オステリアナカムラで初々しさをたのしむ

オステリアナカムラが恋しくなって六本木。
同じ六本木の別の場所で、夫婦二人でやってらっしゃった小さなお店の頃からのおつきあい。
場所が移った新しい店は二人でやるにはちょっと大きい。
だから厨房に調理人がひとり入って三人体制。つい最近、その調理人が入れ替わった。
ニューフェイスは調理師学校を卒業したばかりの19歳。名前は千葉くん。自信のある仕事は責任をもって一人でこなし、不安なことはシェフに教えをこいながら一生懸命体を動かす。
専門料理という厳しい世界で活きていこうと頑張る若者って星の宝…、って思って思わず背筋が伸びる。真っ白なコックコートも眩しゅうござる。
季節のゴチソウ、冷たいスープをまず食べる。

グリーンピースのピュレの上に玉ねぎのピュレをふっくらのっけてスプーンですくって味わう料理。玉ねぎだけを食べると甘くて、これが野菜の甘みかとビックリするほど。グリーンピースは風味豊かでオリーブオイルの香りもくわわり緑の香りに口がすっきりしてくるステキ。
続いてモツの煮込みをもらう。牛肉の内臓のあれやこれやをトロトロになるまで煮込んでジェノベゼソースや辛いパプリカソースで味を整えながら味わう一品。ほぼ塩だけで味が整う牛モツの味わい深さにウットリします。なにより脂がおいしくて、唇同士がペットリ貼り付きモツの旨みに別れを惜しむ…、そんな感覚。焼きたてのパンで脂を拭って全部キレイにお腹におさめる。

肉が大好きなシェフの店です。
客席と厨房を隔てるカウンターに立派なスライサーが置かれてて、そこでハムを切り分ける顔が自然とほころぶさまにこちらもニッコリ。
薄切りにしたばかりのハムを一枚もらって、パンにまとわせパクリと食べる。
ネットリとした肉の食感、塩と脂の旨みにウットリ。

いつもに比べてメニューは少な目。
どうしたの…、って聞くと、ニューフェイスも混じってのなれないチーム。
お客様に迷惑をかけぬようにとメニューの数を搾ったんだという。
客席も全部予約をとってしまうと料理が遅れるおそれがあって、だから3テーブルは予約をとらずに営業という。
人を育てるには手間もかかるしコストもかかる。
それを敢えておそれずやる…、ってスゴイことだと感心します。

二つ目の前菜が千葉くんの手で作られる。
イカとトレビスの炒め物。
まずイカをフライパンで良くいため、ほどよく熱が入ったところでトレビスをたっぷりイカにかぶせるように振り入れ炒める。トレビスの色がキレイな紫色に変わってしんなりしてきたところで出来上がり。イカの香りと旨みがギュギュッと凝縮されてトレビスの苦味がイカの旨みをキリッとひきしめる。苦味がおいしく食べるにつれて食欲が湧く。クニュクニュとシャキシャキの異なる食感が互い違いにやってくるのも、またオゴチソウ。

パスタを2種類。
スモークしたカジキのスパゲティーというのが今日のおすすめ。
カジキマグロはサイコロ大に切り分けられてて、そのサイズ。ほどよき量にもかかわらずスモークされた深い香りがお皿の上に湧き上がる。
味は塩味。トマトとケーパーが酸味をくわえて、味をキリッとひきしめる。おかわりしたくなるほどおいしく、オキニイリ。

もう一種類はチーズのパスタ。太めの手打ちパスタをチーズだけを味をととのえ胡椒をカッカッ。パルミジャーノを最後にたっぷりおろしてかけて出来上がり。ゴリゴリとした歯ごたえたのしいパスタにたっぷりチーズがからむ。パスタの形をしたチーズを食べてるような感じにもうウットリ。パンでお皿に残ったチーズを拭って、きれいさっぱりお腹に収める。さぁ、メイン。

豚のルスティンネッガという料理。
厚みのある豚肉をこんがりと焼く。脂や水分が抜けて小さな穴があくほどこんがりと。
それを白ワインとベーコンと一緒に煮込んで仕上げる料理。
東京でこの料理をずっと出し続けているお店はおそらくここくらい。
ある意味、ここのスペシャリテ。
今日、これを食べたかった理由が実は、千葉くんが今一生懸命自分のものにしようと頑張ってる…、っていうのをFacebookの投稿で見てて、どうしても食べたくて。
見事な出来栄え。ふっくらとしてやわらかで、肉はジューシー。ザックリ歯切れて口の中に脂と旨みジュースがジュワリとほとばしりでる。唇ヒヤッとするほど脂がおいしく、その脂をまとって仕上がったローストポテトのまた旨いコト。
お腹ほどよく満たされて、お店の中はかなりにぎやか。デザート食べるのがまんして、お暇しました。また来ましょ。

 

関連ランキング:イタリアン | 六本木駅乃木坂駅六本木一丁目駅

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。