美食家のサラダとウィンナシュニッツェル

頭の中に昨日の夜からずっとウィンナシュニッツェルが居座っている。
どうしようもなく、ラ・ブラスリーにやってくる。
帝国ホテルの新館の地下。ビールを一杯ひっかけるような気軽な気持ちでフランス料理を…、というコンセプトで作られた店。ムードは明るい。
メインダイニングの大きさがボクは好きで、鏡張りの大きな柱がまず真ん中にどっしりとある。それを囲むように40席が配置されていて壁は仕切りはない。けれどいい具合に柱が邪魔して、どこに座っても20席ほどしか見通すことができない構造。
にぎわいは40席分。落ち着きは20席分という親密な空間が料理をおいしくしてくれる。スタッフの数も申し分なく、サンペリグリノをテーブルの向こう側、不在の席に飾って食事をスタートします。

「美食家のサラダ」なる晴れがましい名前の料理がテーブルサイドで仕上げをみる。
葉っぱ野菜にサイコロ状のフォアグラ、カニの蒸し身にソテした茸をボウルにあわせドレッシングをまとわせる。そのドレッシングの酸っぱい香りがまずおいしくて、食べる前からお腹の入り口がスッとひらいた。
そのドレッシングは香りの通りにすっぱくて、口の中がキリッと目覚める。フワッと蟹が口でほぐれてネットリとしたフォアグラが濃厚味を披瀝する。ジロール茸やモリーユ、しめじ、トロンペットと多彩な茸のソテの食感、味わいを噛みしめながら味わい、お腹の準備が整う。

そうしてメインのウィンナシュニッツェル。
この店が開業した当初からの定番メニュー。
ボクの中ではウィンナシュニッツェル=ラ・ブラスリーとイメージづけがされてる料理。
仔牛の肉を軽く叩いて薄く伸ばし、細かなパン粉をぎっしりつけて油で揚げ焼く。
こんがり色づく衣の上に薄切りレモン。茹でた玉子の白身と黄身をみじんに刻んでオリーブ飾る。目に麗しいオゴチソウ。半分に飾り切りしたレモンは種が丁寧に取り払われて、フォークを果肉の断面にさしてグイッとねじってたっぷりシュニッツェルの上に注いで風味をつける。まずはそのまま切って一口。カサカサパン粉が散らかりながら仔牛の肉とまじりあう。
繊細な肉の旨味に焦げた香りと油の風味が混じりつつ、レモンの酸味ですべてがキリッとまとまり消える。あぁ、うまい。

グレービーソースが添えられます。肉の旨味を煮詰めて作ったどっしりとした風合いで、軽い酸味の引きしまった味。カツレツの上に刻んだゆで卵をちらしたところにソースをかける。サラサラとしたソースに卵が混じってとろけ、衣にしっかりまとわりついてコクも出る。
同じように肉を揚げた料理が日本にはたくさんある。とんかつなんてその代表で、ただとんかつはあくまで豚肉を味わう料理。パン粉衣をあたかもオーブンのように利用してふっくら、しっとり仕上げる調理法だけど、シュニッツェルは衣と肉の一体化した肉とは別の食べ物で、油っこいかというと決してそうでもなくて大きな一枚、ペロリお腹におさまっていく。どうにもこうにも好きなんだからしょうがない(笑)。

 

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