酒の穴にてカキフライに茶碗蒸し

カキフライの季節です。
かつてこの季節になるとそわそわしながら有楽町のレバンテに行ったものです。
東京フォーラムの中にある店で的矢牡蠣を贅沢に使ったフライがおいしかった。まず生牡蠣をいくつか食べてそれからフライ、〆に牡蠣のピラフと牡蠣づくし。
ところが今年の春にひっそり廃業してしまってた。今年はどこでカキフライを食べようね…、ってタナカくんと話をしていたものです。そのタナカくんもなくして今年は気持ちがワクワクしなかった。
でもやっぱり好物だったカキフライを食べなきゃなんだか寂しくて、それで銀座の「酒の穴」。銀座でカキフライと言えば三州屋のが有名だけど、そのカキフライはラードまじりの油で揚げてて動物っぽい匂いが気になるちょっと苦手な仕上がりで、それでやっぱり酒の穴。

らんげつっていうしゃぶしゃぶやすき焼きで有名な和食屋さんのビルの中にある「利き酒処」。つまり居酒屋。各テーブルに酒燗器が埋め込まれていて、昼にも日本酒をたのしむおじさまたちでにぎわう虎の穴ならぬ酒の穴。
ランチの人気は15種類ほどの料理の中から3品選んで好みの定食に仕立てる定食。カキフライ定食はそれら料理の中から一つ選ぶことができるというのがたのしい仕組み。茶碗蒸しをカキフライのお供に選び、ご飯と味噌汁、漬物が付きひと揃え。出汁のしっかり効いた味噌汁。歯ごたえゴリッとたくましいタクワンはここのずっと変わらぬ味で、これをあてに酒を飲む人も多くてご飯のあてにもピッタリ。

ここのカキフライはパン粉に塩味があらかじめ入っているからソースやタルタルソースを必要としない。
カサカサに乾いて揚がった細かなパン粉が濡れることなく。ソースなどの味が邪魔することもなく。
牡蠣の味わい、香りに風味が口の中を満たす素敵にウットリします。
しかも揚げ具合が絶妙で、牡蠣のみずみずしさはそのままに、表面部分はカチッと熱が入っててさっくり歯切れる。
ゴチソウだなぁ…、ってウットリします。
ここの茶碗蒸しは大きくたっぷりというのが特徴。ランチどきにはこれを目当てに来る人も多いほどにボリュームたっぷり、出汁の風味がしっかりしてておいしくていい。吉宗が閉店してしまって「おいしい茶碗蒸しロス」に見舞われていたタナカくんを連れてきて、ほら、大きいでしょうって自慢をするも食べ始めたら「これ、苦手かも」って顔をしかめる。

見るとたしかにしいたけの山。しいたけが苦手ではないボクにとってはまるでそんなことに気が付かないほどに普通のことで、けれど出汁にもしいたけの味が移っているから苦手だなぁ…、って。
結局二度と誘うことなし(笑)。しょうがない。
しいたけ以外にはエビに鶏肉、銀杏が入った具だくさん。けれどたしかにしいたけの量が一番多いかなぁ。ひさびさ来てみて再確認。
自分が食べたい茶碗蒸しをお店で食べることができないんなら自分で作る。そう言ってよく作ってました。大きな丼で具材は真鱈の切り身に銀杏、鶏肉、魚河岸あげ。ボクの好きななるとも入れて具だくさん。おいしかったなぁ…、また食べたいなぁって思うも自分で作るのは下手くそだからどうしようかって思案する。

 

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コメント

  1. チキタン

    サカキさん
    レバンテ、国際フォーラムの中に移転してましたよ
    国際フォーラムの飲食街?的なところがリニューアルされてて
    たまたま通ったらその片隅にひっそりと
    って感じで
    以前の佇まいの方が断然良かったです
    私はローストビーフも好きでした
    そして酒の穴
    懐かしいです
    そちらの佇まいは変わらぬ感じですね〜

