銀座・吉宗・夫婦蒸し

東京に帰って早速軽く打ち合わせ。
そしてそのまま昼食とする。
場所は銀座。ひさしぶりに「吉宗」にくる。
長崎料理の専門店。長崎センタービルという地下一階というロケーション。螺旋階段を降りたところに大きな提灯。のれんが揺れるという、艶っぽい景色がなんだか長崎的。
お店の中はにぎやかでした。おじさま、おばさまと大人メインで、昼からお酒を飲んで、政治談義をご機嫌に戦わせているおじさまグループのしあわせそうな真っ赤な笑顔にニッコリします。チャラチャラした若い人や、ショッピングバッグを両手に抱えた外国人がいない店ってしみじみ落ち着く。枯れているのにみずみずしくて、安心できる。さぁ、食事。

ココのランチでたのむ料理はいつも同じ。昔からの名物料理が「夫婦蒸し」。
蒸し寿司と茶碗蒸しが同じ大きさの器に入ってやってくる。蓋してやってくるからどちらがどちらか、わかりそうもないのだけれど、お店の人はためらいもなく器を次々並べてく。スピーディーでテキパキとした手際にいつもウットリします。
曰く。蓋の乾き方を見極めるのがコツなんだという。湿ったモノが入ってる茶碗蒸しの器の蓋はずっとシットリしているけれど、蒸し寿司が入った器の蓋はすぐ乾く。手にとって持ち上げたときの重さもちょっとだけ違いますしネ…、と。

そういいながら並べる器の蓋をとるとたしかに右手に茶碗蒸し。
その左側には蒸し寿司がある。
プロフェッショナルの仕事だなぁ…、って感心します。

しかもそれぞれの器に収まる料理の揺るぎないことにまたウットリ。
茶碗蒸しの表面にはスがまるで入っていなくて、とてもなめらか。スベスベ、ツヤツヤしてみえる。
フーッと息を吹きかけると、フルンと揺れてさざなみみたいな模様ができる。
出汁の香りが鼻をくすぐり、お腹を鳴らす。

そして蒸し寿司。
甘めのシャリの上にびっしり、錦糸卵。ピンクの田麩に焼いて細かく刻んだ穴子。
甘酸っぱいシャリ酢の香り混じりの蒸気が鼻をくすぐる。
丼の底から上まで熱々で、蒸気であっためられて具材もシャリも味がこなれてやさしい味わいになる。
関東に来ると蒸し寿司という食べ物自体を見つけることが少なくなる。西日本のいろんなところに蒸し寿司を食べる習慣がちらばっていて、ボクの田舎でも冬から春にかけて寿司屋の店頭に蒸し器が置かれて、甘い湯気を吐き散らしてた。昨日までいた高知でも、蒸し寿司を食べる習慣があってそれで今日は無性に食べたかったという次第。やっぱりおいしく、笑顔をもらう。

茶碗蒸しのたっぷりとした分量に、食べる前から気持ちが上がる。
具材たっぷり。かまぼこにお麩、タケノコ、白身魚の切り身や鶏肉、銀杏。焼いた穴子に椎茸と、レンゲをつっこみ持ち上げるたび下から下から湧いて出てくる。出汁をたっぷり含んで仕上がり、食べてる間に固まった玉子が細かく壊れてく。昆布多めの甘めの出汁で口の中がどんどん潤う。茶碗蒸しって玉子の料理であると同時に、出汁を味わう料理でもありココのは出汁より。スルンスルンと喉をかけおり、お腹をポカッとあっためる。汁の代わりのような役目も果たすゴチソウ。この滑らかがオキニイリ。

お供に皿うどんをもらって分ける。細麺、太麺が用意されててココ関東では揚げた細麺が人気のよう。ほとんどの人がパリパリ麺を選んでたのむ。
かくいうボクも昔はずっとパリパリ派。口の中が騒々しくなり、そのうちトロンととろける食感がたのしいのだけど、試しに一度、太麺たのんで食べたらこれがなんとも旨い。
ちゃんぽん麺を蒸してそれを油で炒める。こんがり焦げた香りがただよい、あんをからめて口をポッテリ、満たすゴチソウ。キャベツにもやし、エビやアサリにかまぼこと具だくさんにてご飯のおかずにこれが良い。ウスターソースが用意されててそれを使って風味をつける。酸味にコク、スパイシーな香りが味を引きしめる。ちなみにソースはチョーコー醤油のモノでござんす。本場味。

 

関連ランキング:和食(その他) | 新橋駅銀座駅東銀座駅

コメント

  1. Kei

    吉宗の茶碗蒸し、美味しいですよね。優しい味で、ほとんどスープに近いくらいお出汁がたっぷりで、ひどい二日酔いの時でもここの茶碗蒸しだけはすんなりお腹におさまります。その昔、同じお茶碗を購入し自宅でも同じ茶碗蒸しを作ろうとチャレンジしましたが、断念したことがあります。親しみのあるお店の雰囲気も好きで、ここでしか食べられないプロの味だと思っております。

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      keiさん
      おっしゃる通り、これは究極のスープ料理のひとつですよね。
      この日の前日は、夜中すぎまで高知でお酒をたのしんでいて、だからなおさらおいしく、体中に出汁の旨みがしみいるように感じました。
      冷凍で売られてもいるのですが、やはりこのなめらかさはお店にいかないと味わえないプロの仕事。ありがたいと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。