鮨いしかわでオトコマエ鮨

日曜日の昼、新宿に出る。
上等な寿司が食べたく以前から来てみたかった店を訪ねる。
場所は新宿。
西口ロータリーに面した「エルタワー」というビルの地下。
バブル終わりに企画され、開発発表時にはビルの名前が「ASSビル」だった。開発主体の金融三社の頭文字を組み合わせたらASSとなったらしくて、なのに目指したのが世界に通用するビルだった(笑)。
結局ビルの形がL字型ということもありエルタワーと事なきを得た。
計画当初はもっと背の高いビルを予定していたけれど完成したのは控えめのビル。ただ地下の食堂街は先発のバブルなビルを反面教師にしながら、ほどよき規模で気軽な店から上等な店までバランスとったテナント構成。
今でも案外、使い勝手のよいフロアになっている。
そこの一軒。「鮨いしかわ」が今日の目的。評判のよい鮨屋でずっと前から来たかった。のれんのかかるかなり高級な店構え。ドアの前でちょっと息を整え、ガラガラ、中にそっと入った。

「いらっしゃいませ」と明るい女性の声がする。
白衣の女性でサービス係。個室や小ぶりながらも居心地よさそうな宴会場を眺めつつ、メインホールに案内されると息を呑むようなカウンター。
ほぼ正方形の厨房を囲むL字型の白木造りのカウンターで、その厨房の真ん中に魚を切りつける大きなまな板。ネタを収めるアクリル製の冷蔵ケースが3つ並んで、そのそれぞれの脇に握り手。
はじめての店ということもありテーブル席をもらったけれど、これほど座ってみたいとしみじみ思わせるカウンターはそうそうはない。ただカウンター席はほぼ予約で埋まっているというコトで、テーブル席で「おきまり」たのんで食べることにする。テーブルサイドに置かれた爪楊枝の上等なコト。白木の板の上に乗せられたおしぼりの分厚く、フッカリしていることにウットリします。腹もなる。

テキパキ寿司が作られ白木の板に並んで、お待たせしましたとやってくる。

うつくしいです。端正な寿司。
小ぶりのシャリにキレイに切りつけられたネタが居心地よさそうに合わされている。端正で男ぶりの良い大人の姿にまずはウットリ。
軽く酢締めにされた小鯛の上には薄く削った昆布。
ボタンエビは氷水の中でチリチリ、ひんやり〆られ肉の繊維が花咲くようになっている。
カツオの上には刻んだ生姜。いくらに穴子、トロにカンパチ、マグロの赤身にハマチ、アワビに巻物が2種。
食後のたのしみ、玉子焼き…、と変わったモノはなにもないけど、どれもがツヤツヤうつくしく、これからボクはオーソドックスを味わうんだと背筋が伸びる。

シャリは酸味がスッキリしていておいしすぎないほどよき味わい。ネタの持ち味を邪魔せぬ仕上がり。どれもそれぞれおいしくてけれど中でも、アンミがスキッとおいしいマグロ。トロの脂に赤身の冷たさ。イクラは軽く醤油の風味がついてるだけの魚卵そのものの食感、鮮度をたのしむ趣向。穴子のツメはこってりと、アワビはコリッと奥歯で砕け、たちまちとろけて消えていく。

良い寿司屋はお茶が汁がおいしい。しかも熱々。おきまりの寿司を一人前、食べ終わってもなお熱々の状態が続く味噌汁。中にはワタリガニが入って風味を添える。ガリも辛くて上等で、口の中をしっかりリセットしてくれる。
小さい店。カウンターだけでやってる店でおいしい寿司屋は珍しくない。ところがこういう座敷や宴会場ももつ店で、にも関わらず寿司の品質が揺らがない。贔屓したくなる寿司屋の条件。しかも店の人たちの言葉遣いは丁寧で、なにより笑顔を惜しまない。今度は夜にと思ったりする。
なによりカッパがボク好み。細めにギュッと強く巻かれて、巻いたキュウリは細切りじゃなくバキッと砕ける食感とみずみずしさをたのしむ形。海苔がとろけてはらりとご飯が散らかる感じもボクの好みで惚れちゃった。

 

関連ランキング:寿司 | 新宿西口駅新宿駅西武新宿駅

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。