紀伊國屋のジンジン、ルノアールのレトロなプリン

大きな地震がくると確実に倒壊してしまうと前々から噂されていた新宿の紀伊國屋書店のビル。
いつかは建て替えられる運命だ…、と言われていたけど建て替えでなく耐震基準を満たすための改修工事をすることになったよう。
確かにル・コルビュジエの弟子、モダニズム建築の巨匠のひとりと言われた前川國男の手になる建物。東京都選定歴史的建造物でもあって、建て替えるにはもったいない。
価値ある建物を易易と壊して効率的な建物にしてしまう昨今の風潮に流されぬ判断は、さすが新宿の文化の担い手と思うも、それにあわせて地下の飲食街が閉鎖されるというのはさみしい。あと一ヶ月はまだ営業というのに、カレーのモンスナックの上にはすでに長い行列。サラサラカレーも思い出ぶかいかれど、このフロアで一番お世話になったのは「Jin Jin」っていうスパゲティーの店。

今ではナポリタンおしの、大盛り系スパゲティーのお店で売っているけど、昔は和風炒めスパゲティーの店だった。
茹でおきの麺を、注文のたびにジャジャっと炒める。
具材によって醤油系や塩、ケチャップとタレやソースに特徴があり、茹でおき麺に独特のバッサリとした歯切れ感が痛快だった。
「ちゃるめら」や「中華三昧」の製造元、明星食品の経営でした。
ところが明星食品が日清食品の子会社になったことで、日清食品の業務用パスタ麺の実験場のようになった。
生パスタブームに乗じて麺が変わって、それに合わせてソースも変わりボクの好きだったスパゲティーとは「似ているけれど違う料理」になっちゃった。

「茹でおき」よりも「茹でたて」の方がおいしくて上等だからってメニュー作りが、果たして本当なんだろうか。中国料理のお店ではコシと歯ごたえの良さを出すために蒸して一晩寝かせたものを炒め直して使ったりする。炒めスパゲティーニは注文を受けてからの調理時間が短くてすむ以上の価値があるはずなんだけど、なやましい。
そう言えば同じフロアにある「水山」といううどん屋さんに油そばの「ぶぶか」も同じグループ。ちなみに日清食品が「サガミチェーン」って外食会社に売り飛ばしたから名古屋の会社になっちゃった。果たしてこの先、どうなるんだろう…、ってしみじみしちゃった。
それにしても飛沫防止シートが晴れ下がる野戦病院の食堂みたいな哀れな景色。カウンターの上のほとんど終わりかけのタバスコも、もう新品に置き換わることはないんだろうなぁ…、と思うと哀しい。おひるどき。

 

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昼食を終えてルノアールでちょっとのんびり。
分厚いおしぼり、氷がぎっしり入ったグラスに冷たいお水。座り心地のよい椅子にのびのびとした空間が、今の時期には本当にうれしい。
テーブルの上のメニュースタンドに「レトロプリン」のポップメニュー。「ちょっと固めの…」というフレーズがココロをガツンと掴んではなさないから、それをたのむことにした。
お供にガラナ。今みたいに湿度が上がって徐々に蒸し暑さを感じるようになると飲みたくなるシュワシュワドリンク。コーラドリンクのひとつになるのだろうと思うのだけど、スパイシーでなのにさっぱりした飲みうk地で泡が細かくなめらかなのがオキニイリ。氷をぎっしり詰め込んだ足高のグラスに注ぐと細かな泡が氷の表面にびっしり張り付き、甘い香りを閉じ込めた泡がプチプチはじけて香る。口に運ぶ前から爽やかを感じるゴチソウ。

たっぷり時間をかけてお皿に盛り付けられてやってきたプリン。
確かにレトロな姿でまるでプッチンプリンのようにカラメルがこってりプリンの頭に張り付き仕上がっている。
スプーンを入れると固いです。ズズッとスプーンが沈んでもったり持ち上がる。
舌にのせるとどっしり重たく、味は昔のプリンの味。…、と言いながら昔のプリンの味ってどんな味なんだろうと考えるとそこにあるのはハウスの家で作るプリンでそれのとても上等で固くてどっしりしたものってそんな感覚。
子供の頃にこれを食べたらおいしいと感じたろうか…、って大人である今を感謝するような濃厚な味。食べ終わってもお皿にカラメルの垂れのひとつものこってないのにびっくりしました。お茶もおいしい…、オキニイリ。

 

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