鍋焼きのそばであったまる
夏の名残の暑い日々。ショートパンツが快適な秋。
ただ真夏のおひさまと違って熱さはやさしく、灯ともし頃が近づくと途端に涼しくなってくる。
季節先取りのゴチソウを食べましょうかと、新宿御苑の「志な乃」に来ました。
民芸調の鄙びた造り。きっぷのいい大柄なご主人がうつ、分厚く幅広で頑丈な十割そばが名物で、それを使った鍋焼きそばがオキニイリ。
大きな鉄鍋でやってくる。
たっぷり、ずっしり。もともとここは量がたっぷり。基本が他のお店の大盛りほどもある。蕎麦の量もさることながら具材の量がこれまたどっさり。エビの天ぷら。青菜にいんげん、西洋人参。鶏もも肉を一口大に切ったものやら、しいたけ、かまぼこ、白ネギ、卵が一個と具だくさん。
上から見ると鉄鍋の中の賑々しさにお腹がなります。
いただきます。
指で繊維を軽く潰して揚げたエビの天ぷら。
エビは立派に歯ごたえブリン。甘くて香りも力強くてちょっと厚めについた衣が汁をたっぷり吸い込みうまい。
背伸びするように真っ直ぐに凛々しく上がった姿もゴチソウ。
太くて頑丈な蕎麦はスルスルすするのでなく、モグモグ噛んで味わうのがいい。
ひと噛み目にはボソッと感じる蕎麦も、噛めば噛むほど蕎麦の香りが立ち上がりほどよく粘ってとろけて消える。出汁のきいた汁をたっぷり口の中へといざなう感じもまたゴチソウ。
ちなみにここの基本の出汁はたっぷりの昆布の甘みに風味豊かで酸味おだやかな雑節で、そこに鶏の脂と風味が深みとコクを添えている。というのも具材にたっぷりぶつ切りの鶏もも肉が入ってて、多彩な野菜の風味も混じっておいしい、おいしい。
卵が一個。ぷるんと白身は固まって黄身は半熟。なんともなめらか。
野菜それぞれはたくましく荒々しいほどの香りを吐き出す。中でも西洋人参のハイカラなハーブを思い起こさせる香りは独特。一口ごとに食欲が湧くよきアクセント。
出汁をたっぷり吸い込んだ分厚く大きなしいたけを、カプッとかじるとじゅわっと口においしい汁が広がって、一滴たりとも逃さぬように息を吸い込みながら齧ることになる。それをみながら「しいたけが嫌いなボクも食べてみたいって思わせるおいしい食べ方」ってタナカくんが笑いながらいつもみていた。なつかしい。
お腹の中にうっすら汗をかき、お店をでたら空はすっかり夜の装い。秋でござんす…、さぁ、帰ろ。
おかえりなさーい。。。
台風接近中で またまた気圧が不安定ですけど
あったかーいおうどんで
身体もこころもほっこりできて何よりでした。
スローペースでボチボチと 美味しいゴキゲンなお話を
楽しみにしてますね♪
ばろんさん
まだ本調子には程遠く、毎日の更新というわけにはいきませんが無理せぬペースでちょっとづつ。
行きたいお店、食べたい料理。そして会いたいお店の人たちのことを思うと、一日も早く元気になってと気持ちが元気になってくれます。
待っていましたよー◡̈♥︎
鉄鍋でおそばって、おそばがそれだけ強いのですね?
食べてみたいですー (≧▽≦)
ららさん
グツグツ沸騰しているのに歯ごたえや歯ざわりが損なわれることのない頑丈な蕎麦。これからの季節には登場の機会が増えるかもしれません。
ただいま。ご心配恐縮いたします。
美味しそうなブログの更新、榊さんお元気そうでほっとしました。
椎茸嫌いの田中さんからの嬉しい褒められ方ですね。
私事ですが、(もうちょっと)若かった頃は、「美味しそうに食べるね、みてて気持ちがいいよ」ってよくお褒めの言葉をいただきました。
榊さんの文章と写真で、お蕎麦を食べたくなりました。
Leoccoさん
タナカくんとボクはおいしく料理を食べることに定評がどうもあったようで、いろんなお店で褒めてもらいました。
今日もおいしかったよ…、と食べ終わってタナカくんにひさしぶりに報告することができた。元気でがんばらくちゃと思いました。
心配しました!お帰りなさい!
