黒豚そばのてんぷら左膳、鹿児島流

銀座インズという商業施設。
高速道路の高架の下にあって、その片側は有楽町、反対側は銀座という、つまりどちらでもないような場所がちょっと独特。
住所で言えば有楽町。
横に長い構造。道路で仕切られ1、2、3と3つのパートに別れるその1の地下一階。
通路の片側に3軒レストランが並んでる。
ステーキの素敵庵。
豚しゃぶのいちにぃさん。
天ぷらの左膳と3軒。実はすべて同じ会社の異なるブランド。一番よく使うのはいちにぃさん。一度も来たことがないのが「左膳」。

それで今日は左膳をためす。他のお店もそうなんだけど、お店の人の背筋がしゃんと伸びて凛々しく、しかもあたたかな接客姿勢に感心します。天ぷら鍋にネタが並んだカウンターに座って食べる。

実はこの会社が運営するお店の中で一番好きなのが「吹上庵」というお店。残念ながら東京には無い。かつて東京から一番近いお店が岡山のイオンモールにあって、そのときは出張のたびにたのしんでいた。でもそこは閉店。鹿児島に出張するような機会がないかなぁ…、ってひそかに憧れるばかりな状態。
吹上庵という店は蕎麦がメイン。鹿児島には昔から蕎麦食文化があって、うどんもあるけどメインは蕎麦。それに丼、天ぷら、甘い卵焼きが売り物の気軽な店で近所にあれば絶対重宝する使い勝手の良さが信条。
ここは銀座ということもあってでしょう…、ちょっと上等に天ぷら専門店という姿をとってはいるけれど蕎麦にも力を入れている。

で、その憧れの吹上庵の商品に近いメニューを発見。
「野菜天そばセット」。
野菜の天ぷらに蕎麦、卵焼きにかしわめし。卵焼きは甘いですか?って聞いたら、「鹿児島並です」っていうではないの。

ブラーボ!
それが決め手でそれにする。
ちなみに吹上庵の蕎麦の中で一番吹上庵らしいのが、黒豚そば。
特に冷たいせいろを黒豚を炊いたつけダレにひたして食べる黒豚せいろは絶品で、セットのせいろをそれに変えることはできますか?って聞いてみる。
すると「600円の追加になりますけれど…」と。
そうしてくださいと即答をして、昼の献立の出来上がり。

天ぷらを揚げる音がカラコロしてくる。音と一緒においしい匂いもやってきて、料理が到着。ご飯のお供の豚味噌に黒豚のつけダレ用にと細かく刻んだネギと柚子胡椒。料理のひとつひとつが入念にできております…、にっこりします。

まずはパクリと卵焼き。鹿児島並とのコトだったけど、やはり甘みは控えめで博多あたりをウロウロしているみたいな感じ。それでも甘くて十分旨い。
かしわ飯には季節ということもあるのでしょう…、たけのこザクザク。野菜の天ぷらはエリンギ、ニンジン、ナスにゴーヤにかぼちゃ、それからさつまいも。天つゆがついてもくるけど、天ぷら醤油っていうのがあった。舐めると若干甘め。出汁がきいててさっぱり味の天丼のタレのような味わい。
ならばとご飯の上に天ぷらのせて、天ぷら醤油。甘い、けれど甘すぎない。濃度もほどよくこりゃおいしいや…、とパクパク食べる。そして蕎麦。

黒豚の脂ののったバラ肉を、鰹節と昆布でとった出汁の中でクツクツ煮込む。脂がでてきて汁に混じって、白濁してくる。
出汁そのものが昆布で甘く仕上がっていて、そこに脂の甘みがまじる。醤油やかえしは使わず、塩で味を整えていてだから脂の甘味がどっしり。
脂で蓋されているから熱々がずっと持続し、長続き。
蕎麦は色白の更科風。細くて、けれどザクザク歯切れるここちよき麺。汁をたっぷりまとって口の中へと飛び込み舌を潤す。豚バラ肉の脂はプルンと、噛むととろけて消えていく。
天ぷらを浸して食べた天つゆは、醤油の風味がしっかりとした濃いめの仕上がり。そこに蕎麦をとっぷりひたす。天ぷら油がツユに新たなコクをくわえておいしくさせる。器と蕎麦の間には、氷水でシャキッと〆た千切りの大根がしかれてて、それと一緒に蕎麦を食べると食感あざやか、口の中がみずみずしくなる。オモシロイ。ツユに蕎麦湯を注いでゴクリ。オキニイリなり…、オゴチソウ。

 

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コメント

  1. 食欲

    初めて見ました、豚バラのスープでお蕎麦。しかも塩。こんな発想に驚き。これならやっぱり更科ですね。そっかー、鹿児島にはこういうお蕎麦があるんですね。鹿児島がお蕎麦文化というのも初めて知りました。
    私の実家は関西だから、おうどんと牛肉文化。鹿児島まで行かないと食べられないですね。残念。

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      食欲さん
      このお店を経営している会社が「黒豚のおいしい食べ方の提案」にこだわっていたりもして、主力業態のメインが豚しゃぶ。
      そばつゆで食べる豚しゃぶを考案した会社とも言われているんです。豚しゃぶを食べた〆にそば…、という提案も、こういう蕎麦を食べる文化があればこそなのかもしれません。日本は広くて興味深いです。

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