路地の王さま、トンドントンジル、王ろじの午後

新宿の路地の王様「王ろじ」に来る。
伊勢丹近くの路地の一角。昭和の風情を残す生業店で「昔ながらの新しい味」と看板にある。創業大正10年といいますから間もなく100年。
カツレツではない「とんかつ」という料理を日本で最初にはじめたお店だとも言われてる。
正真正銘、老舗であります。
メニューはずっと変わらない。店の規模も大きくはせず、ずっと身の丈。無理しない。おそらく東京の王様だとか日本の王様を目指さず、ただただこの路地の王様をめざしたから変わることなく続けることができたんでしょう。好きな店。一時期ものすごい行列が連日続いたことがあり、インバウンドの人たちの間で火がついてたようなんだけど、今ではちょっと落ち着いた。今日は待たずに座れました。ありがたい。

体格のよいご主人を厨房の中にみつけて、あぁ、歳をとられたなぁ…、って思う。ホールを守る小柄な奥さんがいつになっても若々しくて、なおさら白い頭になったご主人の熟しぶりが際立っていた。
そういうボクも歳をとったもんなぁと思う。
今日びっくりしたのが日本語がネイティブスピーカーじゃない若者が狭い厨房の中に3人…、4人ほどもいましたか。ただの外国人アルバイトなのか、それとも修行で店に来てるのか。妙な企みのせいじゃなければいいがと思う。心配性。いつものようにとん丼ととん汁たのむ。ここではいつもこの注文。

「トンドントンジル」とつなげて言うとリズムもよくて、料理同士の相性もよい。
最初に出てくる王ろじ漬け。
大根、にんじん、ピーマンを麹で漬けたモノなんだけどピーマンの緑の香りがハイカラでシャキシャキとした食感も良い。
お茶と一緒に食べ終えた頃、トンドントンジルがやってくる。
陶器の深めのボウルにご飯ギッシリ。カレーをかけて揚がったばかりのとんかつ。それからソースとカツカレーのような構成。けれどカレーの量は少なくて、あくまでとんかつが主役の料理というのが独特。
このとん丼ができるタイミングに合わせてベーコン、玉ねぎ、しいたけをこんがり炒めスープを注ぎ豆腐を入れる。味噌を溶きつつクツクツ煮込んでとん汁仕上げる。ふうふうしてもずっと熱くて油が旨い。

このとんかつが独特です。豚肉を筒状に成形し衣をギッシリまとわせてこんがり揚げる。
衣は分厚くザクザクしている。けれどそれゆえ重たいか…、というと決してそんなことはなく、ザクっと歯切れてあっさり壊れる。油切れがいいのでしょうネ。スッキリしていてお腹を重たくすることもない。カレーは風味と辛さが強くて旨味は控えめ。主役のとんかつを邪魔せぬようにできている。それに比べて自家製ソースは酸味が強くて旨味もたっぷり。カレーとソースが混じり合い味が完成するようにできているのがオモシロイ。
ちなみにここのとん丼の器。下皿と上のボウルの部分がくっついているオリジナル。ところどころが欠け始めていて今度新しくなるときもこのままこの独特を守ってくれればいいのになぁ…、って思ったりする。オキニイリ。

 

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