101日目の朝。100日目のティンフック

フレンチトーストをやこうと思って昨日の夜から準備をしといた。
6枚切りのバターをたっぷり含んでブリオッシュ状に焼けた食パンに玉子に牛乳。
バニラエッセンスは使わず代わりに胡椒を挽いて香りをつける。
パンが2枚ちょうど収まるお皿に入れてラップをかけて冷蔵庫の中で一晩休ます。
卵液をパンに染み込ませるいろんな方法が紹介されているけれど、ボクはやっぱりこのやり方が一番と思う。だって明日の朝はおいしいフレンチトーストを食べることができると思って、ベッドの中でニンマリするのが醍醐味の料理ですもの。果報は寝て待て。
すっかり卵液はパンに吸い込まれそれをそっとバターを溶かしたフライパンに移して焼く。手荒に扱うとパンが崩れてしまうから、やさしくやさしく。両面をこんがり焼いたらお皿に移し、マーマレードを添えて食べるのがオキニイリ。
美味しいカフェラテをお供に食べた。7月最後の朝のこと。

大切な人を亡くして100日目の夜。ティンフックでご飯を食べた。
お店が入ってるビルに入った途端に、子供のはしゃぐたのしい声が聞こえてくる。
どうしたんだろう…、って二階に上がってお店に入るとベトナムかあさんのお孫さんが晩ご飯を食べていた。
さみしい夜にはこういうあったかでにぎやかな空気がとてもありがたい。
お孫さんたちの写真に囲まれたお母さんの肖像画。タナカくんが描いた絵で、これをきっかけに身近な人を絵で表現することに注力しはじめ、結果、浮世絵肖像画っていう新しいジャンルを拓きつつあった。夢は果たせず残った絵はほんの少し。もったいない。
ここに来るといつも必ずたのんでた揚げ春巻きと鳥カレーを選んでたのむ。
家で仕事をすることがほとんどだった彼にとって、ここのお弁当はたのしみのひとつでもあってボクよりずっとおかあさんにお世話になってた。

もう何日ぐらい経つの?と聞かれてちょうど100日目なんですよ。
二人で一緒に手を合わす。
ひとりだと家が広いでしょう…、って。
確かに広いのだけど彼のモノがまだ沢山あって、でもそれを全部整理してしまう気にもなれずにだから案外にぎやかなんです。
夢には出てきてくれた…、だとかご飯はしっかり食べてるのとか、いろんな話をしながら料理が出てきて、食べて、こういうなんでもない会話がすごくひさしぶりに感じがして、ありがたいなぁってしみじみ思った。
やっぱりここの揚げ春巻きはおいしいや。
ひと皿5本やってくるから、必ず一個は葉っぱにくるんで二人で両端を持ってパキッと割って食べてた。いろんなものを分け合える誰かがいるって本当にステキでかけがえのないもの。今になって実感します。

今の部屋に引っ越してきてから、一番たくさん食べたカレーがここの鳥カレーじゃないかなぁ…。油をほとんど使わず鶏ガラスープとトマトにスパイス。コクがあるのにさっぱりしていて、体の芯があったまりじんわり汗をかいてくるような味わい深さ。
鶏むね肉がバッサリ繊維にほぐれていくのがボクは好きで、彼は必ず手羽中をかぶりついて食べていた。ホロホロ壊れるじゃがいもにカレーをたっぷり含んでしっとりなめらかなにんじんと具材はシンプル。それがいい。
ご飯をスプーンにのっけて浸し、カレーまみれにして味わい食べる。1人じゃはっぱり多くてちょっと残しちゃったよ、ごめんなさい。
さみしくなったらまた来てね…、元気をだしてがんばってって背中を押された。また来ます。

 

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コメント

  1. ANJ

    サカキ様、はじめまして。
    一昨日、こちらのブログを見つけて以来、貪るように読んでいます。
    住んでる場所が近いからか、足を運ぶお店が似ていたり、美味しいと思えるお料理や佇まいみたいなものが似てるな、と勝手にシンパシーを感じています。

    大切な方を亡くされたとのこと、お悔やみ申し上げます。
    私も3年ほど前、大切な人を亡くしました。
    この料理、一緒に食べたかったな、などと思うことも未だ多いですが、ある意味、美味しい・楽しい食事に助けられています。
    食べることは奥深いですね。
    こちらのお店も、食べることが楽しくなりそう!
    (長文、失礼しました)

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      ANJさん
      いつも一緒に食べている気持ちになるにはまだまだ時間がかかりそうな感じです。
      大切な人をなくすということは、たのしい時間を共有する人をなくすということなんだ…、といまだにしみじみ感じ入っております。
      はじめまして、コメントどうもありがとうございます。

  2. よおぜふ

    ティンフック、行ってこられたんですね。
    ありがとうございます。
    (早く上京して食べたーい!)
    パリッパリの春巻に、鳥カレー!
    お店があたたかな感じで良かったです。
    お母さんの似顔絵。タナカさん作だったのですね。
    絵を描いてもらうって素敵なことですね。
    気づかされました。
    サカキさんが、次回は少し元気に、もりもりと残さず食べられますように。

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      よおぜふさん
      家にいがちで食生活が不規則になるタナカくんに、これを食べなきゃだめよ…、って野菜が中心のお弁当を見繕って渡してくれるんだよって彼がかねがね言っていました。
      近所のお店のおかあさんというよりも、ボクら二人のおかあさんとしていつも笑顔で対応してくれた。そう思うとどれだけ感謝してもしたりません。ありがたいことです。

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