう枯れた感じの風情の店では目くじらたててもしょうがないかと思ったりする。

コーヒーもらうと、昔ながらの酸っぱいコーヒー。乳脂肪分が多いミルクを落とすと固まり、マーブル模様が沈まなかったりするのがなんだかなつかしい。
いつも空いてて、ぼんやりするのにいい店なんだけど、カレーをかけたバタートーストが名物で、そのカレーを仕込み始めるとお店の空気がカレー屋さんのそれになる。ぼんやりしてると体全体がカレーの匂いになっちゃうことがままあって、ちょうど今日も、コーヒー半分飲んだところでカレーの仕込み。グビリと一気に残りを飲んで、次に向かって移動する。

 

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nankainankai curry午後から仕事でつくばにきます。
待ち合わせの時間までちょっと余裕があったので、駅上ビルのフードコートを見ることにした。
都心にいるとこういう場所になかなかご縁がないもので、郊外に出たときに必ずする勉強。
で、今日はびっくり。
「キッチン南海」ってお店があった。

神保町で行列ができるので有名な店。
気軽な値段でお腹いっぱいにしてくれる人気の洋食店の名前そのまま。
ただ「黒加裡」ってロゴの一部に書いてあり、すわ、これはパックリかと調べてみれば、「都内で有名なキッチン南海のカレーに特化したお店です」っていうではないの。

誰かが権利を買ったんだねぇ…。それにしてもフードコートブランドにしてこんなところに作っちゃうとは…、ってびっくりついでに食べてみる。
ロースかつカレーをご飯少なめ、辛さは3増し。それで780円。
ポケベル仕様の札を渡されしばらく待って、取りに行ったのがこの一皿です。

nankai cうーん、見た目からしてまるで違うもんね。
確かに黒い。
けれどキッチン南海のカレーは若干サラサラで、脂をたっぷり含んでいるけど、脂が固まり粘土を持たぬほどに熱々。
これは最初からぽってりしてて、脂の膜が張ってるものね。
しかも千切りキャベツがつかない。
キッチン南海のカレーには千切りキャベツが山盛りついてて、それで気持ちが落ち着くのです。これから体に悪いものを食べてお腹を満たそうというとき。野菜を一緒に食べればなんとか言い訳ついて、それでパクパク。心置きなく食べられる。

実際食べたら涙がでます。
こんなカレーでキッチン南海を名乗るのって、いったいどうしたことなんだろう…って。
小さな店の暑い厨房で、毎日汗を流しながらフライパンを振って料理を作ってる、髭ズラのあのあにぃさんたちはこれを本当に食べたのか。
食べてオッケーを出したんだろうか…、ってそれを思うとさみしくなった。
ただ、この店がこうしてカレーを得ることで、汗を流したあの人たちが金銭的に報われるのなら、それもあえてよしとしなくちゃいけないんでしょう。
なんだかいろいろ、考えさせられる出来事でした。しんみりです。

参考までにキッチン南海の本物カレーはどんな感じか、画像を貼っておきました。

 

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コメント

  1. いわし

    「まるごと日本」、徒歩圏内に住んでいて売り手の年齢に近いわたしには小規模なデパート催事場物産展として面白く、今までないタイプのコダワリ食材なんかも買えるのでうれしいです。ゴチャッとした感じも悪くない。でも確かにお年寄りや外国人への訴求は、ラインアップ的も作り的もないだろうなと思います。あと2階3階は浅草松屋上の「EKIMISE」みたいな閑散とした感じで微妙。
    酸っぱい昭和喫茶店のコーヒーって、正直美味しいとは思えないけれど雰囲気込みで「イイ」んですよね。とっても。「若生」は店内がおばあちゃんちっぽいのがイイと思います!あとマスターが作務衣なのもステキ。
    例えば本郷の「ルオー」とか行った時も思ったのですが(あっちはモーニングカレー)、ランチ前後は仕方ないですけどそれ以外のカレー臭はまったり感を損なう感じがしてニガテです…

  2. サカキシンイチロウ

    いわしさん。
    まるごと日本の2階、3階はおっしゃるとおり、あまりにゆるすぎて、なんでもっと浅草の街に集まる人のコトを考えて真剣にならないんだろう…、って思います。
    文化的すぎるといいますか、渋谷のヒカリエの上層階のハイソできどった感じがあるのがちょっと苦手。
    実はこの日、直後につくばエクスプレスに乗ったのですが、ボクの周りだけカレー屋さんのような匂いが恥ずかしかった。なやましい午後でございました。

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