なごやの弁当名古屋で買って、頂上麺であったまる。

新幹線に「なごや」をもって乗り込んだ。
日本で一番好きな駅弁。父が好きだった駅弁でもある。
六角形の弁当箱に色とりどりのおかずがギッシリ。
最近、こういう「幕の内」系の弁当がすっかり少なくなったよなぁ…、ってしみじみ思う。幕の内というのは「主役なきアンサンブル」。すべてのおかずが等価、同等にふるまうところが特徴で、それらすべてが一定以上の実力であればそのハーモニーはすばらしい。けれどなにかひとつでも残念なものがあってしまうと他のおいしさも台無しにする、とても危険なスタイルでもある。
だから最近は、メインの料理をドンッと置きその実力で他の料理の不出来をごまかす…、ような弁当が主流になってる。ご当地料理や話題の食材をメインにすえればいいんじゃないのって安直な商品作りの対局にあるこの弁当。

アナゴとごぼうの八幡巻やらさわらの焼き物。海老や野菜の炊き合わせ。あられをつけた揚げ物やフライにかまぼこと、どれもご飯のおかずにうれしい料理。
何が主役というわけでなく、けれどどれもが主役の実力がある。
弁当なのに味がやさしく、喉が乾いてしまうようなことがないのがありがたい。刺激的ではないけれど、普通の料理が普通においしいって素敵だなぁ…、食べかさねるとどんどんおいしくなっていくのも、普通の料理だからでしょう。守口漬けを最後にパリッ。静岡県に突入です。

東京につき、家に帰る前にあたたかいものを食べたく「頂上麺」。
東京駅の周辺でここほどお腹と気持ちの両方を熱々にしてくれるお店は他にほぼないんじゃないかと思って、それでいそいそと…。
フカヒレ入りのとろみスープでグラグラ炊いた土鍋煮込みのスープ麺がここの名物。麺がまるでフカヒレのようにふるまう様がなまめかしくて、たしかにおいしい。
ただボクが好きなのはそのトロトロのフカヒレスープを焼けた陶板にのせた麺の上にかけて仕上げる焼きそば。
今日もそれ。目の前でスープをかけてジューッと焼けて爆ぜる様子がおいしげで、テーブルの上でもしばらく湯気を猛烈に吐き出しレンズを曇らせる。

麺は基本しんなりで、ところどころが焦げてパリパリ。とろみスープとなじんでトロンととろけるものの焼けた食感はずっと残って歯触りたのしい。
オイスターソース味のスープがおいしく、小さなフカヒレの繊維がありはするけれど、とろける麺がなによりおいしい。胡椒をたっぷり、レンゲにひと口分を入れ黒酢を垂らして風味をコクを加えてトゥルン。
器はずっと熱々で、けれど時間が経つとスープの表面は冷めてゼラチンの膜が張る。ふうふうすると、膜がさざなみのように皺になり、それもすぐに熱さでとろけて消えていく。とろりと麺が喉を撫でお腹ほっこり、気持ちも体もあったまる。

 

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コメント

  1. 食欲

    いいですね、この駅弁。幕の内や助六なんて、子供の頃ははずれのお弁当。折のにおいもいやだったなー。でも今はこういうお弁当がいいですね。冷めている、へたすると冷たい駅弁が大好き。暖めなおさないからこそおいしいご飯とおかず。手間ひまかかってますよね。ちなみにほか弁はのり弁派。安っぽい白身魚のフライとちょこっとおかず。ベストはちくわの磯辺あげ。できれば常温で。

    • サカキシンイチロウ

      食欲さん
      お弁当に関して、ボクと食欲さんはほぼ同じ好みなんだなぁ…、とコメントを拝見して思いました。
      ほか弁ののり弁。ご飯と海苔の間の甘辛い鰹節の佃煮みたいなのが大好きで、ただ海苔がスパッとちぎれてくれないので下手をするとあっという間に海苔部分がなくなっちゃう、その情けなさも好きだったりします。
      この幕の内。父が教えてくれなければ良さを未だに知らずにいたのかもしれません。

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