牛タンねぎしがはじまった場所

新宿歌舞伎町。かつてコマ劇場やミラノ座に囲まれていた広場の裏側に「牛たんねぎし」の店がある。
小さい。
古い。
いつ建て替えがはじまってもおかしくなさそうな建物の一角にあって、実はここが彼らの一号店。
店に入るとカウンターにテーブル席が3つだけ。
カウンターの中には厨房。炭がおこった焼き場があって横にテールスープを沸かした寸胴。奥に板場、振り返ってコンロが4つ。昔ながらの専門店の厨房です。炭の上でうなぎを焼けば鰻屋に、串に刺した鶏肉を焼けば焼き鳥屋になる。原始的といえば原始的で、けれど変わらないのじゃなくて変わらなくていいから昔のままでやってる。こういう店にはホッとする。

店が昔ながらなばかりじゃなくて、焼き場にたってる職人さんはずっと昔からここでタンを焼いている人。人も変わらずメニューも変わらず。
値段はちょっと変わったけれど、昔はもっと高く感じた。
牛たんというのは大人の食べ物。…、正式にいうと「大人の財布」が買うべき食べ物。気軽な雰囲気の店だけど中に入るにはちょっとした覚悟がいったものでした。生まれてはじめて牛たん定食というものを食べた店は、ここだったのか、それとも本郷にあった「一心」という店だったか記憶は定かじゃないけれど、その一心は今はもうなく、この店がずっと続いてくれればなぁ…、ってしみじみ思う。

カウンターの上に塩と胡椒と一味唐辛子。
山椒の粉が置かれているのがここならではで、南蛮味噌が取り放題というのがなんとも太っ腹。
そろそろタンが焼き上がるタイミングで、麦飯、とろろにテールスープがやってくる。
とろろは出汁割り。
麦少なめの麦飯は半分で…、ってお願いしました。

分厚い白たんを3枚6切れ。深く切り目が入ったタンが、こんがり焼かれて切り目がめくれ返って仕上がる。焼ける間にしみだした脂でツヤツヤ輝いて、煙をまとって香ばしい。

とろろはご飯にかけるよりそのままズルズル飲んで食べるのが好きだから、ご飯の上には南蛮味噌。突き抜けるような辛味と味噌の旨味が互いに口にやってきて、お腹が燃える。
テールスープは程よいおいしさ。ご飯の最後の一口分にかけて南蛮味噌と一緒にサラリ。ご飯の粒がテールの脂をほどよくまとってスルスル滑っていくような感じがおいしい。満たされる。
ところでこの店の前にずっとあった映画ビルがすっかり解体されて再開発待ち。40階越えの再開発ビルになるという。実はビルマニアでして、建築計画の告知板をみるのが無上のたのしみでもある。敷地面積4,603.74㎡で、高さ200m超えとは今までにない極小面積開発で、どんなビルになるんだろう…、と今からワクワクいたします。

 

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コメント

  1. Leocco

    ビルマニアか😊
    私の脳にはそっち方面の域がなさそう。なんだか面白いです。
    これからは工事現場でいままで見えなかった告知版が見えてきて、榊さんのことを思い出してにっこりしそうです。

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      Leoccoさん
      敷地の形や工法、クレーンが立ちはじめるとその位置でビルの形を予想したりするのがたのしいんです。iPhoneの中に告知板の画像コレクションがあったりもして、街歩きのひとつの目的になったりもしています。

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