    • サカキシンイチロウ

      チキタンさん
      その移転したレバンテもなくなりました。経営破綻で会社そのものがなくなったんです。

      https://www.ryutsuu.biz/strategy/m040146.html

      国際フォーラムのお店も、ずっと2階のガラスの箱のような気持ちのよい場所だったのが、いきなり地下に移されて、そこで歴史を終えたという、なんだかさみしい終え方で、もったいないなぁってしみじみ思わされました。

  2. チキタン

    サカキさん
    そうだったんですね〜
    まだこの前見かけたばかりだったのに
    ランチとか行列が絶えないイメージの
    昔ながらの良いお店でしたよね
    いきなり地下、、、
    切ない終わり方でしたね、、、

    • サカキシンイチロウ

      チキタンさん
      経営破綻が今年の三月の末だったから、あっという間って感じが強いです。
      ビアホールとしては東京での古参店舗のひとつだったらしく、つくづく残念です。

  3. ままちゃん

    はじめまして。いつも楽しく拝読しております。
    カキではなくて茶碗蒸しなのですが、タナカ様ご贔屓の新宿のデパートの地下に、冷凍ですが、長崎の吉宗さんの茶碗蒸し液と蒸し寿司があります。タピオカティーの近く、色々な地域の食材が並んでいるあたりです。私、九州育ちのなので、たまに購入して癒されています。でも、サカキ様なら、えいや!って作ってしまうかもしれないですね。
    これからも美味しいお話、楽しみにしています。

    • サカキシンイチロウ

      ままちゃんさん
      たまに買ってたのしんでます。高島屋さんの加島屋と魚久さんの売り場の裏側。あの冷凍ショーケースの品揃え、その後側の地方の逸品が並んだ売り場が大好きで、ここだけは伊勢丹に負けぬ魅力が溢れてると重宝しております。

      http://sakakishinichiro.com/wp/blog/%e3%82%aa%e3%83%a0%e3%83%a9%e3%82%a4%e3%82%b9%e3%81%a8%e5%a4%ab%e5%a9%a6%e8%92%b8%e3%81%97/

      吉宗さんの冷凍蒸し寿司と茶碗蒸しで夫婦蒸し。それに同じく凍った皿うどんを作って、まるで吉宗みたいだねって越にいってたのしんでいます。

      はじめまして、これからもたのしいコメント、よろしくお願いいたします。

  4. Note

    サカキさん
    あのレバンテが…そうなんですね。
    上京するとランチに行ったり、牡蠣の季節にはフライもピラフも楽しみでした。シャスールソースもおいしかったですね。
    国際フォーラムでライブを聴くときは、軽く食事したり(お酒も)
    ロビーがガラス越しに見えてワクワクしたものです(遠い目)
    地下に移っても行ったことあるのですが残念ですね~
    趣のあるおいしいお店がまたひとつ無くなってしまいましたが、またサカキさんのブログから、おいしい時間をおすそ分けさせてくださいね。

    久しぶりのコメントで、ハンドルネーム合ってたかしら?小山駅の駅そばもまた召し上がれるようになりますように。

    • サカキシンイチロウ

      Noteさん
      おひさしぶりです。小山への出張が今の時期ということでなくなって、なつかしくってなつかしくって。コロッケを思う存分、汁の中で崩してズルズル食べたいなぁ…。
      そう言えば、生のひやむぎの季節もすっかり逃してしまいました。
      レバンテさん。本当に残念なことになっちゃいました。ピラフにシャスールソースをかけて食べる。おかずにカキフライ。あの贅沢は格別でした。
      無くしてしまうと変わるものが見つからぬモノ。そういうものがひとつ、またひとつとなくなってしまうのって本当に寂しく、かなしいことです。
      思い出はそのままに。新しい味やお店のとの出会いを期待しながら街をウロウロするヒビが続くのだろうと思います。
      コメントありがとうございます。

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