2年待ってきて次の予約は3年後!…岐阜の「魚末」

夕食を食べに岐阜にくる。
岐阜羽島で新幹線を降りてそれから車でビューンと1時間半ほど。「関市」という小さな街にある「魚末」という小さなお店にくるためだけにやってきました。しかも今日のこの会食の予約をとったのが2年前。地元の人がはじめてココに連れてこられて感激し、次回の予約をとそのとき一番早いタイミングがなんと二年後の今日だったという、それほど予約がとれないお店。ワクワクします。
案内された座敷の真ん中に小さなテーブル。囲炉裏のように中が大きくくり抜かれ、ガス台の上に大きなお釜。中に熱湯を注いで蓋する。真ん中の穴から蒸気が噴き出して、そこで蒸される料理が名物。

いらっしゃいませと最初にくるのが活き鮑。元気にくねくね、殻の上で動くアワビをせいろごとのっけて、蓋して蒸し上げる。テーブル脇にデジタルタイマー。14分とセットされてて、ピピッとなったら出来上がり。
14分を刺し身を食べつつじっと待つ。中はさぞかし地獄のような景色なんだろう…、と開けてみたくなるのを我慢し甘エビに湯葉。もともと本業が仕出し屋さんということもあり、刺し身の醤油が弁当用の醤油容器に入っているのにちょっと笑った。
ご主人をはじめ家族でやってる店だから、省略できるところは省略というこの割り切りが潔い。ちなみにみんなが頭を垂れて見ている先は真鍮で覆った囲炉裏の炉の中。蒸し器からポタポタ滴り落ちるお湯がなんだかおいしげで、あっという間の14分。

ここから先がうまく工夫されてるところで、次のせいろが運ばれている。
出来たアワビのせいろを持ち上げ、次のせいろを下におき、蓋して蓋の上にアワビのせいろを乗せて味わう。アワビ以外の蒸し時間はどれも6分。食べてる間にほぼ仕上がって…、の繰り返し。

ちなみに今日のコースは11せいろ。テキパキ食べれば90分ほどで一通りという、なんともよく出来たお献立。
感心するのは仕組みだけじゃなく、料理も見事。
例えばこのアワビのやわらかくっておいしいコト。一度も凍らされることなく活きてたアワビです。蒸すとムチュンと前歯が触った途端に自分で切れ始めてく。肝まで甘く、殻に残ったお湯まで旨い。これを食べられただけでもここまでやってきた甲斐があったというモノ…、ウットリします。

続いてえのきに生麩の蒸し物。
えのきは何もほどこさず、ただただ蒸しただけなのに甘い。ザクザク歯切れてとろける感じも見事でニッコリ。
生麩の上には生姜味噌。風味豊かで生麩の甘みや香りが引き立つ。
塩漬けにして水気を抜いた塩豆腐で、明太子を挟んで海苔で包んだ1品。

豆腐の弾力、蒸された海苔がとろける感じと、はじめて食べる不思議な味わい。
黄色いれんげの上にはワンタン。
タコを潰したモノが入って味わいまるでたこ焼き。なのに蒸された生地がトゥルンとなめらか。蒸してる間に貼りつかぬようワンタンの下に蓮根一枚。こういう工夫がありがたい。
カブと枝豆の饅頭に、チーズと餅を湯葉で来るんだチーズ餅。
どちらも味わい濃厚で、特にチーズ餅は自分で作ってみたいと思える、簡単なのに創意工夫に満ちた料理で感心します。

鶏肉団子と玄米団子を串に刺したの…、鶏の団子はフワッフワ。玄米団子はとろけてなめらか。同じせいろで同じように蒸されて同じ形にして、これほど食感が異なるモノができてしまうというのにビックリ。
百合根と芽キャベツの乗ったレンゲの底に昆布。これが蒸されて蒸気に旨味を吐き出して百合根、芽キャベツをおいしく仕上げる。レンゲの中で出汁が生まれて調理する…、ってステキと思う。
アスパラガスの肉巻きに、さつまいもでくるんだカニ肉と脂や芋の甘みを味わう料理が続く。大きなハマグリは蒸せばおいしくなるのはわかる。ところがもずくに出汁を注いで蒸した料理が、とろろそばを食べてるような味わい、食感がするのに驚く。

分厚いしいたけに真鯛にトマト。
生湯葉にゴマ、鶏肉と大葉をキャベツで巻いた料理と素材の持ち味を最大限に引き出す料理と続いてそろそろ〆に向かって飛騨牛がくる。
モヤシの上に薄切りにした牛肉を置き、蒸気にかけるとモヤシの匂いが噴き出してくる。
仕上がった肉でモヤシをくるんでタレにからめる。
タレは2種類、ポン酢に生姜をタップリくわえた出汁醤油。どちらも味わい濃厚で、特に生姜醤油の容赦なきほど生姜の味がするのにお腹があったまる。
最後のせいろは桜の葉っぱの上にのっけた団子と野菜。
とうもろこしに菜の花、銀杏、お麩と華やか。すぐそこにまでやっと近づく春を予感させ、目のゴチソウでお腹も満ちる。

〆に炊き込みご飯に茶碗蒸し。どちらもしっかりとした出来栄えで、特に茶碗蒸しの出汁がおいしくみずみずしいこと。敢えて汁は出てこない。考えてみれば蒸し料理。蒸気をタップリお腹の中に一緒に食べたことになり、しかもレンゲや器にたまったお湯が、みんなおいしくだから汁は必要ない…、というコトなんでしょう。
食後の水菓子が細工を施したかわいい苺に甘いみかん。そしてスイカというのが意表をついて、たのしい食事の幕引きとする。
次の予約をしましょうよ…、と聞いてみるとなんと今度は三年後。2021年の3月吉日に予約を入れた。そんな先の予約を安心して入れられる。しかも三年後も同じメンバーでこの食卓を囲めるんだ…、とそのシアワセにニッコリしました。オキニイリ。

 

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