若冲展

B1ポスター_0120都立美術館で開催中の「若冲展」を観に行った。
伊藤若冲生誕500年を記念しての過去最大の規模の催し。
さすがに平日というのにスゴい人出でビックリ。
開館前に到着したのにすでに行列。
故あってちょっと特別扱いしてもらったけど、それでも30分ほど並んで待った。
早い人はなんと6時から並んでいる…、というのです。
美術鑑賞は、芸術の授業じゃなくて、体育の授業に分類されるべきモノじゃないかと思ってしまう(笑)。

数年ほど前も、伊藤若冲の作品展を観たけれど、初展示。しかも今回限りの作品群も展示されてるというコトもあり、会場の中はかなりの熱気。
シニアパワーにタジタジとなる。

奇才と言っていいのでしょう。
江戸時代の人です。
だから基本、日本画の人。
屏風絵や掛け軸画が作品のほとんどで、だから今回最後の展示と言われる仏画をみると、なるほど日本画…、と最初は思う。
ところが仏様の足元で戯れる不思議な生き物や、極彩色で描かれる木々花々を見てるとどこかインド風であったりアラビア的であったりと、どんどん訳がわからなくなる。

何度も何度も描かれ続ける鳳凰なんて、手塚治虫の火の鳥そっくり。
大胆なほどの省略やデフォルメされてる描かれた作品群は、グラフィックデザイナーの手になる作品のようでもあって、つまり「場所と時間」をスルンと超えた、どこか不思議な時代と場所の産物みたいなオリジナル。

観るたび圧倒されてしまいます。
観察の人と言われます。
お手本をなぞるのでなく、自然のあるがままのものこそお手本と「見て描く」ことの結果の作品。
鶏だとかが有名で、たしかに細密に書き込まれた筆の跡をみると見事で、活きてるように見えてくる。
けれどその描かれたモノの配置や姿に色彩。それらはすべて彼独特の創造物で、手本を超えたスゴさに満ちてる。

jaku torajakujakuchu zo

油絵じゃないはずなのに、こってり絵の具を塗りこめるそれで盛り上がったように見える絵がある。
近づきみれば、筆先ひとつで盛り上がってるように描かれたモノだとわかってビックリします。
小さなマス目を描いて色をのせていく、まるでデジタルカメラの映像が四角い画素の集合体であるのと同じな屏風絵だったり、驚くべき発想が手を伝って紙の上に移って残る作品群。

しかも中には70歳とか80歳の前半の作品がある。それらがなんともみずみずしさくて、自由な発想に満ち溢れている。
その作品を仕上げるまでの執着心と体力が、いかばかりであったのだろうと圧倒されて勇気が出ます。
実物をみないとわからぬコトがある。それが本物と思ったりもした。良い経験をいたします。

コメント

  1. RHEIA

    げげ、平日でもそんな人出なのですか。
    弱ったなぁ…
    伊藤若冲、インド仏教っぽいトロピカルな感じが結構好きです。あれで本業は青物問屋のおやじだったというから仰天。いやまぁどっちが本業なのかはわかりませんが。
    頑張って見に行ってみようと思います。

    • サカキシンイチロウ

      RHEIAさん
      青物問屋の経営はすっかり人任せだったようですね。
      野菜を描いた巻物が展示されてましたけど、商売のネタをこれほどまでに客観的にかけるなんて、商売人には出来ないことだろうなぁ…、って思って見ていました。
      行列も大変ですが、展示室の熱気には心底、圧倒されました。

  2. まーさん

    そうですか、そんなに行列ですか。明日行こうと思っていたのですが、少し気が重くなりましたね。休日なのでなおさらでしょうね。でも今年最大に楽しみにしていた展覧会なので、何としても。。。

    • サカキシンイチロウ

      まーさんさん
      やはり実物はスゴいです。
      だからぜひ。
      9時半開館ですので、9時前に並び始めればまだ行列時間は短くてすむように感じました。

  3. Diana

    三の丸尚蔵館所蔵品があるせいか,開催が東京都美術館だけの1カ月のみなので,激混み必至。
    シニアの方々は,朝イチ入館→上野でランチ をプランニングしているようで,午前中が一番混んでいるような気がします。
    TVで見ても,スゴイですけど,生の迫力はべつものですよね。
    楽しみです。

    • サカキシンイチロウ

      Dianaさん
      まさにボクはそのシニアプログラムをなぞったようであります。
      ただ、9時15分に到着。
      50分くらいに見始めて、見終わったのが12時前。
      その時には美術館の建物をグルリ、取り囲むほどの行列でした。
      ゴールデンウィークは大変なコトになるのでしょうね。
      でもぜひ、見ていただきたい。実物の迫力は格別です。

  4. チキン

    若冲展、すごく行きたいけれど、GW中はとんでもない人だろうから、ちょっと諦めてます。鳥獣戯画のときも、あまりの人に諦めちゃいました。
    ただ、若冲は本当に奇才というか、ずば抜けたセンスを持っていますよね。これが江戸時代の作品とは
    とても思えません。生で観たら、きっとすごいんだろうなあと思いつつ、今回は見送るかも。
    もしくは、閉館前に行くかですね。

    • サカキシンイチロウ

      チキンさん
      こういう作品がなぜ期間限定でなくては見れないのか、日本のアート環境の貧困をまざまざと感じてしまいます。
      日本の作品を海外から借りてこなくてはならない事情も切なくて、なんだか悔しくなっちゃいます。

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