神戸のA−1、ファイアーダンスと肉をたのしむ

神戸の夜に神戸のステーキ。「A−1」という店にやってくる。
さすがに神戸には神戸牛をあつかうステーキの店が沢山ある。鉄板焼きのお店がほとんど。テーブルサービスの高級店から、バルのようにお酒のお供に神戸牛を焼く店もある。
どこもが趣向をこらして他の店にない特徴を出そうと一生懸命。
評価の高い店もある。
でもボクはこの店のシンプルで単刀直入で、しかもずっと変わらぬところがたまらなく好き。
メニューはフィレとロースの2種類だけ。グラム違いで3種類。サラダにスープ、ご飯、あるいはガーリックライスというメニュー構成。
カウンターの中がキッチン。その一角に肉を焼く炭が熾っているのが見える。

まずサラダ。大きなステンレスのボウルの中にレタスをちぎり、トマトをくわえて塩と油を注ぎながら大きく揺すってゆきわたらせる。木のボウルにそれをうつしたらサウザンアイランドドレッシングをトロンとかけてできあがり。
サラダを食べてる間に肉が目の前で焼かれていきます。240gに整えられた肉をまず炭の上にのっけて表面だけを焼きかためる。両面こんがりと焼き色がついところで、一旦とりあげ拍子木状にきりわける。ストンストンと力を入れていないのに、包丁が入っていくのにもううっとり。鉄板の上にスライスガーリックをぎっしり敷き詰め、そこに肉。そのかたわらにガルニを添わせ、肉の上にスライスオニオンをたっぷりのっけて最後の仕上げ。

ガス台に鉄板を置き強火で熱する。
鉄板が十分蓄熱したとこで、調味液とアルコールをジャジャッと注ぐ。
火が付きます。
それもかなり盛大に火が出て鉄板ごと大きな炎に包まれる。その鉄板をつかんで上下に振りながら、ゆっくり炎を消していく。
ファイアーダンスの如きでござる。
火が収まったら鉄板を木台にのせてメンテルバターをポンッとのっけてできあがり。
テーブルに届いたときにはまだ猛烈に蒸気が鉄板から噴き出していて、カメラのピントがなかなか合わない。おいしい匂いが蒸気に混じってやってきて、喉を鳴らしてパシャッと一枚。肉を覆ったオニオンスライスをどかして肉の姿を確認。再び喉を鳴らしてパシャリ。
ちなみにナイフ・フォークはありません。用意されてるのは箸だけで、箸でつまんで口に運んで前歯で切る。サクッと表面、歯切れます。

そして歯茎や奥歯をねっとり、レアな部分が撫で回す。
その肉感的な歯ざわりは噛み切りながら食べてはじめて感じるゴチソウ。ナイフなんかに味わわせてはなるものか…、って感じでムチュン。
肉の断面のうつくしいコト。やってきた直後はレアで噛むとひんやり、歯茎や奥歯をつつみこみつつねっとり歯切れる。味は醤油がベースの濃厚味でにんにく、バターと一緒になって肉の旨味を引き立てる。
食べてるうちに徐々に肉に熱が入ってレアからミディアムに向かってく。
同じ肉。なのに熱の入り具合で食感が変わって違う料理を食べてるような気になる。特に端の部分はカチッと熱が入って歯ごたえがよい。噛むたのしさにうっとりしながら、一切れ、そしてまた一切れとあっという間にお腹に飛び込む。

ガーリックライスをお供に作ってもらう。醤油と牛脂でつやつや仕上がる炒めご飯。中には刻んだにんにくと大きく切り分けたゴロゴロガーリックが混じって仕上がる。うまいです。しっとりしてるのにパラパラでもある。口の中で散らかりにぎやかになるのもたのしい。
醤油のタレと肉の脂をまとったスライスオニオンはシャキシャキしていて、ご飯と一緒に食べると互いを引き立てあってうまいのなんの。そこに肉をのっけてパクリ。今日の夕食の復習を口の中でしているみたいでニッコリします。
鉄板の上にこんがり焼けたにんにくがたくさん残って、それをガーリックライスの上にのっけて食べる。グリルド・ガーリック・オン・ガーリックライスとはなんと贅沢。シアワセな夜…、また来ましょ。

 

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コメント

  1. みるみる

    神戸にいらっしゃってたんですね!

    憧れのA-1…
    行きたいなあと思いながら、「いいにおいだなあ」と思いながら、前を通りすぎるだけ(笑)

    大事なことを守って続けているお店は、しっかり続いていくんですね。

    • サカキシンイチロウ

      みるみるさん
      上等な料理があるにもかかわらず雰囲気は気軽。昨日はサラリーマンの人たちがグループでワイワイしながら食事をしてらっしゃった。
      自信はあるけど気取りがない。いいお店だなぁ…、とくるたびしみじみ思います。

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