知る人ぞ汁、天春のしじみ汁

昼、天丼を食べようとひさしぶりに「天春」。
四谷三丁目の老舗天ぷら専門店で、この街に引っ越す前からたまに来ていた。
カウンターにテーブル席がいくつかあってカウンターの中が厨房。天ぷら鍋がおかれてて、そこで揚がった天ぷらを間髪入れず味わえる。特にランチの天丼が人気で昼には近所の人たちでにぎわっている。
いぶし銀のご主人の熟練の技をたのしむことができるのだけど、ひさしぶりに来てみると、天ぷら用の食材を下ごしらえするカウンター脇の厨房から若い人がネタを運んでやってくる。その横顔がご主人そっくり!
息子さんだろうなぁ…、お店を継ぐことになったんだろうなと思う。この息子さんが揚げる天ぷらを食べるまでは死ねないなぁ…、なんて思った。おじぃちゃんのモティベーションはこうして揚がる。

目当てのランチ天丼をたのんでそれにココの名物。しじみ汁を追加する。
天丼が1200円。にもかかわらずしじみ汁が700円。その差たったの500円。しかも700円といえば安い店ならそれで汁付きの天丼が食べられるほどの値段だけれど、たのまないのは損と感じてたのんでしまう。
まず天丼がやってくる。エビが二尾にイカのかき揚げ。穴子の天ぷらでひと揃え。サクッと揚がった衣が上等。甘みよりも旨味が強いサラッとさっぱりした丼タレで、あぁ、ボクはココの天丼が好きだったんだ…、と思いだしてニッコリしました。そしてしじみ汁の到着。

しじみ汁と言えばいいのか、それともしじみの味噌風味蒸しとでも言えばいいのか。
汁よりずっとしじみの量が多いのですね。
何個くらい入ってるんだろう。
汁を飲もうにもまずしじみをちょっと片付けてから、口を当てる場所を確保しなくちゃいけない。

そもそも天丼についてくるしじみ汁。
しじみの実を食べるべきか、それとも残すべきなのか。
粋な大人は汁だけすするものなんだ…、なんて言う人もいていつも悩む。
けれどココのしじみ汁は、しじみも食べてと言ってるようにしか見えずにそれでひたすらしじみを食べることになる。

箸でつまんで口に運んで唇、前歯で実をとり食べる。
クチュっと食感やわらかでしじみ独特の土の匂いと味噌の風味がとても独特。ペチンペチンと殻を捨てるための器に殻を投げ込む音がおいしいリズムで食欲さそう。
汁は熱々。赤味噌の酸味としじみの渋みに旨味。軽い山椒の香りが汁に風味をつける。食べ続けるとどんどん殻がなくなってしじみの実がたっぷり残る。それをサラサラ、汁と一緒にお腹に収める。なんだか元気が湧いてくる。

おなじみさんに愛されている店なんでしょう。次々人がやってきて、お店のご主人と他愛もない会話で店の空気はなごやか。こういう人と人との付き合いこそが、こういう店の魅力のひとつ。若い後継ぎさんがこういう人との関係を作れることができればいいなぁ…、としみじみ思う。
全部食べてもお腹を重たくしない天丼。天ぷら衣が軽やかなのと、タレがスッキリしてるからでしょう。食後にどうぞとやってきたみかんも甘くてみずみずしい。満たされました、贔屓にしようと思って席を立ちました。

 

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