S・フランキーさん
まだまだ外出することに覚悟を必要とする体の状態ですが、それでもちょっとづつ気持ちが前向きに鳴っていることに感謝しています。
ご心配、ありがとうございます。
更新あってホッとしました。
私は夏が大変苦手で、食べたくない日もあるのでこのブログで見て食べた気に。
まだ暑い日もあり、半袖をしまったり出したり。不調にもなりますよね。
季節の変わり目、ご自愛くださいますよう祈念してます。
にゃおにゃんさん
せっかく体が前向きになってきたのに、最大級の低気圧が近づいてきているようで今日はかなり凹んでいます。
でも調子の悪い体との付き合い方もちょっとづつ上手になってきたようで、これも年を重ねることの現実かなぁ…、って楽しむことにしました。
湿度を纏う福岡市内です。
名残の福岡産無花果、盛りの西村柿、早生みかんと果物王国日和です。
お蕎麦のデザートに如何ですか?
ゆっくりゆっくりの同年代我等。笑笑
ところで、福岡市内で、美味しい江戸前蕎麦を味わえるお店をご紹介下さいますか?
ゆうゆうさん
よおく冷やした無花果に練ごまをちょっとあしらって蕎麦のあとに…、って粋ですよね。
博多うどんの本を書くために取材によく訪れていたちょうどその時期に、蕎麦のお店がちょっとづつ増え始めました。
ただやはり博多といえばうどんで、どうもそばやさんは不勉強なのですが、薬院の「侘助」さんが、蕎麦の麺のみならずキリッと酸味のおいしいタレまで江戸風でおいしかった記憶があります。
無花果に練りごまですか…脳内活性化します。
関門海峡を渡らなかった江戸前蕎麦…なんて著作を読みたいものです。
薬院なら、近いうちに尋ねてみたいです。
有難うございます。
おかえりなさい。私も皆さんと同様に心配しておりました。体調を崩されていたとのこと。
ゆっくり養生なさってください。
わたしもサカキさんのブログを楽しみにしていて
サカキさんお勧めのお店が職場界隈に近いこともあり参考にしておりました。お元気になってどこかでお目にかかれたらお声かけするかもしれません。
その時をたのしみにしています。
かおりさん
ご心配おかけしました。昨日から体の悪い水分が順調に排出されるようになって、徐々に楽になりはじめています。
あと一週間ほども我慢すれば元気を取り戻すことができるもの…、と思っています。
ごきげんでたのしいお店がボクを待ってくれている…、と思うと我慢しがいがあるというものです。
こんにちは。
せかしちゃいけない、と思いながら「まだお帰りじゃないか。。」と、近所の仲良しさんの家を心配するような、そんな感覚でいました。
良かった。画面を見れるようになったのですね。
実は私、仕事で神経すり減らしてたようでめまい・頭痛・耳鳴りの三拍子。
早退や欠勤を多発する毎日でして、辛い毎日でした。
やっと見てもらえるお医者さんを見つけ、漢方薬をスタート、ゆるゆるするように勧められました。会社は人が居つかないところで、理由を実感することになりました。
でも帰り道、心まで温まりそうな鍋焼き食べたら
良い考えも浮かぶかもしれませんね。
そういえば昔、当時付き合っていた彼のお母さんに
「人間は「食い力(りき)やで。辛い時こそ、食わなきゃいかん」と言われたことを思い出しました。
人生前向きに。下向いていても転ぶだけですもの🎵
れいちゃんさん
リビングルームのマックブックを閉じたままで一日が終わってしまう。
…、そんな日々もそろそろさようなら、って感じです。
体の具合が悪いと食欲が沸かなくなる。
何を食べようって思わなくなると、一日が無為にただただ過ぎていく。
なんのために生きているんだろう…、ってさえ思うようになってしまうから、やはり「食べる気力」って生きる力に直結しているんだなぁってしみじみ思いました。
めまい・頭痛・耳鳴りってボクも定期的に起こる症状ですが、西洋医療ではどうしようもない事象。時間をかけてのんびりと…、ですね。
お休みされている時は、過去のご投稿を楽しく拝見しています。
新たな記事はとてもうれしく、楽しみにしていますが、
サカキさんがずっと綴ってこられた日々のおいしいお話も宝物です。
どうぞご無理なさらず、ご自愛くださいね。
愛住町のおばちゃんさん
元気の出るコメントありがとうございます。
まだまだ息切れが激しく、ほぼ愛住町と四谷四丁目だけで生活をする日々。
無理せぬようにがんばります。