胡麻に切り海苔、鰹節。新宿渡邉そば三昧

朝から降っていた雨が止む昼。寒くてブルブルしちゃう昼。
蕎麦が無性に食べたくて、電気街の一角にある「渡邉」にくる。
ちょっと上等なムードが漂う街の蕎麦屋さんです。間口はそれほど広くはない。けれど奥へ奥へと客席が広がっていく、かなり大きく居心地のよい落ち着いた空間。店の中程にガラスの箱。そば打ちコーナーになっていてそこの手前に一人客用の大きなテーブル。そば打ちの様子を眺めながらの昼食とする。
力仕事なんだなぁ…、ってしみじみみつめる。しかも粉がみるみるうちに塊になり、薄く伸ばしたかと思うとあっという間に麺になる。劇的に姿を変えるまるでドラマのような景色にウットリしながらお茶を飲み、お腹をグーグーならして待った。

たのんだのは「そば三昧」。
丸いザルに冷たい蕎麦。
薬味三種で蕎麦三昧。
寒い日だから熱い汁そばをとも思ったのだけど、朝から冷たい蕎麦を食べたかったのです。
唇の間をツルツル、滑って割り入る麺の感触。
ザクザク歯切れる食感に、口の中で散らかっていく騒々しさ。
喉をひんやりさせたくて、冷たい蕎麦。
この店の冷たい蕎麦の騒々しさはかなりのモノで、だからこの店を選んだ次第。細いながらも角張っていてキリッと凛々しい麺線です。薬味は海苔といりごま、鰹節。薬味が変わると蕎麦の風味が劇的に変わるところがオモシロイ。

山芋とろろがついてくるのがうれしいところ。
出汁で薄めに味が整う。
とろろの風味を感じる程度の味のつきかた。
青海苔が上にぱらりとほどこされ、混ぜると芋の香りと海苔の風味がふわりと漂う。
蕎麦を絡めてポタッと食べる。
蕎麦がとろろに包まれて、太い一本の麺のように振る舞うところがおもしろい。
あるいはとろろ自体が形を持って喉に向かって一直線に駆け下りていくような感覚。
オモシロイ。

とろろの若干イガイガするような感じもたのしい。つけダレをちょっとあとがけ。スルンとすするとタレの香りが鼻からツーンっと抜けていき、あとからモワッととろろの風味がおいかける。滋養に満ちた昼のごちそう。

ちなみにここのタレは濃い味。醤油の風味が強くて口に含むと醤油を飲んでるように感じる。ところがそばと一緒にたぐると最後に出汁の風味がフワッとやってくる。そばをパラリと七味をかける。辛味がキリッとタレの味わいを引きしめて、それに続いて胡麻の風味や陳皮に山椒。わさびで食べる蕎麦も旨いが七味がもってる変幻自在、奇々怪々を味わうそばもまた旨し。
サラサラの蕎麦湯で割って飲むつけダレは、はっとするほど出汁の風味をおいしく感じる。昆布の甘みに節の酸味。この出汁を食べてたんだと思うとなんだかもったいなくて、今度は熱い蕎麦にしようかと思って変える。腹、軽し。

 

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