銀座八丁目、吉宗の昼

お昼ご飯を銀座で食べる。先日、食べ損なった夫婦蒸し。
吉宗という店で、先日行ったときには改装中。それで代わりに、シンガポールの海南チキンライスを食べるコトになった、リベンジ的なる今日の昼。
改装を終えたお店の中は雰囲気こそ昔のままでの食堂風ではあるけれど、のんびりとした小上がりや座敷がなくなり、全席テーブル席となる。
おなじみさんが次々やってきては、ちょっとよそよそしくなったわね…、と悲しみながらも、でも椅子になったのはありがたいって。こういうお店に来る人はお年寄りが多くて、やっぱり座敷よりも椅子席の方が快適。よい改装だったに違いない。ほぼバリアフリーになったから、車椅子の人にもやさしい店にやっとなれたということ。悪くない。

改装にともなって、男子スタッフが増えたみたい。
かつてはほとんどおばさまスタッフだったんだけど、男性。しかも若いサービススタッフが増えた。
空気溌剌。
中国語を喋る女性スタッフが一掃されて、ムード自体はいいんだけれど暑い夏です。
かつてならば、汗を流して入ってくると何も言わずにお水が出た。
料理を提供するときに、必ず何か一言添えてくれるようなおせっかいなところがなくなり少々さみしい。
人間的であったかいって、飲食店ではとっても大切。もったいない。

今日の目当ての夫婦蒸し。
茶碗蒸しと蒸し寿司が同じ器にやってくる。しかも蓋付き。
なのに迷わず向かって右手には必ず茶碗蒸し、左側には蒸し寿司がスタンと置かれる。いつも蓋開け、間違ってたらどうしよう…、とドキドキしながら蓋をとるんだけど、必ずキチンと置かれてる。これも一つの職人技。

テーブルの上に置かれたばかりの茶碗蒸しは、タプンとゆたっり表面揺れてそのなめらかを目から伝える。蒸し寿司は錦糸卵とさくら色したでんぶと、焼いた穴子のそぼろがのっかる。ご飯の中には甘辛煮付けのゴボウの薄切り、それからしいたけ。具材と言うには存在感が控えめで、つまり純粋に酢飯を味わうための蒸し寿司。もう何十年も変わらずずっとこれでやってきたという自信に満ちたオゴチソウ。皿うどんの小さなサイズをもらって2人で分ける。

それにしても茶碗蒸しのなめらかなこと。
表面ツヤツヤ。
そこから出汁が染み出してくるのが見て取れて、穴のひとつも空いてない。
レンゲをそっと入れるとスパッと、ナイフで切ったかのように切り目が入って中から出汁が滲み出す。
透明、熱々。
口に含むと固まった玉子はたちまち壊れて汁になっていく。
舌の上に汁がのっかりそれがほどけて消えるから、汁をそのまま飲むよりも汁を飲んだという実感が湧く。
具材も豊富。

色鮮やかなかまぼこにぽってりとした麸。白身魚に鳥のもも肉、穴子の蒲焼き。筍、椎茸、銀杏とゴロゴロ底から転がしだしてやってくる。食べ進めると玉子が細かく散り散りになり汁の紛れてサラサラ口にやってくる。おいしいなぁ…、体のすみずみに行き渡る。

テーブルの脇にはお酢とウスターソース。皿うどんがある店で、お酢は大抵皿うどん用。けれどワザワザ皿うどんのキャップのところに皿うどんソースを書いたシールが貼られてる。お酢は蒸し寿司の酸味を整えるように用意をされているワケ。
皿うどんにウスターソースをたっぷりかけて、混ぜて味わう。
パリパリに揚げた細麺でなく、太い蒸し麺。あんがからむとネットリしてくる。麺を炒めた油の旨み。キャベツにもやし、豚肉、エビにアサリにかまぼことちゃんぽん麺のスープ、具材がギュギュッと凝縮したような濃厚味にウットリします。気がすみました…、オキニイリ。

 

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コメント

  1. 河馬

    なぜ中国語を喋るスタッフが一掃されると
    ムードが良いのですか?

