虎屋の焼芋形、小松家の生粉打ち三昧

仕事をひと段落させてお茶。
伊勢丹の地下の虎屋菓寮でのんびりします。
寒いのだけど着込んで日向を歩くと暑い。気持ちをどちらにむかっていけばいいのか迷うような水曜。
冷たい抹茶、抹茶グラッセを選んでたのむ。
抹茶と水だけ。氷と一緒に茶筅でシャカシャカ丁寧に点てて泡がふっくら整う。グラスに注ぐと泡がやさしく氷を包む。やさしい苦味とお茶独特の旨みが口に広がって、喉や気持ちを休ませる。
お供に明日で終わりの季節の生菓子、「焼芋形」選ぶ。さつまいものあんを羊羹でくるんだお菓子で、淡いピンクにうっすら茶色が浮かぶ様…、まさに焼芋。日本のお菓子は自然を装う。栗から生まれて栗より栗の栗きんとんに似た風情漂うやさしいお菓子にウットリします。こういう日本はオキニイリ。

 

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それから再びひと仕事。
家に帰る前にちょっと小腹を満たしておこうと、蕎麦にする。
新宿高島屋の食堂街に「小松庵」というお店があって、好きな蕎麦屋のひとつでよく来る。
大きな窓の向こうには西新宿の超高層ビルが間近に見え、都会的。
けれど格子の仕切りで仕切られた入口近くは、光もやわらか、のんびりできる。

スーツ姿の男性支配人は腰が低くて笑顔やさしい。
エプロン姿の女性スタッフはみんな髪を後ろにまとめ、仕草優雅でいそがしいときもバタバタしないところがステキ。

そば茶を飲みつつのんびり待ちます。チャチャッとすぐに味わえる立ち食いそばのようなお店もいいけれど、のんびり待つのがたのしいお店もまたいいものです。お待たせしましたと、笑顔とともに料理がきます。

ココではほぼこれだけしかたのまぬココノオキニイリ。
「生粉打ち三昧」という料理。

そばの芯まですべてを挽いた田舎風の蕎麦。
蕎麦そのものの風味を思う存分楽しむことができる力強さが特徴で、若干太打ち。
だから「蕎麦を食べた!」って気持ちになれるのがボクは好き。
その生粉打ちそばをいろんな食べ方でたのしませてくれるというのがこの料理。

お膳の上にいくつもの器がきれいに並ぶ。
蕎麦屋の料理というよりも、日本料理のお膳のごとし。
ざるの上には冷たいせいろ。
右手向こうには天ぷらがあり、せいろの手前にそば猪口ふたつ。
ひとつはそばだれ。
ちょっと大きな猪口にはくるみのタレがたっぷり。くるみのタレの向こう側には焼き塩。そばだれの器の脇には薬味のお皿。
ひとつだけ蓋をした器があって、開けると中には鴨南蛮。蓋まで熱々。やってきた直後は器を手にすることもためらわれるほど熱くて、蓋をとった途端に蒸気と一緒においしい香りがやってくる。
細かく花をひらかせるように揚がった天ぷら。エビに穴子にしし唐に茄子。穴子が分厚くそっくり返って揚がっているのにお腹がなります。オゴチソウ。

せいろをいろんな楽しみ方できるのがいい。
まずはそばだれ。
醤油の風味がみずみずしくて、カツオと昆布の旨み、甘みが力強い。風味豊かな生粉打ちです。タレにとっぷり浸して味わう。
ワサビをちょこんとのっけてズルリ。
ワサビの香りがツーンっと鼻から抜けて、蕎麦の甘みや香りが際立つ。
天ぷら用にと用意されてる塩をパラリと蕎麦にほどこし、七味を散らしてズルリとたぐる。
七味の香り…、胡麻や山椒、陳皮の香りがそばをなにやら別の食べ物にしてくれる。塩が蕎麦そのものの甘みを引き出し味もしっかり整うところがまたオモシロイ。
くるみだれには刻んだキュウリを薬味につかう。くるみのどっしりしたコクと香りをキュウリがスッキリさせる。青くてさわやか、みずみずしくてシャクシャクとした食感もまた蕎麦の印象を際立たす。

鴨南蛮の鴨の分厚く、脂がのっておいしいこと。
ざっくり歯切れて鴨独特の血の匂いとでもいいますか…、レバーを焼いて食べたと気に感じるコクや香りがフワッと漂い消える。
鴨の脂で焼いたネギ。
こんがり焦げて、芯までトロトロ。甘くてスルンと口の中を滑りころがる。
ちょっと甘めのツユに脂がキラキラ浮かぶ。つめたいときには気づかなかった蕎麦のネットリした食感や、強い香りにウットリしながら、スルリスルリとたぐって味わう。
エビの天ぷらを鴨南蛮の中に突っ込みザクリと味わう。天ぷら衣の油が鴨の脂にであって汁は濃厚。天ぷらのエビもたくましく、カリカリ揚がった尻尾もキレイに味わい食べる。そばだれにネギをパラリと放り込み蕎麦湯を注いで、午後の小腹に蓋をする。

 

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