銀座のざくろで贅沢な昼

銀座のランチ時。ひさしぶりに「ざくろ」を選ぶ。
松屋の隣の銀行のビル。地下に向かって降りていくエスカレーターの上にお店の告知看板。
「ざくろ」「トップス」と同じグループのお店の名前が上下に並び、かつてはこれに「グラナータ」なるイタリアンレストランの看板もあった。
日本のイタリア料理の黎明期。燦然と輝いていたお店のひとつで、今や重鎮と呼ばれる落合シェフが料理長をつとめていた店。今ではフランス料理よりもイタリア料理のお店の方が多様で多彩でしかも多くて、パイオニアとしての役目を終えてしまったからでしょう。カレーレストランのトップスの中にグラナータ的料理が統合されて残ってはいるけれど、少々さみしい。しょうがない。
本業である「ざくろ」は好調。しゃぶしゃぶ、すき焼き、ステーキと牛肉を使った料理がメインの日本料理の上等な店。黒服を来た男性スタッフの背筋のしゃんと伸びていて、しかも笑顔の凛々しきコト。和服の仲居さんたちの数の多さに、立ち居振る舞いの優雅なことにもうっとりします。すばらしい。

和牛のバタ焼きの定食をとる。
ココのランチのボクにとっての定番中の定番料理。
まず前菜がやってきます。
トマトのサラダとアスパラ豆腐。
どちらもココの何十年も変わらぬ定番前菜料理。
夜の定食やコースにも必ずついてくるモノである意味、ざくろに来るということはこの2つの料理を食べに来る…、ということでもある。そんな名物。

なめらかな卵豆腐の一番下にホワイトアスパラガスが沈んでて、これがツルンとスベスベしていて卵豆腐と違ったとろける感じがするのがなんともゴチソウ。
茹でた薄切りキュウリがシャキシャキ。自家製の酸味の強いマヨネーズがぽってりしていて、食感ニギヤカ。どっしりとしたコクや旨味も味わえる。
刻んだトマトをドレッシングに漬け込んでスプーンですくって食べるサラダはまるでおひたし。刻んで添えた玉ねぎのシャキシャキとした歯ざわり、軽い辛味がトマトの甘みをひきたて、これもゴチソウ。オキニイリ。

せっかくだから追加で刺し身の盛り合わせ。
大きなお皿にたっぷり氷。
そこにキレイに並べられたイカにマグロの赤身に鯛。
「ついで」というにはあまりに立派で、十分メインになってくれそうな華やかさ。
日本料理の世界ではよく、刺身の盛り合わせの大定番は「イカにマグロに鯛」の三点。色合いがよく、しかもいつも手に入りやすい魚だから便利だけれど、凡庸なモノ。
そんなふうに言われたりする。
だけれどどんなに凡庸であれ、ひとつひとつの素材がしっかりしてれば、凡庸を超えた非凡が生まれるんだ…、と、食べて納得。
ねっとりとしたイカの食感。噛んでるうちにどんどんとろけて甘くなってく。
マグロの赤身は限りなく中トロよりの味わいで、ザクッと歯切れてたちまちとろける。ひんやりとした味も風味もかなり上等。
何より鯛がおいしゅうござった。関東にあって珍しい、ブリブリゴリゴリした食感で口の中で暴れてはじけて、ずっと抵抗するたくましさ。

そしてメインのバター焼き。薄切りの和牛を少量のバターで蒸し焼きして仕上げ、焦がさぬように、火を通し過ぎぬようにとその状態の見事なコト。付け合せの野菜にご飯、汁に漬物でひと揃え。
ボクの隣でおばぁさまが、ここのこれなら一人前を食べきることができるからうれしいのよね…、とニコニコしながら食べてらっしゃる。歳重ねると「食べ切れる」というコトがどれほどうれしいことか…、って最近しみじみ思うボク。

醤油がベースのタレがついてきて、それに浸して食べる趣向。
焼いている。しかもバターの風味があるのにタレに浸しても脂がタレに浮かないのです。ならばバサバサしているのか?というと、脂の風味はしっかり残り、しかもやわらか。みずみずしい。焼き加減の妙にうっとり。
茹でたキャベツに茹でほうれん草。甘く仕上げたキャロットグラッセ。焼いたしいたけ、ローストをしたじゃがいもと、付け合せの野菜ひとつひとつがそれぞれ別々に調理されていて、持ち味しっかりしているところも感心します。特にニンジンの甘いこと。クチュっと潰れて旨味ジュースを滲ますところが心憎いほど入念でよい。
お酢であらった千切りにしたホースラディッシュをたっぷりのっけて食べると肉の脂の甘みが引き立って、口やお腹がスキッとするのもまたありがたし。

ご飯がおいしい。ホツっとちょっと硬めのご飯。香りたかくて思わずそこに刺し身をのせて食べたくなる。鯛を一切れ。醤油の中にしばらく漬け込み、味をなじませご飯の上へ。わさびをたっぷりのっけてご飯を包むようにして一緒にパクリ。
刺し身だけで食べるより、刺し身自体の食感、味わいが数段おいしくなるようで、なによりちょっと温度があがっただけで刺し身の風味が強くなるのもステキ。
汁はシンプルに三つ葉と豆腐。出汁と味噌の味がしっかりしていてこれで十分おいしい。
そうそう、ココのお新香皿にちょこんと味噌が置かれてる。鯛の身をほぐして味噌と砂糖で調味した味噌で、飯泥棒と呼んでもいいほどご飯がおいしく味わえる。おみやげで買って買えることもできるのだけど、こんなの買ったら年末年始で肥えちゃいそうで、きっぱり我慢で立ち上がる。

 

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コメント

  1. すうさん

    あー、グラナータのボロネーゼが美味しかったのを思い出しました。TBSが建て替えている最中は仮の建物で営業していたけど気が付いたら無くなっていました。良いお店でしたね!(^^)!

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      すうさんさん
      あの仮の建物にグラナータとトップスが同居していた時代。よく行きました。トップスもどんどん普通のカレー屋さんになっていっちゃって、今のアカサカサカスの地下にあるお店は、あまりに貧しく見ないようにそそくさ前を通り過ぎます。もったいないです。

  2. mohamora

    このトマトサラダ大好きです!!

    ここで売られているドレッシング買って、うちで再現してみました。・・・無理でした(笑)

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      mohmoraさん
      そうなんですよね。ボクも何度も挑戦しましたが、同じにはなりません。本物は店に行って…、というコトなんでしょうね。

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