カントンチャオメンナンゴクシュカ

東京駅のキッチンストリート。
手軽な贅沢をテーマにした超専門店ばかりを集めた食堂街としてスタートした。例えばボクが大好きなふかひれそばの専門店「頂上麺」が入ってる店。
出来たのは15年ほど前のこと。20ほどあるテナントが開業当時からあまり変わらず、入れ替わったのは数店だけというのが今どき珍しい。主力商品に特徴をもたせた専門店ばかり集めたからと言うこともあるのでしょうネ。
今日もふかひれ頂上麺はいっぱいで、どこか変わったお店に行ってみようと「広東炒麺 南国酒家」にやってきてみる。
南国酒家といえば東京を代表する老舗中国料理店。ボクとほぼ同い年の年齢で、創業当時から深夜営業のバーを併設したり、酢豚に日本で初めてパイナップルを入れたりと挑戦的なことを好んでするお店。

広東風のあんかけ焼きそばが名物の店でもあって、それをメインに気軽に広東料理を食べることができるお店がこのお店。開業当初は本当に焼きそばのバリエーションだけでメニューが出来てた。
ただやはりそれだけでは客層、利用動機が広がらなかったからなんでしょう…、広東料理の一品や炒飯、担々麺なども置くようになって今では小さな南国酒家のような感じさえする。超専門店は日本という市場じゃやっぱりむつかしいのか…、って思ってしまう。「この一品に命をかける店」よりも「あれもこれもある便利な店」を好む日本の不思議な風潮。オモシロイ。

焼きそばたのんでサラダ代わりにきゅうりと白菜の酢漬けをたのむ。
甘みも酸味もしっかりとした強い味付け。
なにより白菜と一緒に使った赤唐辛子がビリリと辛くて食欲わかす。
焼きそばにスープがついてくるのだけれど、スッキリとした鶏ガラスープにチリチリ玉子。
ふっくらやさしくお腹がポカッとあったまる。

そしてメインの五目あんかけ焼きそばがくる。オイスターソースの風味のあんをぽってりまとった海鮮類に叉焼、野菜。たっぷり麺を覆って器の中はまるで海鮮野菜の炒め料理をみてるよう。箸でさぐって持ち上げると、中からは麺。断面四角い蒸し麺を多めの油でこんがりと焼き、ところどころがパリッと焦げた揚げ焼き麺。食感もさっ。バッサリしていてツルツルしない。それがあんをしっかりからめて口へと運ぶ。なかなか旨い。

何より具材が豊富でしかもしっかり仕事をしたものばかり。包丁をいれて花をさかせたようなイカ。分厚いしいたけ、粉をまとわせ油通しをしたエビ、ホタテ。香港風の叉焼と食べてくうちにこれは麺の料理ではなく炒め料理のように思えてくるのです。
白菜、青菜、にんじん、たけのこ。野菜もたっぷり。
これだけ贅沢にできているのに値段はあくまで焼きそばの値段というのがもったいなくて、もしもこれの麺抜きにスープに漬物、ご飯にサイドの料理をつけたらいくらの値段が付くんだろう…、って思ったりする。大根餅をお供にもらってゆっくり味わいお腹は満ちる。ラーメン店は成立するのに焼きそば店というのがなかなか生まれないワケ。あれこれ考え、腑に落とす。

 

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コメント

  1. 太一丸

    数日前、まったく同じルートで南国酒家にたどり着きました。。
    明治神宮で子供の七五三をしたとき、田舎からきた親を原宿本店でもてなしたことがあります。
    そういえば中華で、そういった席をもつことが少なくなりましたね。昭和の風景でしょうか。僕は好きですが。

    • サカキシンイチロウ

      太一丸さん
      なにかめでたいことがあったときに、中国料理のお店で円卓を囲む。
      少なくなりましたネ…、中国料理ほどテーブルを囲む人たちの距離を近づけ気軽においしいものを楽しむことができる料理って他にないように思うのですけれど、もったいないなぁって思います。

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