神戸A−1、炎と香りとステーキ喰らう!

西へ西へと進路をとる旅。途中下車で神戸によった。関西方面をぶらぶらするにあたって、どうしても食べておきたいモノがある。一年ほど前に食して、若干、禁断症状気味の好物。「A−1」というステーキハウスにやってくる。
三宮の駅の近くにある店で、どこといってかわったところのないレストラン。カウンターの中に厨房。テーブル席がいくつかあって昭和な感じとでもいいますか…、日活の銀幕のスタアがステーキ食べててもおかしくないような昔な景色。それにしても台風が近づきつつある神戸の街は雨風すごくて傘がとばされそうになるほど。それで外観の写真はござらぬ。日曜日の昼ということも手伝ってか、店の中にはファミリー客が数組。空気おだやか、腹がなる。

ステーキをたのむとスープとサラダがつく。
大きな鍋でコトコト煮込んだチリスープ。トマトの風味のスープの中に端材の牛肉。玉ねぎに豆、セロリがはいっておいしいコト。
端材と言えどもココのステーキの肉と一緒です。
つまり正真正銘神戸牛。クチャっと潰れて脂の旨みをにじましとろける。お腹の中がポカッとあったか、しみじみします。
オリーブオイルと塩をまとわせオーロラソースで仕上げたサラダはレタスパリパリ。しっかり冷えててまた旨い。

目の前のグリルの上には肉がおかれて、下ごしらえがはじまってます。
ヒレとサーロイン。それぞれ240g。しっかりとした厚みがあって、片面焼いたらひっくり返して両面こんがり。肉を網の上に置く位置を調節しながら火加減変えて、ほどよき状態になったところで食べやすいよう切り分ける。
せっかくの塊肉を切り分けるなんて勿体無いと思いはするけど、ココはナイフが供されない。箸で気軽に食べてくださいとそれで切り分け最後の仕上げ。

鉄板をまずよく焼く。
鉄板の芯まで蓄熱させたところに、スライスにしたニンニク並べて玉ねぎのせる。
そこに肉。
切り分けた肉を、切り分ける前の形によそおいのせる。
揚げたばかりのフライドポテト。
茹でほうれん草をフライドポテトに沿わせるようにこんもりと盛る。
最後にスライスオニオンで蓋するように盛り付けると、遠目にみればまるで山盛りスライスオニオンを鉄板の上で焼いてるようにみえてくる。

そこにアルコール分をたっぷり含んだタレをそこにパシャッとかける。
たちまち炎が立ち上がる。
フランベなんて上品な言葉は似合わぬ、まるで火事。炎にまみれた鉄板をむんずとつかんで何度か上下にひらひらさせると、炎はおさまり出来上がり。

ボクはヒレを担当します。
脂混じりの湯気でレンズがすっかり曇る。
おいしい香りが漂います。
曇ったレンズで料理の画像を撮れない以上に、匂いが撮れないことに切なさ覚えつつ暫く待つと湯気もおさまる。
上にたっぷりのっかった玉ねぎどかすと中から肉が姿をあらわす。
ちなみに玉ねぎ。
炎をまとってはいたけれど、熱の入りは最小限でシャキシャキいまだみずみずしい。
肉もレアです。表面はこんがり焼かれて落ち着いた色。ところが断面をみると深いロゼ色。気持ちがざわめくようなつややか、色っぽさにて思わずカプリと一口食べる。

焼けた香りがするのにひんやりとした赤身の肉がネットリ、舌や歯茎にからみつく。歯切れやさしく噛むとたちまちとろけるおいしさ。
ロースとヒレの一部を友人と交換し、二種類の肉の食べ比べ。
ヒレは赤身独特の強い旨みとさっぱりとした酸味が旨い。ロースは脂。ザクッと歯切れて甘い脂がとろけだす。口の温度が一瞬下がり、ジュワッと旨みが広がり気持ちがあったまる。
肉そのものも旨いのだけど、醤油ベースのタレのなんともおいしいコト。辛味がキリッと肉の旨みに輪郭つけて、焦げた風味と一緒になってスッキリとした後味とする。フライドポテトはホクホクと、ほうれん草はシャッキリとして、なによりスライスオニオンのシャキシャキとしたみずみずしさが肉を一層おいしくさせる。

ガーリックライスを作ってもらって肉のお供にして食べる。
細かく刻んだ肉の端材。刻んだニンニクもたっぷりくわえてご飯と一緒にいためたらステーキソースで風味をつけて茶碗に盛り付け出来上がり。お皿じゃなくて茶碗でくる…、というのがうれしく、箸で味わう店のシアワセ。ご飯はパラパラ。けれど仕上げのタレがしっとりご飯をさせて、熱々、しかも香り高い。肉をのっけて脂を味わい、スライスオニオンとバターをのせて歯ごたえ、歯ざわり味わいたのしむ。
一年前にも旨いと感じた。しかも今年はもっと旨いと感じる不思議。食べ続けると飽きる料理と食べ続けるにつれておいしく感じる料理。
どちらが本物?って思えばこの店。本物料理の店だなぁ…、と感心します。オキニイリ。

 

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コメント

  1. Kei

    A1ステーキいいですね!以前このブログで載っていたのを見て私も行ってみたのですが、それ以来大ファンです!
    まず焼かれる前の肉が鎮座しているのを見て気分が上がり、更にお肉が火事になっているのを見て食欲マックスに!お肉を食べるごとに残りが少なくなって行くのが哀しくて、でも箸が止まらない。毎回楽しんでいます。因みに私の息子はこのお店が初レストラン。奥のテーブルでニコニコしてました。

    • サカキシンイチロウ

      Keiさん
      A−1ステーキが初レストランって、なんてステキ!
      おいしいお店である以上に、思い出に残るお店ですものね。この日は250gをペロリと食べて、食べた直後にお替わりしたくなっちゃいました。

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