秋がはじまる、雅味近どう

新幹線を名古屋で降りて名鉄にのり岐阜にむかう。
岐阜羽島で降りてしまうと、田舎に来ちゃったってしんみりしちゃう。けれど名鉄で住宅街の間をぬって北上すると違った景色にワクワクできる。
それにしても土砂降りでした。
前回、岐阜に来たときも台風もどきの大雨だった。柳ヶ瀬ブルースな感じでござる(笑)。
雅味近どうで夕食をとる。秋の入り口に季節を料理で感じる企み。
まず手始めにとやってきたのが虫かごで、竹の扉を上げると中に鈴虫ならぬ川蟹がいる。黄身の味噌漬け、サンマの梅煮、穴子の押し寿司、豆腐のジュレがけ。茸の胡麻和えに銀杏と秋を感じる料理のさまざま。川蟹バリバリ齧ってお腹の入り口パカンとこじ開ける。

お椀がきます。霧吹きで小さな水滴をつけた蓋をとると中は巣ごもり仕立て。千切りにしたごぼうににんじんを汁に沈めて、そこに魚のすり身と豆腐で作った浮身を乗せる。おいしい出汁が体に染み入る。ほっこりします。
それから刺し身。鯛にイカ、まぐろの三点盛りだけど、見る角度によってまるで違った景色になるのがオモシロイ。ぶりぶりとした活け〆の鯛。イカはねっとり、とろけるようでまぐろの脂がまた旨い。ところで醤油。お江戸の醤油ほどキリッとしてなく、上方醤油ほどに旨味が強くない。こってりとして醤油らしい醤油といえばいいのかなぁ…、魚をおいしくしてくれる。

それから蓋付きの陶器の器。
あぁ、あれだなぁ…、とみんなの表情がほっこりとなる。
ここの名物のあんかけまんじゅうに違いないと、蓋を開けるとたしかにそこにはコロンとまんまる。
団子のようなまんじゅうにとろんとあんがかけまわされてる。
まんじゅうの上にちょこんと黄色いなにか…。
さつまいもか?と思っていたら、お店の人が「栗まんじゅうでございます」と…。
あぁ、秋だなぁ…。
しかも岐阜といえば中津川の栗きんとんに代表される栗の産地。
今年は気候がよかったからか、栗は豊作。甘みも身質もいいんだという。
茹でた栗をすりつぶし、そのデンプンだけで蒸してまとめたまんじゅうはほのかに甘く、栗の香りがとても濃厚。中にはカニのほぐし身がたっぷりはいって口の中でとろけてちらかる。出汁の旨味がしっかりとしたあんもおいしく、お腹が芯からあったまる。
わかり易くて季節季節で中身をかえて、にもかかわらずいつも変わらぬ美味しさがある。そういう名物がある店っていいなぁ…、ってしみじみ思う。

焼いたサワラに小さなナスの田楽ひとつ。サワラの向こうの小さな鉢には千切りにした大根の出汁煮が入る。シャキシャキとした食感残して仕上がる大根。サワラのねっとりとした食感にパリパリ焼けた皮がおいしい。
油ものは野菜の天麩羅、揚げたメヒカリ。今年はメヒカリの当たり年なのか、よく食べる。頭はガリッと胴体部分はザラッとなめらか。銀杏、玉ねぎ、細切りにしたさつまいもをザクッと揚げたかき揚げは油がおいしく気持ちが満ちる。
〆はサラサラ、出しかけ茶漬け。ほんの少しのご飯の上にイワシをお酢で炊いたもの。出汁に三つ葉とシンプルでけれどなんとも味わい深い。食後のお腹も軽快なおごちそうです、オキニイリ。

 

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コメント

  1. にゃおにゃん

    毎回素晴らしくて、岐阜にはなかなか縁がないですがわざわざ行きたくなるほど惹かれます。

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      にゃおにゃんさん
      何度来ても感心させられるお店です。岐阜はこのお店に限らず個人営業のいいお店がたくさんある街。仕事ながらも来るのがいつもたのしみです。

  2. ボルテイモアのおかず

    虫籠風の前菜は本当にかわいい!美味しそうですね。
    今回はお刺身のお皿と、サワラとナス田楽のお皿が、初めて見る様な気がします。ご主人が焼き物をやっていらっしゃるとウェブサイトにあったので造詣が深くていらして、目にも楽しいです。岐阜県はサカキさんが他にも懐石風の良いお店をのせていらっしゃいますね。昔のご城主の影響で?茶道がさかんなのでしょうか?今、朝ドラも舞台で検索してみましたが、判りませんでした。
    (サカキさ~ん、水菓子は今回は何でしたかー?)

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      ボルティモアのおかずさん
      岐阜県はお蚕さんの飼育に適したエリアで、それゆえ繊維業が盛んな土地柄。製造業者に流通、問屋と繊維を取り囲む中小企業が豊かで多いところでもあったのでしょう。
      お隣の名古屋となると機械関係の製造業が中心で、大企業が産業の中心をなす。会社の数は多くともほとんどが大企業の下請け会社だったりする…、という違いゆえでしょうね。
      名古屋は大衆的なお店が多く、岐阜には旦那さん好みの上等な店が多いように感じます。あくまでボクの私見ですけど、どこか大阪と京都の関係を感じたりもします。
      ちなみに、この日の水菓子はぶどうとなし。実は和梨が苦手なので、連れて行って頂いた方に譲りました。それで写真がありません(笑)。

  3. かーこ

    皆さんが、岐阜にあるお店を誉めて下さるので嬉しくなって、思わずコメントしました。ありがとうございます。
    私は普段は名古屋に勤め岐阜に住む、出稼ぎ愛知県民なのでサカキさんのおっしゃる意味が良く分かります。
    しかし、自分の住む街の長所って、なかなかわからなかったりするものなのですね。和菓子屋さんも頑張っているお店沢山あります、名古屋からも近いので皆さん是非ふらっと来てみて下さい。

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      かーこさん
      この季節になると中津川の栗きんとんが愛おしくていとおしくて。このときの出張も帰りのお土産に栗きんとんを買って帰りました。
      日本のさまざまな町や地域に伺って、岐阜にくるとホッとするんです。お腹がホッとするんですよね…、名古屋の隣って思ってしまうのはもったいないほど、岐阜は岐阜。また来月がたのしみです。

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