牛かつというビジネスモデルに考えさせられる…。

yodobashiakibay gyukatuランチタイムを、秋葉原にて。
定点観測の場所のひとつのヨドバシカメラのレストラン街。
この建物ってこんなに大きかったんだ…、ってビックリするほど多くの店が並んでる。

中国からの観光客もちゃっかり取り込み、どこも今の流行を狙いすました業態ばかり。
それらそれぞれが、どう流行っているかを見ると日本の外食産業のある断面が見えてくる。
それで定点観測の今日。

「京都勝牛」というお店に入る。
最近、そこらじゅうに増殖している牛カツの店。
ここに限らず牛カツ専門店のほとんどすべてがほとんど同じ商品構成。値付けまでもがほぼおんなじで、屋号の違うチェーン店かと思ってしまうほどでござんす。
で、もしそうならば総本店は間違いなく新橋にある「おか田」という牛カツ屋。そこを真似して誰にでもできるようにビジネスモデルとしたものを、みんなが真似してやっている。

真似るということが悪いこととは思わない。飲食店はそもそも互いが、互いのいいところを真似合いながら進化してきた産業で、けれど全てを丸ごと真似るのはオキテ破りと言われてた。

y gk未完成の原石を真似して磨いて本物にする…、それが正しく真似する人のすべきこと。
でもこの牛カツビジネス。
あからさまにモロパクリ。
パクった先は原石どころが、長い歴史の中で磨かれ立派な宝石になった店。
完成品を真似るということは、よほどの覚悟がないと元ネタ以上にならない…、つまり評価されない。
それでもあえて真似るというのは、純粋に金儲けのためということになる。
割り切ってるなぁ…、普通の人にはなかなかできることじゃないと、その勇気あるところは評価をいたします(笑)。

サムギョプサルの専門店で小銭を稼いだ人がそれを増やしてやろうと構えた仕事。
京都スタイルビーフと暖簾にかかれてて、一号店が先斗町。
仕事の合間に使う言葉は標準語なのに、お客様を見送る時だけ「おおきに」という。イタリア料理のお店で元気に「ボナセーラ」って挨拶をする胡散臭さに輪をかけかなり胡散臭い。
狙いすましてらっしゃいます。

60秒で揚がります!がキャッチフレーズで、お店にかかるのれんにそうも書いてある。
なのだけど、60秒では提供できないところが切なく、やっとやってきたお膳の上には小さく縮んだ牛カツ一枚。
その断面はレアな赤肉の色が鮮やか。
がっしり細かなパン粉がしがみついて揚がってらっしゃいます。真っ赤な断面を見せるためにと、端の一切れをワザワザヒックリ返してもってくる。なかなか上手に考えている。

y tare工夫が幾つかありました。
カウンターの上に各種調味料。
どれもが甘く、味もそっけもない赤肉をおいしく感じさせる工夫は感心します。

カレーがソース代わりについてくるのも工夫。
カツにつけてもご飯にかけてもいいのでしょうね…、貧相な肉でもご飯をモリモリ食べることができればお腹が満ちるというおもてなし。
化学調味料の塊で、あまりのおいしさにビックリしました。これも京都らしさでしょうか…、笑ってしまう。
ほぼ残す。

煮ても焼いても食えない赤肉がダブついていて、そのはけ口の一つが牛カツ。ローストビーフがもうひとつ。食材調達という作り手サイドの都合が作って、しかもこれほど当たったブームってそれほどないんじゃないかと思ったりもする。なんだか不思議でしょうがない。

ちなみに「しゃぶせん」というすばらしき一人しゃぶしゃぶの専門店をまるごと真似したチェーンストが登場した…、ようでもあります。外食産業…、世知辛し。

 

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y tinuunビジネスモデルな料理に気持ちが冷え冷えし、もっとおおらかで楽しい料理が食べたくなった。
それで牛カツのお店の隣でラー麺も食べる。
それもいわゆるラーメンじゃなくてトムヤムラーメンにした。

