12年目のtokiaの「きじ」

東京駅に新幹線でつき、家に帰る前に食事をしておこうとそれで東京ビルにやってくる。東京駅と有楽町駅のちょうど間に位置するビルで、地下に魅力的なレストランが数軒。開業当初は大阪に本店のある繁盛店がメインのテナント構成。けれど大阪で人気があるからと逝って東京でも人気が出るかというとそうでもなくて、何軒かは入れ替わった。生き残ったお店のひとつ。お好み焼きの「きじ」による。
お好み焼きの気分だなぁと思って来るといつも行列。いつもガマンしてたんだけど今日は早めの時間帯。ほんのちょっとだけ待ってお店の中に入った。

このビルができたのが12年も前のコト。
だからこの店ももう12年。大阪のお店から暖簾分けのような形でやってきて、立派に繁盛を持続している。
スタッフも12年前からずっとココにいる人が沢山いて、がんばってるなぁ…、ってニッコリ思う。
12年といえば生活の環境も変われば家族構成が変わった人もいるに違いなく、そういう人生をこの店がずっと守っていたんだと思うとしみじみ、スゴいコトだと感心します。
ビールをたのんで、キムチの盛り合わせとキュウリの浅漬けをもらって待ちます。鉄板の前でキュウリを齧るって、なんかどっかでバーベキューを食べるみたいな気持ちになってウキウキしてくる。白菜キムチとチャンジャ、サキイカのキムチが揃った盛り合わせは、どれもが辛く、なのに酸っぱかったりコリコリだったり、甘辛味でしっとりしてたり、多彩な味わい。オモシロイ。

テーブルひとつひとつに鉄板が埋め込まれている。
けれどお好み焼きはお店の人が焼いて持ってきてくれる。大阪スタイルの、プロの手わざを味わうことができるシステム。
テーブルの鉄板は焼きあがった料理が冷めぬようにという配慮。あるいは好みの焼き加減に仕上げるためのモノというのが、なんとも贅沢。
遠目に眺める調理人の手際を見ているだけでお腹がすいてくる。

できた料理は大きなちりとりみたいな道具にのせてやってきて、ヘラを使ってソーッと鉄板の上に滑って移す。
焼かれた形のままスーッとソースの跡をビッグちりとりに残しながら、鉄板に触れた途端にジューッと湿った音がする。

音と一緒におびただしい量の蒸気がブハッと噴き出し、ソースが焼けるおいしい匂いでテーブルの上が満たされる。ボクらのテーブルの周りでも、あっちでジューッ、こっちでジューッておいしい音と一緒に匂い。お腹も空きます、喉が鳴る。

最初にきたのは「すじモダン」。
ココのモダン焼きはちょっと特別。
一般的なモダン焼きはお好み焼きと焼きそばを合体させた食べ物。
つまり粉もの。
形もカチッとお好み焼きのような形をしているのだけど、ココのモダン焼きは形定まらずトロンとしてる。

基本は焼きそば。
だから粉ものというよりも、麺ものって呼んだほうがしっくりとくる。コテでザクザク切り分けて、麺が短くなってしまうと一層麺の卵とじって感じが際立つ。

太めの麺に千切りキャベツをたっぷりくわえソースでしっとり焼き上げたものを、よく溶きほぐした玉子にほんの少しの粉を混ぜた生地と一緒に焼いてく。
玉子が半熟状に固まって、焼きそばを具にしたオムレツみたいに仕上がる。
ならばオム焼きそばのようかというと薄焼き玉子でくるんで仕上げたわけじゃないから、まるで別物。
焼きそばの卵とじとでも表現するのが一番居心地よい料理。

玉子の香りや牛すじ肉の食感、風味。焦げたソースの香りがおいしくふっくらとした玉子が麺の食感ひきたてなんともおいしい。
しばらく鉄板の上に置いとくとトロトロだった玉子まみれの生地がかたまりバラバラだった麺がカチッと固まっていく。そういうところはちょっともんじゃを食べてるみたいな感じでもあり、つくづく不思議な料理と思う。

おいかけお好み焼きが到着。「豚もやし」っていうこれもここ独特のたのしい料理。
キャベツの代わりにもやしたっぷり。それがシャキシャキ、口の中をみずみずしくする不思議な食感。これも生地は最小限で、ソース味のもやし炒めを食べてるみたいな噛みごたえ。時折しっかり焼けて脂がサクサク壊れるような豚肉がコクと旨みを吐き出して、玉子と一緒になってちらかる。
キムチと一緒に食べると辛味と酸味がくわわり、ビールのお供にぴったりとくる大人味になる。野菜を一杯食べたっていう充実感にニッコリします。ココにしかないものがあり、ココにしか無いものがずっと守られてるってステキだなぁ…、と思う夜。

 

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