餃子しかない…、それが良い!

東京は大きい。40年近く住んでいても、知らない街がたくさんある。
皇居の西側に住み生活圏もその界隈のボクにとっては、隅田川の向こう側は気持ちが遠い。
今日は新小岩で人と会う約束があり、ひさしぶりに川を渡った。せっかくだからちょっと手前の亀戸の「亀戸餃子」に寄ることにした。
あの界隈に行ったら行くといいよ。
おいしい上にオモシロイからと友人に前に教えてもらってて、ワクワクしながらやってきた。
四谷で乗り換え総武線で20分ほど。案外近くてまずびっくり。
亀戸の駅から程近くはあるけれど小さな路地に面してあって、袖看板が見える頃には餃子の匂いが立ち込めている。

店はにぎやか。入り口を入ると目の前に餃子の焼き場。そのかたわらには木のばんじゅうが積み上げられていて、中には生の餃子がギッシリ。「いらっしゃい」って元気な声に出迎えられる。
その焼き場から二本のカウンターが向かい合わせに作られていて、それぞれ6人ほども座れましょうか。あとは小上がりと20人ちょっとで満席の店。
驚くべきはメニューが餃子だけというとこ。ご飯もなくて餃子以外にはソフトドリンクとアルコールだけ。まさに「亀戸にある餃子の店」。店名とコンセプトがこれほどまでに直結していることに惚れ惚れします。

注文は二皿からというシステム。
三皿以上たのむと茹でたもやしの和え物がつく。
箸休めのやくわりでしょう。
三皿たのんでコーラをお供にしばらく待ちます。
小さなお皿に芥子がたっぷりのせられてきて、間も無く餃子が焼き上がり。
よき焼き色です。
餃子の味や具材にこだわる人がたくさんいるけれど、餃子の味の決め手は焼き方につきると思う。こんがり焦げて香ばしく、皮の内側に具材のジュースが閉じ込められ仕上がる。そんな餃子は絶対旨い。
で、ここの餃子はそういう餃子。なにしろお店の人の調理作業といえば餃子を焼くことだから、仕事に注力できるわけです。肉が多めの餃子で歯ごたえがよく、パリッ、ざっくり、肉汁じんわりという力強さにうっとりします。

まず一枚がやってきて、その一皿目がなくなるタイミングを見計らって次の一枚分の餃子が焼き上がるよう配慮しながら焼いていくというのも、餃子しかないお店の良いとこ。お皿ごとに餃子の焼き具合がちょっとづつ変わっていくのも手作り感があってよし。
醤油にお酢を混ぜてラー油をたっぷり溶かす。それに芥子をあわせて食べるといくらだって食べられそうになるのがおいしく、コワイほど(笑)。
そうそう。テイクアウトもよく出てました。焼き上げに生の両方あって、食べたついでにお土産買って帰る人もかなりいる。ひとつのことを極める強さ。流されないってステキだなぁ…、ってしみじみ思う。お勉強。

 

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コメント

  1. 匿名

    サカキ様は優しいなと思いました。私は近いので何度か食しましたが感想は・・・・。
    私は、ワイン雑誌に広告出してるショップでワイン評価を書いてますが、良いところしか見ませんもの。
    ただ、餃子も好みがありますからね。

  2. サカキシンイチロウ

    匿名さん
    ボクは料理評論家じゃないので、餃子の味をとやかく言うつもりはないんですね。
    商売の仕方としてすごく潔くっていいなぁ…、と思って褒めました。それになにより、流行っていて続いているということがここの餃子の味は多くの人に受け入れられているという証明。「売れているもも=おいしいもの」とは思いませんけれど、少なくとも長く続いている店はすばらしいことだと思います。
    参考になるコメントありがとうございます。できれば「匿名」でなくお名前頂戴したいと存じます。ハンドルネームでも結構です。

  3. Michiko

    こういうお店ってもうお客さんらの“ぎょうざたべるるぞ~!”の気合?とお店の“どんどん作るから食べてね~!”の2つの気合が交じり合って、何とも言えないパワーになってまたお客さんを呼ぶのかもしれませんね。悪くない、むしろ大好き。

    私の住む街にあった、手作りスモールパイだけをだすバルを思い出しました。ほんとこれと飲み物のみ。でもお客さんは切れず、少々揚げ時間に待たされても知らないお客同士で“ほんとにここのは美味しいですよね~”なんて話ながら飲んでる。こんなごきげんなお店がぜひ続いてほしい、また新しく生まれて欲しいと思います。

    • サカキシンイチロウ

      Mihikoさん
      お客様に自信をもって提供できる料理を作る。大変なことだと思うのです。ひとつの厨房で何十種類もの料理を同時に作ることができるということもすばらしいコトだけれど、果たしてすべての料理に対して自身を持てるか。責任をとれるかというと決してそうじゃないと思う。
      だからこの一品に命をかけているこういうお店は尊敬に値すると思います。

  4. batten

    今の時代に継続するって大変なことだと思います。単価も安いでしょうに。
    サカキ様が最近よく懸念されてる再開発がこの店におよばない事を祈るばかりです。

    • サカキシンイチロウ

      battenさん
      継続に対して、お店の人の飽きぬ努力も大切ですが、それ以上にお客様の飽きず贔屓する地下も必要。いい街にいいお店。それが飲食店の原理だと感じました。

  5. おちゃんぽん

    都内で外回り営業をしている者です。
    どうしてもこのお店にいきたくて、近くの会社にわざわざ午前中にアポイントをいれ、食べにいったことを思い出しました。
    お客さんと店員の方の雰囲気が良い意味での「戦い」みたいな感じで素敵なお店でした~
    WEB商談が多くなると色々な土地のゴハンを食べれなくなるのが寂しいです、、、

    • サカキシンイチロウ

      おちゃんぽんさん
      「おいしい戦い」。しかも一対一のフェアプレイという雰囲気がたしかにこの店のすばらしいところ。
      またこの界隈での仕事を作らなくちゃ…、って思わせる実力派と思います。
      コメントありがとうございます。ウェブで仕事ができてしまうのが便利でもあり、けれど街を歩きながらおいしいものを探す機会をなくしてしまうのは本当にさみしいコトですね。

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