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      河馬さん
      一時期、このお店も中国からの観光客をしきりに呼び込もうとしていました。そのため中国語のメニューを用意したり、コミュニケーションをとるためにと中国語を喋れるスタッフを何人かおいてらっしゃった。
      それをきっかけに、お行儀の良くない観光客が集まるようになって苦労される結果となった。近所が大型バスの止まるポイントになっていたこともあり、お店の前で小用を足す不届き者もいたりして、それを制する内容の中国語の哀しい札が出されていたこともありました。

      今の日本では海外からのスタッフが一生懸命働く気持ちのよい店が沢山あります。
      むしろ、やる気のない日本人がダラダラ働くよりもムードがよいこともある。
      けれど特定の言葉を喋るスタッフがたくさんいることが、とあるメッセージを発し、お店のムードを悪くしてしまうことも沢山ある。そうしたムードがなくなった…、という意味での発言だったことをまずご理解を。言葉足らずで不快な思いをなさったのであれば、申し訳なく思います。

  2. Note

    サカキさん、こんにちは~
    暑い季節に熱いお料理を食べて汗をかくって気持ちがいいですね!
    吉宗の夫婦蒸しは長崎でいただいたことがありますが、甘い=うまみということがよくわかって、あと引くお味ですね!
    こんど銀座店にもでかけてみたいです^^

    銀座といえば、外国からの観光客がとても多い時期は、少し落ち着いた感じでしょうか。
    少し前までは、忙しいのか接客してもらえなかったり、行列しないと買えなかったり(香水とか)と悲しい思いをしたので(笑)ちょっと避けていました。
    銀座は、私にとって、お買い物や食事と、とても楽しい場所なんです。

    毎日とても暑いので、ご自愛くださいね^^

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      Noteさん
      やさしいのに力強くて品がある。ここの料理を食べると、ほっとすると同時に元気がでるんですよね。ぜひ、東京でもためされてください。
      昨日は今起きてきたばかりかと思うような、まぁ、欲言えば楽で涼しげな装いのおじさんが、タンクトップをめくり上げお腹をボリボリしながら歩いていました。これも新しい銀座の景色って思うとなんだかウキウキもする。
      そう言えば、大昔、銀座に来るということは小さな海外旅行をするような出来事だった時代があって、ある意味、今はそんな時代の銀座に戻ったと思えばいいのかなぁ…、って(笑)。
      オキニイリのお店がたくさんある銀座。あらたな魅力をまといながら、ずっと生き生きしていてほしいなぁって思います。
      コメントありがとうございます。

  3. Wordsworth

    長崎の友人に、昨年「そちらに遊びに行くんだけど、親戚一堂が会した時に、ちょっと背伸びしていくお店と言ったらどこになります?」と質問した時に「長崎名物じゃないんだけど…」と紹介されたのが吉宗さんでした。
    福岡降りてバスセンターの牧のうどんに伺い(これも蒙が啓く体験でした。)その後昼に着いた長崎、京華園で焼きうどんを食べた後、吉宗でこの茶わん蒸しを蒸し寿司と一緒にいただき、昼間で「喉に飲み込むのを許さない美味しさ」と「口の中からするりと消えていく美味しさ」を味わい、
    「あぁ、サカキ様の牧のうどんのプッシュが無ければここにも来なかったに違いない」と東京の方を向いて拝んでしまいました。
    いつも素晴らしいきっかけを与えてくださり有難うございます。夏本番、暑さ厳しくなりますがお身体ご自愛いただければ幸いです。

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      Wordworthさん
      なんてステキな九州旅。
      長崎の吉宗は東京で味わうことができますけれど、牧のうどんは博多に行かなきゃ食べることができないゴチソウ。
      そういうものが広い日本にまだまだ沢山あるんだと思うと、東京でぼんやりしている暇はありませんね(笑)。
      毎日、うだるような暑さです。
      お元気でらっしゃいますか?また御目文字する機会がございましたらと思います。

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