維新號…、土鍋フカヒレ煮込みを食べて満たされる。

ちょっと贅沢をしましょうと、中国料理の維新號。
赤坂の紀尾井町に本店があり、都内に何軒も店があるけど、中でも一番贔屓なのが新宿三丁目の伊勢丹の駐車場ビルの中の一軒。
窓が大きく明るくて、テーブル同士がゆったり置かれてとても落ち着く。
伊勢丹を中心にした街の中でもちょっと離れたところにあって、ココが新宿?って思えるほどに静かなお店。
特に夜はのんびりしてるのが普通なんだけど、今日はニギヤカ。宴会場や個室はみんな予約で埋まっているという。禁煙席もほぼ一杯。早くお腹が空いたのでやってきたのがまだ5時ちょっと過ぎ。まだ煙くない喫煙席の一角もらってそそくさ食事をスタートします。ちょっと上等な紹興酒をひと瓶もらってオンザロックでお供にします。冷たくしても飲むと体があったかになり、スッキリとした酸味がおいしい。まず前菜。

クラゲに白菜、生麩巻きをひとつ、お皿に盛り合わせ。
白菜の甘酢漬けは中国料理の前菜料理の代表的なもののひとつ。
いろんなお店で見受けられるけど、店によって流儀がちょっとづつ違ってたのしい。
この店のそれは優雅で丁寧。
白菜の繊維にそって同じ長さに切りそろえている。
芯に近いところは細く葉っぱのところは若干太めに。口に入れたときの歯切れ感が均一になるようにしてアジは若干甘めで強め。
シャキシャキ噛むと、口が紹興酒をねだるおいしさ。
クラゲはバリバリ、奥歯のところで爆発するように砕けて、耳の奥までおいしく感じる。

湯葉のようにシート状になった生麩を醤油に漬け込み、味を含ます。味を入れたしいたけ、筍を細かく刻んで巻き込んで一口大に切り分けたモノ。スベスベハリがあるのに噛むとジュワッと醤油の旨みが染み出す。にもかかわらずずっとスベスベしたままでお腹の中に消えるたのしさ。続いてエビ。才巻海老の湯通しという、シンプルこの上ない料理。

エビの鮮度が命のような料理でもありココはついさっきまで生きてたエビを選んで作る。サイズのしっかり揃ってて、頭も尻尾も色鮮やかでうつくしい。
キレイに磨かれたステンレス製のフィンガーボウルにぬるま湯、輪切りのレモンが一枚浮かんで用意されてる。指でつまんで殻を剥く。まずは頭をパカンとあけて、脳天のやわらかいとこをチュチュっと吸って味噌を味わう。もう甘くっておいしいエビの予感をさせる。
新鮮なエビの殻はスルンとキレイに剥ける。脚をパリポリ、尻尾をカリカリ食べつつタレの準備をテキパキとする。中国醤油とネギ油、生姜や刻んだネギや赤唐辛子と調味料や薬味の風味で味が整う。さぁ、パクリ。
裸になったエビはムッチリ。口の中でムチュムチュ、エビそのものが甘くて旨い。食べ終えてしまうことがもったいなくなるほどおいしい、オゴチソウ。

そして今日のメインが登場。土鍋で炊いた大きなフカヒレ。
維新號の名物料理のひとつ。

ボクにとって、ここに来るということは、ほぼ間違いなくこの料理を食べるというコトで、それ以外の料理は、いかにこのフカヒレをおいしくしかも冷静に食べるためのお腹と気持ちの準備をするか。
そしてフカヒレを平らげたあとの余韻を壊さぬようにお腹をほどよく満たすかという物語作りにほかならないほど。

分厚いフカヒレ。繊維の一本一本がしっかりしていて、ハリがある。
繊維の隙間に箸を入れ、一口大にとりわけスプーンの上にのっけてスルンと口の中にすべらす。
プルンとします。そしてザクッと歯切れてちらかる。フカヒレを炊いたスープはポッテリ、ゼラチン質が溶け込んでどっしりなめらか。
唇同士が貼り付いてしまうほどに濃厚で、それをご飯の上にそれをのっけて一緒に食べると、ご飯もスベスベ。舌の上を転がりすべるような食感。
白胡椒をたっぷりふって黒酢も少々。胡椒の香りが詰めた上湯の香りを明るく華やかにして、黒酢は旨みをひきしめる。
豆板醤をほんの少々。辛味がビリッと次のひとくちをねだるおいしいアクセント。かなり大きなフカヒレで、しかも味わい濃厚。ズッシリお腹に響いて気持ちも満たされる。

〆に土鍋の伊府麺。これもココの名物料理の一つ。ひさしぶりに来てたのんだら、ちょっと仕上げ方が変わってました。かつては具材も全部麺と一緒にグタグタになるまで煮込んだモノだった。それが今日のは麺だけスープと一緒に煮込み、仕上げに具材をあんかけにしてのせたものになっていた。
鶏がらスープと上湯をあわせたスープが、麺にしっかり染み込んで表面ヌメヌメ。コシはなくしているけれど、まるでスープを麺の形にしたようなみずみずしくておいしい仕上がり。
そこに醤油風味のとろみがからみ味わい濃厚。豚肉、鶏肉、イカにエビ。しいたけに豆と具材華やかで、なによりいろんな旨味や風味がとけこむスープが旨い。ゴクゴク飲んで、器の中はきれいさっぱり見事に空っぽ。かわりにお腹と心が満たされました…、オゴチソウ。

 

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