お江戸のせいろう、朝の蕎麦

a yabu朝を東京駅からはじめる、今日の朝。最近多いコトでござんす。
ちょっと変わった店で朝をとりましょう…、と、それで「江戸せいろう蕎麦」という店にくる。

神田の老舗「藪」がプロデュースしたお店。
小さな通路を挟んで6軒。
同じような規模のお店が並ぶ中で、3軒が老舗、あるいは有名シェフのプロデュース。中でも一番、ズッシリ歴史を感じる店がこのお店。
歴史の重さを中和するよう、店のしつらえはかなりモダンなタイル貼り。
明るく和風パスタでも食べられそうな雰囲気もあり、けれどやっぱり和食な雰囲気。上手に店を作るなぁ…、って感心します。
でもこの店も、あと数日でこの界隈のリニューアルにて、終わってしまう。そう思ったら、もったいなくもあってしんみりさみしさ感じる。しょうがない。

a yabu asa朝のメニューはせいろにかけに天ぷらそば。
かなり絞りこまれたメニュー構成。にもかかわらず、ときに時間がたっぷりかかってしまうのが、エキナカ施設としてはいささか使い勝手の悪いとこ。
今日も何人か、お客様が途中で席をたって帰った。何分くらいかかりますからと、事前にエクスキューズを入れればいいのに。
エキナカの蕎麦と言えば時間をかけずにチャチャッとお腹を満たせる場所と思って当然。勿体無い。

ココの一番の売り物が「天おろし」で、今日はそれ。大きな丼に蕎麦。
冷たくキリッとしめたのをこんもり盛って、上に水気を絞った大根おろし。それをベッドにエビの天ぷらという料理。
薬味のネギにわさびにタレ。薬味の皿の下には蕎麦猪口でひと揃え。
さぁ、どう食べようかといつもちょっと迷うのです。ぶっかけ蕎麦のようにしようか、それともせいろのように食べようか。この提供方法だとその二種類の食べ方をイメージできて、つまり「迷うということを楽しんで」というコトなのかもしれません。まずは上からタレをかけまわし、ぶっかけ蕎麦のようにしようかと思ってタレをかけてみた。

a yabu sippoa yabu tukedareんの少々、試しの分量。
タレがかかったとこだけをたぐってみたら、違和感感じる。
本来辛味が強いタレ。
それが不思議と甘みがペットリ、麺にからんで蕎麦の風味を殺してしまう。

ならばと猪口に大根おろしをうつしたところにタレを注いで、そこにトップリ浸してすする。
空気がたっぷり混じって口に入ってくるからなのかなぁ…、蕎麦の香りもタレの風味も段違いに鮮やかで、しかも味わいふくよかなことにビックリします。
先達は、長い時間をかけて試行錯誤の末にこういう食べ方を、発見したのネ…、と今更ながら思い知る。

a yabu sobatuyuエビがあるとないとでは、まるで違った料理になっちゃう。
それほどエビって存在感があるのでしょうね…、もしこの料理からエビをとったらただのおろし蕎麦になる。おろし蕎麦もときにおいしい蕎麦ではあるけど1日分の元気を体にチャージしたい、朝の食事にはやはりめでたきエビの姿がありがたい。
ムシャムシャ、エビの天ぷらくらい、最後に尻尾のところを残し、さて、これをいつ食べてやろう。
食事の〆にとっておこうかと思うもやっぱり食べちゃった(笑)。
カリカリシャキシャキ香ばしく、油が舌を濡らすシアワセ…、そして蕎麦。

緑ががかった風味豊かななめらかなそば。わさびをのっけてネギは使わずトプンとタレに浸してスルリ。
味わいたいのにあっという間にお腹の中におさまって、お鉢の中は空っぽになる。
蕎麦湯を下さいと湯桶をもらい、猪口に注いでコクリと味わう。蕎麦を浸して食べてたときには感じぬ昆布の旨みが口に広がって、明るい酸味でしめくくる。
体が軽くなるような、おいしい朝になりました。

 

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