羽田のカレーうどんでしんみり思う…。

羽田第一ターミナルにカレーうどんのお店があります。
かつてそこにはカレーショップがありました。
とても普通のスタンドカレーで、ほどほどおいしく流行ってた。
ただやっている人たちが飽きたのでしょうか。徐々にお店のムードがぼんやりしてきた。お客様は飽きてないのに、同じことをずっと続けているお店の人が飽きてどうにかしくちゃって勝手に思うようなコトはある。
それにおそらくちょっとでも高い客単価の業態にしたい…、あるいはしなくちゃいけないという何か事情があったのかもなぁと今となっては思いもします。1年ほど前にカレーうどんの専門店として再開業。「cuud」というオサレな名前の店になってはみたものの、これが一向に人気が出ない。

理由はいろいろ考えられる。
店が立派になりすぎた。
店の内外を隔てる壁はほとんどなくて、大きな暖簾で仕切っただけ。
なのに伺い見れる中の様子があまりに上等。しかもお客様があまり入っていないから、中がチラチラ見えるというのが入りにくさを演出してる。
店の内装もかなり贅沢。大きな厨房。色調シックなモノトーン。
客単価を上げるから客数が減ってもいいという判断があったのでしょう…、客席はカウンターだけでちょっとみると外人向けの寿司屋のように見えてしまう。

これら不具合のすべてを一言でいうとするなら「気合が入りすぎちゃった」。
飲食店をプロデュースするときってみんな気合が入るのです。
店を作る人。運営する人。企画する人、商品づくりをする人とみんな気合の塊で、それをそのまま勢い任せて店にすると「気合の入りすぎた店になる」。
気合の入っていない店は最低だけど、気合が入りすぎるとお客様には熱苦しい。熱いのはいい。熱苦しいのは野暮天で、気合を脱力のバランスをいかに作るかがプロデューサーの腕の見せ所なのだけど、ココはいかにも熱苦しい。

なにしろ商品そのものも熱苦しいもの。
カレーうどんだけの専門店です。
素焼きの陶器の丼に、カレーうどん。上にあしらいの野菜が彩り添えていて、サイドの料理が3つつく。
一つは出汁。一つは野菜のピクルスで、最後はご飯。
鰹節の出汁で炊いたカレーだから、その出汁をまず味わって…、というのは決して悪くない。
カレーの薬味にピクルスをつけるお店は結構あるから不自然でなく、カレーのお供はやっぱりご飯。だからとても当たり前の組み合わせだと思えるんだけど器の横に「食べ方マニュアル」が置かれるのです。
おいしく食べてもらいたいという作り手からのメッセージなのだけど、それを読んでると面倒くさくなってしまう。人は大体取説嫌いにできていて、食べるものにまで取説が付くってかなり面倒。余計なお世話になりかねない。

料理自体は決して悪くないのです。
酸味のきいてすっきりとしたカレーで濃度も程よくぽってり。野菜が中に溶け込んでるのでしょう…、ザラッと繊維を感じるところがなんともおいしい。
うどんは細い。稲庭うどん的なサイズで、けれど断面はキレイな正円。あくまでうどんらしき姿で、ちょっとねっちり茹で上がってる。カレーとの絡みも良くって口の中がおいしいカレーで満たされている感じがするのがいい感じ。

ただサイドのピクルスの代わりに例えば天ぷらなんかが置かれていたら。あるいは鳥の唐揚げなんかがあったなら。随分客層が広がっただろうって思ったりする。野菜をテーマに店づくりして野菜の呪縛に囚われた…、ってそんな感じが勿体無い。
ご飯をレンゲですくって浸す。それで食べてと取説にあり、確かにおいしい。けれどご飯をすくった後の器の汚いこと。ご飯粒がベタベタつくし、しかも潰れて無残な姿。これを食べ方を指図するならキレイに食べる食べ方を…、って思うとますます残念になる。
鰹節の出汁だけゴクリ。かなり荒々しい風味の出汁で酸味が強い。カレーに注ぐとあら、不思議。出汁の酸味とカレーの酸味が作用しあって互いを消し合う。出汁の風味はそのままにおいしいカレースープになるのに感心します。ご飯は残して〆ました。

 

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コメント

  1. koku

    うーん・・・気合が入ってるというより、私には「なんとしても感度の高い女性客=インフルエンサーをインスタ経由でヒット」的コンセプトを、何も考えずに単純に、強引に、無理やりはめ込んだだけな気もします。

    今やそういうコンセプトのパッケージは掃いて捨てるほど作られ売られてますし、お金さえあれば「そういう店にするだけ」なら本当に簡単です。デザインやトリセツはもちろん、唐揚げじゃなくピクルス付けるのもまんまソレ。確かにインスタは人によって(特に若者や女性にとって)食べログとかよりも効果的ですしね。

    ここも健康志向をウリにしてる店っぽいですけど、そもそもカレーが野菜をふんだんに使ってるなら合わせるのは肉や魚の方が健康バランスもいいのは子どもでも解ることで、まあだから健康云々よりイメージ先行なわけです。ベジタリアン専門の店と銘打ってるならまだ解りますけど。

    以前は主にスイーツ系、カフェ系だけでしたが、もう今はジャンル問わずこのテの店はそこらじゅうに腐るほどあるので、最近はそれを察知しただけで入らなくなりました(笑 男目線だと、押し付けるオシャレって暑苦しいどころかシラけるだけ。私のような老害ジジイだけでなく、そういう男性客は相当数いるんじゃないかな・・・

    最近の飲食業界は、どうやら世の中には女しかいないと思ってるみたいでそれは別にいいのですが、だったらいっそ他の業態にしたほうがいいんじゃなかろうか、マンモス駅の仲見世ならまだしも、どんだけオシャレにしようが女性が空港でカレーうどんはないよなあ・・・と思うのは私だけかなあ。それより出張行き帰りにささっと食べるリーマン男をターゲットにした方が絶対にいいと思うんだけど。

    まあ私の考えが古いだけなんでしょう。もうなんかよく解りません(^^;

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      kokuさん
      おっしゃるように女性をターゲットにしたお店ばかりが増えてきます。
      お金をたっぷりもっている大企業に新業態のプレゼンをもっていくと、必ずこう聞かれます。
      「女性ターゲットのコンセプトを求めてるんですよね」…、って。でもみんなよってたかってその市場に出ていこうとするので競合がどんどん激しくなっていく。確かに女性は外食にお金を落とす人たちではあるけれど、競争激しいということは一つのお店当たりに落とす金額はどんどん小さくなっていくということ。
      しかもそういう会社の社内には、たくさん女性がいるのに彼女たちに任せたりしないんですよね…、社外の「女を売り物にしたコンセプトメーカー的」なる人たちの意見を聞く。お金で買っただけのノウハウだから、運用していくうちに徐々に歪んでいくし、臨機応変に時流の変化に対処することもできなくなる。
      不思議なお店が増えてく日本。
      不思議です。

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