生粉打ち三昧、大人のお昼

暑くなるとおいしく感じる料理が蕎麦。
細くてスルスル。
スッキリとした味わいで、香り高くて食がすすんでくれるのが良い。
うどんでは太すぎて、冷やし中華のように騒々しくはない。
ざわつく気持ちが蕎麦を食べると落ち着くような気持ちにもなって、体の中から涼しくなるような気がするのです。

朝から暑くて汗かく今日も、おいしい蕎麦を食べましょう…と、新宿高島屋の「小松庵」にくる。洗練されててほどよい分量。大人が似合ういいお店。
上品なおばさまが買い物帰りなのでしょう…、伊勢丹のショッピングバッグを傍らに置く。
買い物するのは伊勢丹で、食事をするのは高島屋。
確かにボクもそんな使い分けをしちゃうよねって思って笑う。伊勢丹の食堂街は混んでる上にテナント構成がココしばらくまるで変わらず魅力を無くした。だからワザワザ高島屋。

窓が広くて明るいお店。背筋がしゃんと伸びるように設計されてる椅子やテーブル。
生粉打ち三昧をたのんで食べる。
つなぎを使わずそば粉だけを使って打った蕎麦…、つまり十割。力強い風味がおいしい蕎麦を、熱いの、冷たいのと両方心置きなく味わうことができる料理で、ココで一番のオキニイリ。ザルの上には茹でて水でしめたばかりのせいろがこんもり。蓋をいただく器の中に鴨南蛮と思わず喉がなる組み合わせ。

せいろの上の蕎麦のツヤツヤしていてうつくしいコト。蕎麦とは水をたぐる料理と、せいろを食べるとしみじみ思う。水がおいしい国だから。そのおいしい水がふんだんに使える国であればこそ、蕎麦という料理が生まれて完成したんだ…、とウットリしながらみつめてパシャリ。
写真を撮ると蕎麦の表面の水が写ったような気がする。
焼いた鴨の脂がツヤツヤ、香りもおいしい鴨南蛮。海老に穴子、茄子、ししとうの天ぷらがつきひと揃え。天つゆではなく塩とレモンがあしらわれ、さて、どの順番、どの組み合わせで食べようか…、と気持ちが迷うところもたのしい。

せいろのためのタレが2種類。
普通の蕎麦つゆ、練りゴマで仕上げた胡麻つゆ。
ワサビとネギ、小さなサイコロ大に刻んだきゅうりと薬味さまざま。天ぷら用の焼き塩も、蕎麦にのせればつゆやタレの代わりを果たしてくれる便利な調味料。
ちなみにパラリと塩をのっけて数本つまんで蕎麦をたぐると、蕎麦の風味や甘みがひきたち、蕎麦が今、口の中にあるんだと実感が湧く。
そのみずみずしさにウットリします。

熱い汁そば用に用意されている七味が白い陶器のポットに入ってる。
これが自家製。
種まで一緒にザクザク刻んだ赤唐辛子に山椒、けしの実。煎った黒ゴマと香り華やか。
その華やかに負けない蕎麦の力強さにまたウットリ。
汁をズズッとすすると鴨の脂が混じってかなり濃厚。炙った鴨はザクッと歯切れて、鴨独特の風味を口に広げて消える。熱々の汁の中に浸かって、ゆっくり汁を吸い込みトロンとしてくる。せいろのシコシコした食感もおいしいけれど、やわらかに膨れてとろける熱々の蕎麦も乙な味わい。そのどちらもを一度にこうして味わえるのはなんと贅沢。乙なもの。

さて本格的に食べましょう…、と、箸をあちこち迷わせながらズルズルツルツル。
胡麻つゆにトプンと浸した蕎麦の上にパラリとキュウリ。
ポッテリとしたタレが蕎麦にからんでどっしり味わい濃厚。
そこにカリッとキュウリが砕けてみずみずしさと青い香りで、蕎麦をみずみずしくしてくれる。

エビのてんぷらを蕎麦つゆに…。
天ぷら衣の油がツユに滲んで風味とコクがでてくる。
ツユそのものの温度もちょっと上がるからでしょう…、出汁の風味が一層鮮やかになるような感じがするのがオモシロイ。

穴子の天ぷらは鴨南蛮の熱い汁にトプっと浸す。鴨の脂に穴子の脂、天ぷら衣の油と汁が濃厚になり、蕎麦にからんでネットリ、まったり。焼いたネギの焦げた香りもおいしくて、キュッキュと奥歯をくすぐるたのしさ。

良きエビでした。
むっちりしていて、甘くて風味もしっかりしてる。
身のほとんどは蕎麦と一緒にツユで食べ、尻尾を残して塩で味わう。パリパリと揚がったエビの尻尾が奥歯で壊れながら、甘い香りと油の風味が広がってくのがなんともおいしい。
おいしいエビの天ぷらを味わい尽くす醍醐味はこうして尻尾を食べるコト。

蕎麦つゆの入ったそば猪口にワサビを貼り付け、蕎麦湯を注ぐ。
白濁したポッテリとした濃厚蕎麦湯。蕎麦にまとわせ食べたときには気づかなかった、出汁の甘みや風味が顔をのぞかせてフワリと鼻からぬけていく。
喉をザラザラ、ひっかくような蕎麦湯の食感がまたたのしくて、ワサビを溶きつつユックリと飲む。ワサビすらもが甘く感じる、蕎麦湯に出汁の不思議なパワー。お腹にほどよき分量の大人の昼となりました。

 

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