2021年のお正月

新しい年のはじまり。雑煮を作ってはじめる。
まずタナカくんのお供え物の雑煮から。
うちの雑煮は醤油味。かしわを炊いて野菜も一杯入ってた。長崎の雑煮には大きな椎茸が入るし出汁も椎茸味のが多いけど、ボクは嫌いだから鰹節の出汁だった。
そう言って雑煮用のかしわを買いに行ってたけれど、伊勢丹の鶏肉売り場は大行列で何年目かに、かしわじゃなくて鰤でいいやと鰤に丸餅、かまぼこに茹でて絞ったほうれん草が定番雑煮になっていた。
朝はボクの家の白味噌仕立て。昼は彼の鰤雑煮。一月一日はそういうのんびりとした一日でした。小さなお椀に餅一個。煮た大根にかまぼこに鰤。枝付きの小さなみかんをお供にし、チョンボの庭には淡いピンクのバラを飾った。おはよう、新年。召し上がれ。

さて白味噌仕立ての雑煮を作る。
ちょっと京風。京都であれば海老芋を炊いて餅をのっけて…、となるのだろうけど、母がイモ類があまり好きでなく芋の代わりに煮た大根を土台に使う。
昨日炊いて、一晩出汁の中で休ませて味がしっかり入った大根。
手鍋であっため、別の鍋に出汁をはる。
餅は丸餅。出汁に沈めてクツクツ炊いてやわらかくする。
残りの具材はかまぼこ、茹でた糸三つ葉。
お椀の真ん中に大根を置き、上に餅を2つのっけて汁を貼る。甘い西京味噌を溶いて仕上げたぽってりとした汁でかまぼこ、結んだ三つ葉を飾って完成。
ぽってりとした味噌の汁。ぽってりとした炊いた丸餅。ふっくらご飯を炊き上げてクチュっと潰れる赤蕪の酢漬けをお供に朝ご飯。

今年のおせちは「魚久」さんのをお願いしました。
伊勢丹から毎年恒例のおせちのパンフレットが届いたのはいつ頃だったんだろう。6月?7月?夏になるかならぬかのことで、そのときはどうしようもないくらいに気持ちが混乱してしまってた。果たして来年はおせちを食べることができるんだろうか…、って心配になってしまうほど。
でもとりあえずおせちの注文をして、お金を払ってしまったんだからそれまで生きていかなくちゃ…、って覚悟を決めて注文したのを思い出す。

二段重ねの桐の箱。桐の香りが正月の朝にすがすがしい。
昆布にくわいにレンコン、黒豆。田作り、金柑、蒸したアワビと正月料理がキチッと几帳面に詰められている。味はきっぱりとした江戸風で、醤油と出汁の風味が鮮やか。なによりさすが魚久と感心するのが、魚の粕漬けがこんがり焼かれて入っているとこ。銀鱈、鮭に鰆の切り身と3種類。それぞれ4枚づつ入っててご飯のおかずにちょうどよい。

夜はおせちの残りをおかずにしながらのんびり食べる。
雑煮の残りのブリの切り身を甘辛に炊く。煮付けた直後に生姜をいれるのを忘れていたって気づいて擦った生姜を添えた。新春からぼんやりしてました、チョンボなり(笑)。
餅をクツクツ出汁で煮込んで、一緒に拍子木切りにした大根。かまぼこと生麩を入れてコトコト煮込んで味噌を溶く。雑煮というより餅入り味噌汁みたいな感じ。
餅のデンプンが溶け込んでとろみのついた汁が沸騰するときのボコンボコンと大きな泡ができては潰れる音がおいしく、お腹も体もあったまる。
数の子が大好きで大好きでしょうがなく、おせちに入っていることはわかっていたんだけど別に買ってカスカス食べる。正月から「カリカリ」は縁起悪いから漬物は駄目。カスカス数の子を食べなさいな…、っていうからそれでカスカス食べる。
松前漬けにもたっぷり数の子。今年は一生懸命豆に働きましょうと黒豆。ほどよき新年、夜のこと。

コメント

  1. 志乃

    サカキさん、今年もよろしくお願いいたします。
    昨年はサカキさんのブログで学び、楽しませて頂きました。ありがとうございます。
    コメント欄も、サカキさんのお人柄で心温まるやりとりが多く、他の方のコメントも楽しみに拝見しております。

    昨年は大変な事でしたね。この季節の辛さ、お察しいたします。
    美味しい物と、それを創り出す人達の心がサカキさんを癒やしてゆく姿を見守らせて頂きます。
    ゆっくり、そしてしっかりと快復されて下さい。
    2021年も、ご活躍楽しみにしております。

    • サカキシンイチロウ

      志乃さん
      2020年はこのブログにいただくコメントと、おいしい料理やステキなお店の人たちに助けられた一年でした。
      今年もちょっとグズグズするかもしれませんが、無理せぬようにちょっとづつ前に向かっていこうと思っています。
      新しい年にこうしてコメントいただけるのも本当にありがたいこと。今年もよろしくお願いいたします。

  2. チキタン

    サカキさん
    あけましておめでとうございます

    お雑煮って
    ほんとに出身地によって違いますし
    その家庭によっても特徴ありますよね
    タナカくんとサカキさん
    朝と昼で仲良く2種類楽しまれたんですね
    タナカくんも喜んでますね
    魚久さんのおせち、お魚が美味しそう
    目で楽しませて頂きました
    今年も無理されず頑張り過ぎず
    たまには立ち止まりながら
    そして時に官能的に 笑
    お願い致します

    • サカキシンイチロウ

      チキタンさん
      考えてみれば2人で生きていくための約束事がたくさんあった。
      ボクの家の約束事や、タナカくんの人生における約束事を持ち寄って、2人の約束をたくさん作り、それを守ることで一緒に生きてるという実感を味わっていたような気がします。
      1人残された今も、約束事は約束事。
      それを守り続けることも大切な供養だなぁ…、と思いました。
      今年も一年、マイペースでがんばります。

  3. junchan

    サカキさん
    今年もブログを楽しく拝見させて頂きます。
    よろしくお願いいたします。
    お正月の「カリカリ」は縁起が悪いのですね。
    おせちの数の子、松前漬け、黒豆。私も大好きです♪

    • サカキシンイチロウ

      junchanさん
      母はカリカリするものが大好き。カスカス系は気持ちが悪いと普段は食べない人でしたが、正月だけはカリカリを封印して、カスカスを食べてました。
      大人って大変だなぁ…、と子供ながらに思っていましたが、験を担ぐことが大人になることなんだなぁと大人になってしみじみ思いました。
      今年もよろしくお願いします。

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