雅味近どう。季節のはざまのおゴチソウ

岐阜に来ました、雅味近どう。
そろそろ季節の音も蝉の鳴き声から鈴虫の声に変わろうかというこの時期です。
前菜が虫かごを被ってやってくる。
かごの上には葡萄の葉。しっとり濡らされ涼しげで、かごを開くと中には色とりどりの料理が並ぶ。
奥のガラスの器にごま豆腐。
背の高い器の中には茹でた瓜の繊維をひっかいて出汁に浸ししたさっぱりとしたおひたし。
キュウリやいんげん、きのこを茹でて鰹節と崩した梅で味をととのえたひと品に、だし巻き卵、穴子の押し寿司。
この押し寿司がおいしくってネ…、分厚い穴子がふっくら煮られて焼き上げてシャキッと酸っぱいシャリと混じってとろけていくにウットリしました。
今日はひさしぶりにハイボールを一杯所望しました。理由は慶応高校が甲子園にて107年ぶりの優勝を果たしたから。まさか生きてる間にこういうことが起きようなんて、予想だにせぬよきニュース。

続いてお椀。メインの椀種はキクラゲ真丈。むっちりとした白身魚のすり身に混じったキクラゲがコリコリ砕ける感じがたのしい。
上等な出汁。
ゆがいたニンジン、ピクミンみたいな小さな大根、しいたけ、そしてじゅんさいと食感にぎやか。あったまる。
今日の刺身はイカにマグロ。イカはとろけるやわらかさ。マグロは甘くやはりとろけて軽い酸味を口に残して消えていく。
必ず供されるカニまんじゅうのあんかけの今日のまんじゅうはかぼちゃ製。中にたっぷりカニのほぐし身、ぽってりとした餡は上等…、おゴチソウ。

焼き物が来て、今日のコースのクライマックス。
魚はタチウオ。
香り華やか、やわらかにしてとろける食感、皮はパリッと焼かれてる。
タチウオの後ろ側にはイカ真丈の揚げ団子。
ハフハフするほど熱くてブルンと弾ける感じがたのしくて、しかもおいしい。
イカのうま味って上品なのに力強くてオモシロイ。
煎った銀杏は秋の先取り。甘く煮込んださつまいも、お供の器に酸味さわやかなもずくが入ってひと揃え。
お酒もまわり舌もなめらか、体も座もたのしくあったまった頃合いにガラスの器がやってくる。蓋付きのガラスの鉢で、その表面には霜がびっしりふっている。見るから冷たく、手に取る蓋がひんやりたのしい。

中にはローストビーフが入っていました。薄切りにしたローストビーフの上にゼラチンでまとめた銀餡。一緒に食べると口の温度で餡がとろけて、ローストビーフに絡みつく。そこには茄子の甘辛煮。これもひんやり、噛むとクチュっと潰れて甘辛味の出汁がジュワリと滲んで消える。
そして〆。
青のりのだしかけ茶漬けをサラサラと。わさびをたっぷりとかしてツーンっと口をさっぱりさせながら昆布の佃煮、大根、キュウリの浅漬で口の調子をととのえる。
ぶどうの葛をまとった羽二重餅にシャインマスカットにピオーネと、甘いものもぬかりなく。
ぶどうがのったお皿はぶどうの葉っぱのなぞり。葡萄の葉っぱで始まって葡萄の葉っぱで終える粋。お腹も気持ちも満ちました。

 

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