ティヌーンってタイ料理の気軽なお店を次々作るチェーン店。
どこもあっぱれなほどに屋台っぽくて、それが本物らしさになってる。

実はちょっと悩みました。
向かい側には際コーポレーションがやってるお店があってそこで、冷やし麺を始めてた。まだ梅雨の前というタイミングで、もう冷たい麺をやっているというのにスゴいとまずは感心。
しかも冷やし担々麺だとかマーラー味の豚しゃぶ麺とか、相も変わらずオリジナリティーあふれるメニューが揃ってて、どうしようかと迷った挙句、今日の寒さに負けて熱々、トムヤム麺。

y pakuchiy tinuun noodleもうひとつ決め手になったのがパクチー大盛りのトムヤム麺があったこと。
たまご麺選んで食べる。
テーブルの上にやってきた瞬間、これはうまいだろうなぁ…、って直感できる香り、独特。
酸っぱくほのかに甘いココナツ的なる香り。
上にはどっさりパクチーで、表面すべて覆われている。
箸を突っ込みひっくり返すと中から麺が出てくるのだけど、麺をはるかに上回るモヤシとパクチーで、まるでモヤシのスープのごとし。しゃくしゃく、もさもさ食べながら、口いっぱいの広がるパクチーの青い香りに、気持ちもお腹もリセットされる。
酸味がきりりとおいしいスープをゴクゴク飲んで、2度目のランチで仇をとったような気のなる(笑)。頭を使わず食べられる料理が一番。そして仕事に向かいます。

コメント

  1. ゆうじ

    はじめまして 

    牧のうどんの本を読んで以来、ちょこちょこブログを読ませていただいています。

    今回の勝牛の記事、考えさせられるところありましてコメントさせていただきました。

    >未完成の原石を真似して磨いて本物にする…、それが正しく真似する人のすべきこと。

    以前、書道家の先生が言われていました。模倣して模倣して、徹底的に模倣して、限りなく真似ていても尚、どうしても似ていないところが必ず出てくる。それこそが個性だと。

    小手先のアイデアではなく、一つのことを深く深く考えて先人に習った先に個性がある。

    素晴らしい作品に倣うこともまた本物。
    未完成の原石を磨き抜くこともまた本物。

    私自身、外食の世界に入って20年。独立して15年になりますが、これから先の進み方に悩むところありまして立ち止まっているところでした。

    たった一度の人生。

    ビジネスではなく、自分の一生の中で何をなすのか、自分こそがやるべき事とは何かをもう一度考え直してみようかと思っています。

    ありがとうございました。

  2. サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

    ゆうじさん
    真似るならば徹底的に真似ろ。
    芸術においても、ビジネスにおいても、同じようなコトがいえようと思います。
    けれど、真似て、真似て、完璧に真似てしまえるようなものならば、それは真似るに値しないものかもしれない。
    本物は、真似ようにも真似るコトができない何かをもっているもの。
    それを真似て真似て、真似た先に誰にも真似することができない何かを手にすることができれば、新たな本物を作ったことになるのではないか。
    そうも思いますネ。

    今、外食産業は本当に大変な時期。
    経営者、働く人、お客様や産業に関わりをもつ人たちとの間に、シアワセな信頼関係を確立することがむつかしい状態にある。
    ですから、この先の進み方に悩まれることは当然と思います。
    ボクも、これから先、どのようにすればみんあがシアワセを実感できる飲食店ができるのか、まだ良くわからない。
    よくわからないけど、何か信じることができるものを創りださねばと思っています。

    自分がなすべきことが、社会の役に立ち、社会からウェルカムされるコトであるならばこれほどシアワセなことはなかろうと思います。
    がんばりましょう。
    人は食べることなしに生きていくことはできないのですから、必ず何か、すべきことがあると思います。

  3. saya

    こんばんは。
    以前にもコメントさせていただいた者です。
    時々楽しく拝見させていただいております。

    私も以前このお店で食べました。
    何も感動がなく牛カツってこんなものなの?と
    友達に言ったら「私は美味しいと思う」の返事。
    うーん、ひとそれぞれの感想なのだと思いました。

    やはり「おか田」に行けばよかった
    これが私の感想です(;^_^A アセアセ・・・

    私のお店に対する評価は
    美味しいことはもちろんですが
    入店の際の明るい挨拶と細かい目配りの効いたサービス
    帰る際の気持ちのよいお礼の挨拶がより一層に
    お店の格を上げるものだと思っています。
    生意気ですが・・・

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      sayaさん
      飲食店って、おいしいだけではないと思うんですよね。
      おいしさの基準は人それぞれで、自分がおいしいと思って薦めても、他の人が同じようにおいしく感じてもらえるかどうかはわからない。
      おいしいこと以外にも、おっしゃるようにたのしいであるとか元気であるとか、なによりそのお店の空気感というか、つまり居心地。
      その方がおなじみさんになるためには大切な要素じゃないかと思います。

      この牛かつ屋さんに対して感じる合理的なのに狙いすました精密機械のようなところ。
      それがちょっとボクは苦手なのだろうなぁ…、とあらためて思いました。
      人間味にあふれるお店に行きたいですよね。

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