端正で力強い味。紅蘭の焼売に叉焼

前から来てみたかったお店を訪ねる。
銀座から築地に向かって20分ほど。築地本願寺さんのちょっと手前の北側…、駅でいえば新富町の駅から近い小さな路地の一軒家。
「紅蘭」という中国料理のお店がその場所。
著名なホテルの厨房を預かっていた調理人が独立して作ったお店。通常営業は昼だけで、夜は予約でかつての腕を思う存分ふるうんだという。
ちょっと探した。こんな場所にというしずかなところ。お店に入るとおいしい香りにお腹がなります。カウンターの中に厨房。2階にテーブル席があるようで、でもやはりカウンターが上席でしょう。白髪にコック帽。熟練の手付きで料理を作るご主人の姿凛々しく、仕事は丁寧。うつくしい。
昼のメニューはラーメン、野菜炒めに盛り合わせ定食の3種類。大盛りがあったり追加でシューマイがたのめたりするけれど、よほどの自信がないとこういう絞り込んだメニューで商売はできないもの。期待でお腹がグーグーなります。

しばらく待ってやってきた盛り合わせ定食。
シューマイ3個。
チャーシュー2枚。
ライスに漬物、それからスープ。
仕込みをしっかりしないと出せない料理ばかり。手間をどれだけかけたかがおいしさを決める料理だったりもする。
どちらも見るからにおいしそう。
シューマイは大きく表面蒸気でつややか。
ずっしり重たく生地は薄くて、なのにむっちり弾力がある。
包んだ肉は粗挽き豚肉。その断面はゴツゴツしてる。
噛むとガツンと奥歯を叩くような食感。噛みごたえがあり肉のうま味や生姜の風味、脂の甘みが口にひろがる。
よその焼売とまるで違った別次元のおいしさとでもいいますか…、芥子をたっぷりのせても辛みがやわらぐほどの肉のうま味にウットリします。

ナタ切りにしたチャーシューは五香粉の香りと肉の風味が混じって本格的。脂がねっとり、絡みつくような食べごたえ。白髪ネギに甜麺醤が添えられてるのがまたうれしくて、ご飯と一緒に食べてザクザク、歯ごたえたのしむ。
スープがワンタンスープというのが得した感じ。
しかもスープ自体が上等で、ワンタンの皮はハリがあって歯ごたえもよい。餡はたっぷり。このスープで食べるラーメンも旨いだろうなぁ…、って思ってお腹がまたグーとなる。
漬物が中国風のものでなく、大根、ニンジン、キュウリのぬか漬けというのが粋で、ご飯もすすむ。
お店の人の親身で元気なサービスも一流でした。オキニイリ。

 

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