麺と上具、分かれて恋しや銀座羽衣の中華冷麺

銀座に移動。ひさしぶりに「羽衣」にくる。
銀座とはいえ7丁目。それも8丁目との境目だから空気はほとんど新橋で、派手ではないけど実直で実力のあるお店が多い。
この羽衣もそういう店で、今の季節は「冷麺」が人気でにぎわう。
冷やし中華じゃなくて、冷麺。かといって韓国冷麺というわけでもない独特な料理でそれを目当てにきます。
店のビルの地下にある。
赤絨毯がひかれた階段を一段降りるごとに空気がひんやりしてきて、暑さにほてった体がホッと息をつく。お店の作りは重厚で木の椅子、テーブル、分厚い床と昔ながらの高級中華な店造り。いらっしゃいませ!と明るい声で案内されて、入り口近くのベンチに座る。

冷麺たのんでしばらく待ちます。
隣の人の注文のかた焼きそばがやってきて、オイスターソースと油の香りがおいしげでお腹がグーッと盛大になる。太くてよじれて揚がった麺が、バリバリボリボリ、奥歯で壊れる音が聞こえて、平常心がなくなりそうになる寸前に、ありがたいかな、料理が到着。
麺と具材が別皿でくる。麺はスープに浸かってて、冷麺というよりも湯気の立たない具なしの坦々麺のような風貌。
はじめてこれをみたときに、よく考えたなぁ…、とパッと思った。冷やし中華というのは見た目以上に手間のかかる料理で、麺の上に具材を並べるという仕事が面倒。しかもその貼り付け仕事に時間がかかると麺の状態が劣化していくなやましい料理でもある。

それを具材だけでも最初に用意してくことができれば、貼り付け作業が省略できる。
しかも具材は作り置きができるもんな…、と思ったのです。
ただ盛り付けた料理を保存すると料理は乾く。
互いの匂いが移ったりもして、手間を省いた料理共通のちょっと残念な状態になることもある。
だからそれほど期待せずに食べてみて、ビックリしました。
具材は海老の天ぷらにグリーンピースに薄焼き卵。拍子木状に切った焼豚、細切りキュウリに茹でた春雨。
海老の天ぷらはふっくらしていてほのかにあったか。グリーンピースはみずみずしくて焼豚も脂が気にならない常温にたもたれている。麺が仕上がるタイミングに合わせて盛り付けたばかりのものを運んできたんだなぁ…、と感心したものでした。今日も見事にそういう状態。

具材をそのまま食べても充分おいしいというのもすばらしく、なにより麺の冷たくキリッとなめらかなこと。唇から口、口から喉、喉からお腹が一直線に涼しくなってく。冷やし中華ってタレが均一に麺にからまず食べるところで味が変わって感じることがあるけれど、このスタイルだとしっかりスープが麺にからんでありがたい。
しかも冷たいスープがおいしい。ちょっと濃いけどコクコク飲める。胡麻の風味は感じるけれど、サラサラしていて胡麻臭くはない。甘くて酸っぱく、スープの旨味は分厚くて軽く柚子のような香りが漂い後口さわやか。これまた涼しい。
最初は具材を食べては麺をすするのだけど、結局最後は具材を全部のっけて食べることになる。そのまま食べる具材もおいしいけれどスープをすこんだ具材もおいしい。具材から滲み出した旨みや風味、脂のコクがスープもおいしくしてくれる。夏のご馳走…、堪能しました。オキニイリ。

 

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