10回目の23日。鰻三昧のちチョコレートパフェ。

10回目の23日は鰻だなぁ…、と思って銀座の登亭。じんわりと、体のすみずみに染み込むような滋養に満ちた料理でタナカくんを偲びつつ、元気を出そうとやってくる。
商店街にありそうなテイクアウトの売店がある小さなお店。威張らぬ外観、居心地のよい店内にほどよき値段でたのしめるのがありがたい。なにより売店用にずっと鰻を焼き続けている。だからそれほど待たずに食べられるのが腹ペコくんにはうれしい仕組み。それにメニュー構成がおひとり様に便利なようになっている。
注文するのはいつも同じで、一番安いうな丼に鰻の白焼き半尾分。肝焼きを添えてひと揃え。
鰻屋さんに来ると鰻丼、白焼き、肝焼き、それにできればウザクを食べたくなる。2人ならば鰻丼2つに残りはそれぞれ一人前を分ければほどよい分量になる。けれど一人じゃ持て余す。その点ここには半人前という商品があってそれがうれしくオキニイリ。

うな重じゃなくて鰻丼というのも小さなこだわり。
お重は贅沢に見えるけど、手に丼をのせて手のひらいっぱいで温かさを味わうのが好きだからうな重じゃなくやっぱり鰻丼。
ご飯の上の蒲焼きは頭からお腹にかけての半尾分。
脂がのっていてねっとりむっちり。鰻らしい濃厚な味をしっかり堪能できる。

一方、白焼きはしっぽ側。筋肉質でさっぱりとした鰻の旨味を味わえて、鰻といっても味わい、食感、多彩でさまざま。
白焼きを一口そのまま食べて残りを鰻丼の蒲焼の横に添わせておいて、串から抜いた肝も並べる。「うなぎ三昧丼」とボクは名付けた、オゴチソウ。ここの鰻は浅蒸しでふっくらとしてはいるけど崩れるほどにはやわらかでない。特に白焼きは自分の脂で揚がるように焼き上がっていてサクッと歯切れる。

歯切れて口の中でゆっくり崩れ、噛むとジュワッと脂がにじみだしてくる。
ご飯がちょっとかために炊けているのも好みで、鰻のとろける食感を引き立ておいしくしてくれる。白焼きに用意されてたわさびを乗っけて、タレを注いでハフハフ食べる。ここのタレはスッキリとした醤油の風味が際立つサラサラタイプ。タナカくんはこれをたっぷりかけてザブザブ食べてた。それを真似してザブザブ食べる。
それにしても肝焼きのおいしいこと。ガリガリ焦げた食感のところだったりレバーのようにとろける部分。肝独特の苦味と渋みが口の中で混じり合うのがたまらぬゴチソウ。シャキシャキとした漬物をアクセントにして肝吸い飲んで昼の〆。

 

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やっぱり銀座に来たらピエールマルコリーニのチョコレートパフェ。
しかも今日は月命日です。
彼がこの上もなく愛したお店で愛したパフェ。
足を悪くして階段じゃないといけないところは敬遠するようになっていたけど、この店だけは例外で、手すりにつかまりびっくりするような勢いで2階に飛んでいっていた。
いつものテーブル。いつもの席に座ってのんびり。お水を飲みつつメニューもみないでチョコレートパフェと一言告げて到着を待つ。
シアワセそうな顔でニコニコしながら、今日の晩ご飯は何にしようかなんていつもの会話をするのだけれど、気持ちはすっかりチョコレートパフェ。だからいつも上の空。しばらく待ってうやうやしく運ばれてくるグラスをうれしそうにしばらくじっと見つめてた。
まず水で口を潤しスプーンを手にしてニコニコしながら食べはじめます。

グラスの底にチョコレートソース。バニラアイスクリームにチョコレートアイスクリームと徐々に重ねて、ホイップクリームとチョコレートムースで飾って、ビターチョコのアイスクリームにチョコレート。バナナを添えて出来上がる。
ムースはそっけないほどに苦くて酸っぱい。純粋なカカオの味って仕上がりで、ホイップクリームを一緒に口に含むことで味がやさしく完成していく。一方、アイスクリームは甘くて苦く、バナナの酸味とねっとりとした粘りがすべてをおいしくさせる。
甘くて苦くて酸っぱくて。なのに後口スッキリとして「今日もやっぱりおいしかったよ」…、ってお水を飲んでそっと泣く。

 

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コメント

  1. チキタン

    サカキさん
    そっと泣いちゃいますよね
    なんだか情景がすごくリアルに浮かんで
    私までほろ苦いです

    • サカキシンイチロウ

      チキタンさん
      時間というお薬が癒やしてくれると信じていながら、そのお薬は遅効性らしくまだ効いてくれるにいたりません。
      たっぷり思い出してたっぷり泣いて、おいしく食べてがんばります。

  2. ヨウコ

    たっぷり思い出してたっぷり泣いて、おいしく食べて、ごきげんにお過ごしください。
    頑張りすぎずに^_^
    だって、もう十分頑張ってますから。
    ゆるゆるとで、いいんですよー。

    • サカキシンイチロウ

      ヨウコさん
      はい。おっしゃるとおりにのんびりと。
      涙ってなぜに枯れずに、ときとところを構わず流れ出してくるんでしょうね。

  3. 辛夷

    ちょうどその頃登亭の並びの画廊に搬入をしていまして、ランチタイムの終わりくらいかな、登亭の横を通ったところにいらしたのはやはりサカキさんでしたか、と思い返しております。一方的にお声がけするのも気がひけてそっと通り過ぎたのですが、タナカ君さんを偲ばれる銀座行脚の日でしたか。生きているからこそできる愛の表現、尽きせぬ想い。敬服いたします。

    • サカキシンイチロウ

      辛夷さん
      ランチタイムの終わり頃…、多分、ボクだと思います。
      ただひたすらに目的地に向かっておりましたから周りを見回す余裕もなく、トボトボと歩いていたんじゃないかと思います。
      生きているからこそできる供養。大切にしたいと思います。

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