なんで料理がどんどん甘くなってくんだろう…。

ランチを西新宿のハシヤ。野村ビルの地下にあるスパゲティの専門店。
日本料理としてのスパゲティの名店のひとつ。
老舗でもあります。壁の穴からはじまった、たらこや雲丹をソース代わりにしたスパゲティがずっとメインの商品で、トマトソースやミートソースのスパゲティもあるにはあるけど炒めて仕上げるモノが主流。
大きな茹で釜が厨房にドンッと置かれてそこで麺が茹で上がる。茹で上がった麺は一旦、ザルに移されそこから箸で適量とりあげ最後の仕上げをする仕組み。釜の周りはうどん屋のよう。大きな中華鍋で炒めて仕上げる様子はまるで中華料理のお店の如し。
ただひさしぶりに来たココ…、ムードがちょっと暗く感じる。人がすっかり変わってしまったようにも見えて活気にかける。かつてならば開店と同時になだれ込むようにお客様がやってきていた。今日は静かでびっくりします。

まずサラダ。
缶詰のツナをマスタードドレッシングと和えてたっぷりレタスやきゅうり、セロリのサラダにかけたツナサラダ。
大好きだったのだけど、なんだか味が変わった。
マスタードのヒリヒリするような辛さがなくなり、スイートコーンの甘みが強い。
大人味からお子様味にダウングレード…、って感じの仕上がり。
スパゲティはココで一番のオキニイリの「ミックス」。
ベーコン、ソーセージ、アサリにエビ。しめじにしいたけ、ピーマン、トマト。具材をタップリ加えつつ、ニンニク醤油で炒めて仕上げた焼きそばみたいなスパゲッティ。壁の穴では「若者のアイドル」っていうちょっと気恥ずかしい名前で売られてて、ずっと昔からのオキニイリ。

…、だったのだけど、これも甘い。スパゲティを食べてるはずが、口の中にすき焼きの〆のうどんがいるんじゃないか…、って思ってしまうほどに甘いのですね。
確かに甘みは旨味の中核をなす味で、例えば肉を焼いておいしいのは脂が甘みに変わるから。料理の作るにあたって素材が持っている甘みをいかに引き出すか…、ってところが肝心だったりするのだけれど、不自然なほどに甘い料理は安っぽくって下品に感じる。しかも麺に味がからみやすいよう乳化剤でも使ってるのでしょう…、口の中がネトネト粘る。
日本の料理はどんどん甘くなっていく。特に安売り料理の味の骨格は砂糖でできる…、だって最も安いうま味調味料が砂糖だからネ。でも今日ここでボクが払った代金は2500円近くという、そんな値段で砂糖料理を食べなきゃいけない。なんてこったい…、って哀しくなっちゃう。オレガノやタバスコ、粉チーズを総動員して味を変えるも味は変わらず撃沈す。

 

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コメント

  1. めるば

    えええ、遂にハシヤまで((((;゚Д゚)))))))久々に「タラコウニイカ」が食べたいな〜と思っていた矢先に。
    西新宿じゃない他の店舗、ありませんでしたっけ?他の店舗も同じ事態になってるってことでしょうか…

    • サカキシンイチロウ

      めるばさん
      幡ヶ谷の分店さんかなぁ…、案外、分店の方が昔らしさを守ってくれているかもしれません。
      もしかしたら、タラコウニイカは昔のままかもしれず、でもツナサラダのドレッシングが、メニューには「マスタード味」とかいてあるのに、まるでマスタードの風味がなくて甘ったるくなってしまっていることを考えると、今の時流にあわせた味つくりをはじめたのかもしれません。

      • めるば

        代々木八幡のハシヤ、もしかして閉店してる?
        今更気づきました…

        • サカキシンイチロウ

          めるばさん
          建物が古くなっちゃったから…、というのが直接の理由だったそうです。4月のコト。本当に残念です。

  2. Eiko

    先のコメントの方と同じく、ええぇぇついにハシヤまで!と思ってしまいました。
    幡ヶ谷の分店はどうなんだろう…

    変わるわけない、と思うお店の一つなのにびっくりです…

    • サカキシンイチロウ

      Eikoさん
      調理上の誤差という生易しいものでなく、今日の状態はまるで違ったお店の料理のように感じられました。特に中華鍋で仕上げる今日のスパゲティのような料理は、誰にでも簡単に味が整いやすいように工夫されてしまったのかもしれない…、って感じました。
      幡ヶ谷の分店。
      あるいははしやで修行された方がやってらっしゃる、四谷のなかがわ。
      そういうお店でDNAが受け継がれることを祈るばかりかもしれません。

  3. かーこ

    私が勤める名古屋にもハシヤの流れを汲んだお店はあります。タラコスパゲティが食べたくなってしまいますね。甘い料理が増えてきた頃と、家庭の調味料に「めんつゆ」を使い出した頃がかぶるのではないかと、密かに思ってました。根が深い問題ですね〜。

    • サカキシンイチロウ

      かーこさん
      たしかに甘い調味料が増えました。
      料理を使っていて、砂糖を使っていないのになんでこんなに甘いんだろう…、と思う理由はめんつゆやだしパック。
      先日、何気なく使ったブイヨンキューブが妙に甘くて、こんなところまで甘くなってしまったんだ…、とびっくりしました。輸入食材店で買う、海外のブイヨンはそんなことがなく、日本の独特を感じました。

  4. ボルテイモアのおかず

    横から失礼させて下さい。
    昨日、歯医者で痛い思いをして帰ってきたら、何だか無性に甘いものが食べたくなり、いけないと思いつつアイスクリームをペロリ。体が疲れた時や、気分が落ちこんだ時って、甘い物に手がでませんか?
    それでハっとしたのですが、もしや東日本大震災後から、日本全体にそういうムードがあって、無意識のうちに甘い味に癒されたくなってるとか—?。
    深読みですネ、失礼(笑)。

    • サカキシンイチロウ

      ボルティモアのおかずさん
      甘い物を食べたときの幸せな気持ち。
      たしかに、そういうしあわせを求めるムードが日本にはあるのかもしれません。
      でも…。
      甘いものは甘い物。
      おいしいものは、おいしいもの。
      食後のデザートはどんなにあまくてもいいけれど、、そのデザートをメインディッシュの上にのっけるような食事はしたくないなぁ…、って思います。

  5. 匿名

    なんとハシヤも…。
    もしかして東京もうだめなのかもしれません。人が増え過ぎて、最大公約数的な、フードコートにあるようなお店と味ばかりになりつつあるように感じます。
    好きだったお店は閉店か味がきわめて劣化するかのどちらかばかり。月に2、3度は悲しい思いをするようになりました。
    生粋の関東人なのに西に出張に行くと心からほっとします。味に対する矜持が感じられます。

    • サカキシンイチロウ

      匿名さん
      確かに関西から瀬戸内、九州へと旅すると料理の味がおだやかでホッとさせられることが多いですネ。
      関東にも昔ながらの味を守るお店が沢山あって、そのためにならば少々値段が高くなってもしょうがない…、と思うのですネ。
      でも東京のビジネスは厳しい…、負けないようにという努力が、飲食店の基本の基本、「味」を脅かしてしまう。なんともったいないことだろうと思います。

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