銀座トップスで「マイはじめて」の復習をする

ひさしぶりに上等なカレーを食べてやろうと思う。松屋銀座の隣のビルの地下一階。オキニイリの日本料理「ざくろ」があるフロア。その向かい側にトップスがある。
入り口脇にはケーキ販売のショーケース。カレーがメインのレストラン。
正式な名前は「赤坂トップス」ということなのだけど、アカサカサカスの地下にあったお店は閉店。この銀座の他に数店残すだけになった。
ボクにとって「生まれて初めて」をたくさん経験した店です。カレーショップではなくカレーがメインディッシュのレストラン。カレーの値段と思えぬ値段がついていたけど、黒服ウエイターのうやうやしいサービス付きの値段とすればほどよく、決して高いなんて感じなかった。
ボクがよく通っていたのは新宿の商業ビルの中のお店で、そこはなくなっちゃった。思い出の店がなくなっちゃうのはさみしいコト。ただその思い出が別の場所ではあってもいまだに繋がっているのはありがたきこと。

さて、往年のオキニイリ。ここで出会った「はじめて」を選んで注文。まずビシソワーズがやってくる。
冷たいスープ。しかもジャガイモのスープなんてここで初めて経験した。ひんやり喉に涼やかでなめらかなのにちょっとザラッとじゃがいも由来の喉ざわり。なんてこんなにおいしいんだろう…、と家で作ってみるもこんな具合に絶対ならなかったプロの技術にウットリしました。
タコとセロリのサラダが続く。タコをクタクタになるまで炊いてざく切りにしたセロリと一緒に和えて仕上げる。刻んだブラックオリーブがたっぷり混ざり、オリーブオイルに溺れたような仕上がりにビックリしました。
速水もこみが生まれるかどうかという時代の話です。油を食べるという料理の存在に初めて出会ってまたウットリ。

カレーの提供方法も驚くべきものでした。
下皿と一体化した壺状をした金属製の器にカレー。蓋つきの鍋にご飯がおさまってくる。お皿の上にはほんの少々のご飯が盛られ、上にフライドオニオンとレイズンぱらり。
ビーフカレー辛口がいつもの注文。
大きくぶつ切りにされた牛肉がゴロゴロ入って、ビーフカレーというよりも牛肉のカレーソース煮と言った方がおさまりよさそうな豪華な姿。
牛肉はスプーンの背中でクチャっと潰れ、歯ごたえやわらか、肉汁がジュワッとにじむ。カレーの風味はおだやかで主役は牛肉。
薬味は別添えで3種類。チーズがついてくるのが特長で、昔は小さなサイコロ状のチーズだった。噛んでとろける様がたのしく好きだったんだけど、今ではとろけるシュレッドチーズ。風味だけをたのしむ趣向がちと残念。ラッキョウは追加で+100円。ちょっと世知辛くなりました。

ただ上等であることにかわりなく、ご飯をちょっとづつ装い直し上にソースをかけて味わう。ガシガシではなくスプーンとフォークを使い分けつつゆったりとしたリズムで味わうカレーは独特。
食後にチョコレートケーキをたのむ。食後ポーションという切り分けられたケーキで断面、あらわになってる。いつもはかたまりのままスプーンですくって食べるから断面なんて意識したことがなかったんだけど、こうしてみると明らかに生地の分量が圧倒的で、チョコを食べてるって気持ちに浸ることができない。このチョコケーキは売店で買って家で食べるに限る。
昔の面影はあるものの、かつての凛々しきサービスはなし。女性スタッフが仲良くずっとおしゃべりしていて緊張感もまるでなし。むつかしいなぁ…、おいしい思い出はただ思い出の中にあるってことかもしれない。じれったいような昼のこれ。

 

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