神田の志乃多に神田のまつや、上方の鮨に江戸の蕎麦

新宿という街が「箱寿司」を失ってからもう早一ヶ月近く。
おいしい上方寿司をひさしぶりに味わいたいと地下鉄に乗る。箱寿司のあった新宿方面とは逆に向かって8つ目の駅、淡路町。3つ目の駅と8つ目の駅ではワザワザ感がまるで違うな…、と思うもそれもしょうがない。
神田志乃多寿司の本店にくる。
一階に厨房、お土産物のカウンターがあり、地下に小さなお食事処。押し寿司、巻き寿司がラップをかぶって並んでる。注文するとそこから切り分けお皿に並べて「どうぞ」と登場。手間を引かないファストフード…、とでも言いましょうか。
茶巾寿司に押し寿司2種のお決まりに、アナゴの押し寿司と鯖の棒鮨を追加でひとさら作ってもらう。熱々のお茶に豆腐をお供のおひるどき。

なんと愛らしくって、うつくしい。日本の食のステキを感じる。
ここの茶巾寿司は少々独特。ふっ借り焼いた薄焼き玉子を幾重にも折りたたむようにしてシャリや具材を包み込む。刻んだ黒胡麻の香りも独特。茹でたエビの彩り、食感の存在感が際立って昆布の紐を結わえた姿もオゴチソウ。
分厚い昆布で包まれた鯖の棒鮨はその昆布までしっとりおいしい。それを剥がすとヌンメリ鈍く輝く鯖の銀色の肌。その艶っぽさのままに味わいまでもが艶っぽく、口をおいしい脂が満たす。鯛の押し寿司、エビの押し寿司とどちらも素材の持ち味おいしく、ほっこり炊いた穴子がとろける押し寿司はシャリの間に挟んだキュウリがよきアクセント。堪能す。

 

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それからしばらく古本屋街やら電気街やらをぶらついて、灯ともし頃の神田まつやで虫を軽く養う。
すっかり冬の太陽です。
昼間にどんなにいばっていても、夕刻近くになるとたちまちひ弱に変わる。
空の縁はまだぼんやりと明るくはある。けれどどこか不安を帯びたほの明るさで、灯った看板、店の窓からこぼれるあかりにホッとする。冬の灯ともし頃は、裏寂しくて格別味わい深いものです。
さて、まつや。ガラリと戸を開け中に入ると、外のうら寂しさを裏切りなんともにぎやかなコト。日本酒お供に蕎麦前をたのしむ紳士淑女で、ウォンウォン唸るようなニギワイ。板わさお供に熱燗をひとりたのしむ紳士と相席。天南蛮をたのんで食べる。

大きなエビを揚げた立派な天ぷら蕎麦もあるのだけれど、なぜだかそれより「天南蛮」の方が好き。
ほどよきサイズのエビを三尾使って作る。
一尾、一尾を薄衣つけ天ぷらにして三尾並べて衣でとじる。
筏状に海老が並んだ天ぷらをネギを煮立てた汁に浮かべて出来上がる。
ネギはキュッキュと歯切れて芯の部分はネットリ、甘い。
食べてるうちに海老天同士をつないだ衣がとろけて散らかる。油の風味がコクになり汁をおいしくしてくれる。エビの天ぷらとかき揚げのいいとこ取りのような味わい。威張っていない粋な料理でオキニイリ。麺はバッサリ、前歯で歯切れてちらかる良きそば。熱々の汁につかって徐々にネットリしていくところもオゴチソウ。

スッキリとした酸味がおいしい濃い汁です。出汁の風味もしっかりしていて好みの味わい。蕎麦も良い。天ぷらも良い。汁も良くって量も程よい。すべてのことがバランスが良く、おいしい蕎麦のお店はたくさんあるけれど、ボクにとっての「おいしい蕎麦の基準」はココの天南蛮かなぁ…、って思う。オキニイリ。
汁が濃いからそば湯で割って味わいます。刻んだネギをくわえてとくとく、そば湯を注ぐと汁は薄まる。けれど醤油の風味や塩気に隠れて息を潜めてた出汁の旨味や香りが湧き出し、しみじみおいしい。うっとりします。相席相手の蕎麦前紳士は板わさ片付け、蕎麦屋の焼き鳥にお供を替える。串に刺さずに鶏肉とネギをタレでササッと焼いて仕上げる料理。かえしがおいしい蕎麦屋ならではの粋を味わうおじさんの粋にニッコリ。満たされる。

 

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