浅草むぎとろ、むぎとろのバフェ

昼。11時ちょっと前に体も頭も自由になった。
場所は浅草。よし、ひさしぶりに麦とろでお腹を満たそう…、と、「浅草むぎとろ」にやってくる。名前の通り麦飯と山芋とろろの専門店でうれしいコトにランチタイムにはその麦とろが食べ放題になるバフェがある。

お店の前についてみると、まだ10分ほどあるというのに待つ人多数。うれしいコトにお店の人が店頭に出て名前を聞いてリストを作る。時間が来たら案内します…、と、行列が売り物の店もみんなこういう親切を導入すればいいのになぁ。でもそうすると時間通りに来ない人がでたりする。
それに何より、行列ができているのが売り物の店にとってはお客様の利便性より話題性。それでなかなか導入できないのでありましょう。

気軽な一階の麦とろメインのバフェが1000円。
ビルの屋上を改装して作ったフロアのバフェが眺望プラス多彩な料理で2000円。
そちらを選んでのんびり待ちます。
客席、バフェが混雑せぬよう3組ずつ。しかもエレベーターが上がって降りてのタイミングがあるので結局、開店後、10分ほど待ち屋上フロア。
入り口で名前を呼ぶ人。
エレベーター位置まで案内する人。屋上フロアで待つ人とと、ずっと誰かに見守られているような気がして、待たせることにもおもてなし的心配りはあるんだなぁ…、とウットリします。

お一人様用のカウンターの前には窓を感じさせぬ大きな窓。その左手にはスカイツリーとアサヒビールのビル、モニュメント。東京らしい景色にニッコリ。全部で40席ほどでしょうか…、もともと屋上だったフロアに屋根を作ってどこかビアガーデンっぽい感じがするのもオモシロイ。

さてバフェの料理。メインはやはり山芋とろろ。氷を入れた器の上にすり鉢2つ。ひとつは浅草むぎとろの昔からの名物。鰹節と昆布の出汁に醤油で風味をくわえたタレで味と風味をつけたとろろ。もう一種類はタレの代わりに練りゴマと出汁でわった濃厚味の山芋とろろ。
それから味をつけぬとろろと、とろろだけでも3種類。盛り付けるための漆の椀がサイドに置かれ、しゃもじですくっていれるのだけど、しゃもじが重い。上等な山芋とろろ独特の強い粘りですくったとろろがなかなか切れない。それが一層重たさを右の手首に感じさせ、その重たさがお椀を支える左の手首にドゥルンと伝わる。お腹がグーッとなって空腹知らせてくれる。

味をつけぬとろろの横にはマグロのブツの醤油漬けがたっぷり置かれて、マグロの山かけにしてちょうだい…、ってたのしい提案。
しっかり味ののった漬け。
その漬けダレの味とワサビでとろろを味わう。
ツヤツヤのマグロの赤身の肌と、ポッテリ白いとろろのなめらかさが色鮮やかなコントラストで食欲誘う。

バフェには料理がいくつかならんでもいる。
全部で13種類。
どれもがとろろご飯にあうように仕上げた献立ですよというのが料理の特徴。
甘辛に煮込んだ茄子に味をしっかり煮含めたこんにゃく。
甘い厚焼き玉子に煮た大根と、どれもやさしい家庭の料理。ネットリとしたとろろの食感ひきたてる山くらげとか細切りタクワンと、たしかにどれもとろろご飯をおいしくさせる。汁はどっしり味のしじみ汁。山椒の香りがまた旨い。お皿にほんのちょっとづつ並べてお膳をキレイによそおう。

山芋とろろが主役の食卓。
見ているとなんだか健康的な感じがしてくる。汁の椀から立つ湯気以外はどれもが適温。やさしいお膳。

味付けとろろと胡麻とろろの間にあるのが蒸した麦飯。
麦の割合が多くてしかも大粒の麦。
だからパラポロ、乾いた感じで口の中が騒々しくなる。
その騒々しさとカラコロ、口の中で転がるような食感がとろろのお供にピッタリとくる。

料理もとろろも、そしておかずも盛りたい放題、食べたい放題。
なにより組み合わせし放題っていうのがステキ。
まずはとろろをそのまま食べる。木製のスプーンですくって口に運ぶと、ドゥルンと舌の上にのっかる。山芋近くが力強いモノだったんでしょう…、唇ヒリヒリ。
喉の入り口がちょっとイガイガするようなとこ。出汁で割ってもほんのちょっとだけ土臭さを感じるところもオゴチソウ。お腹の中から滋養が滲んで体の隅々に運ばれるような、ありがたさすら感じるステキ。

麦ごはんの上にのっけて食べてみる。
実はこうしてネバネバものをご飯にぶっかけ食べるのが、あんまり好きではないのでして、例えば納豆も納豆は納豆、ご飯はご飯で食べるほど。だからとろろもいつもはほとんどおかずのようにして食べる。
けれどこのとろろ。そしてなにより麦ごはんが一緒に口になだれ込みたいとねだるのですネ…、それでドゥルンとぶっかけ食べた。ホツホツとした麦ごはんが口の隅々転がりまわり、とろろのとろみを引き立てすべてをおいしくさせる。
青海苔パラリ…、風味が変わる。漬けのまぐろと味をつけていないとろろを混ぜると食べるところで味がばらつき、そのばらつきがまたたのしい。

讃岐うどんがありました。茹でて冷たく〆たもの。昔、来たときは茶そばがあって、そばととろろのからむ具合が麦とろとはまるで違った食感とてもたのしかった。麺ととろろの一体感が麦飯よりも強いのですね。
その点、うどんはうどんがずっと主張する。まぁ、それもよし。葉っぱ野菜にキュウリの浅漬。山形のだしをたっぷりのっけてシャキシャキサクサク、食感たのしむ。
最後は味付けとろろをほんの少しの麦飯にかけ、マグロの漬けをのっけてズルズル。ひさしぶりに体にいいもので心置きなくお腹が満ちる。
オキニイリです、オゴチソウ。

 

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コメント

  1. Runo

    これは素晴らしく美味しそうですね!
    私は皮膚が弱いくせに山芋類は素手で触っても食べても痒くならないという、とろろ定食にうってつけの体質(笑)なので時々家でも作りますが、当然ながらプロの味にはほど遠く。
    ここはぜひ行ってみたい一軒になりました。ご紹介ありがとうございます!

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