洋食かどや、若松町

日曜日。春の雨降るお昼時。ひさしぶりになつかしい店を訪ねる。
若松町という新宿の外れのような萎れた街に「かどや」という洋食屋さんがひっそりとある。大型病院の近くにあって、そこの先生方への出前のバイクがしきりに出ていく。店そのものは大きくはなく、カウンターに座敷があってまるで寿司屋のようなしつらえ。
東京に両親が住んでいたのがこの近所。だから一緒にたまに来ていた。ひさしぶりに近所を歩くとかつてあったスーパーがドラッグストアとコンビニに変わっていたり、小さな商店がいくつかなくなりカフェとかインド料理屋とかが出来ていたりして様変わり。

かつて兄弟三人が厨房に入っていた店。
一人減り、二人減って今ではひとり。
息子さんなのかどうなのか、ご主人に似た顔の若者が働いていて世代交代がうまくいけばいいんだけどなぁ…、って思う。

ハンバーグにエビフライをえらんでたのむ。
合いびき肉のふっくらとしたハンバーグ。表面こんがり、揚がるように焼けていて噛みごたえのあるなつかしい味。家で作るハンバーグのとても上等なような食感。デミグラスソースがどっしりしていて香ばしく、お店の料理のステキを感じる。

ラード混じりの油で揚げたエビフライ。
太くてがっしりとした肉質のたくましいエビ。ちょっと厚めでガリッと揚がったパン粉衣はラードを吸って甘く、香りもこうばしい。エビそのものも甘くて風味豊か。そのおいしさが衣でしっかり閉じ込められて、力強さをましている。
ウスターソースで味を整えたスパゲティー。千切りキャベツにキュウリにトマトと付け合せも昔のまま。このエビフライは父の大好物だったんだ…、と思いながらしみじみ味わう。

特別変わった料理ではなく、特別変わった調理法でもなく、ただ良き食材に敬意をはらい良き状態に仕上げた料理。当たり前のコトがあり前であるというコトにありがたさすら感じて食べる。

なによりココでおいしいのが、漬物と汁。
漬物はいつも4種類。
日本料理の盛り付けは、奇数並べてうつくしくする。それが昔からの習わしで、なのに最近、漬物を3種盛りする店は少ない。
ここは4種と偶数だけど、キュウリの緑、茄子の黒。大根、カブが同じ白色。だから見た目は3種盛り。
同じ白でもシャキシャキとした大根とクッチュリとしたカブはまるで違った食感、味わいで得した感じでニッコリします。
それから汁。
出汁がしっかりきいていて、ちょっと甘めの味噌を溶かした濃厚味。豆腐にじゃがいも、ネギに豚肉。とんかつが一番人気のお店だから豚の端材がでるのでしょう。脂がのった豚肉を食感感じられる程度に切り分けたっぷり入ってる。
フウフウしながら、お椀に口づけ。ズズッとすすると空気と一緒に汁が口にやってきて味噌や出汁の香りがフワリと鼻から抜ける。舌には旨みが残ってお腹をあっためる。汁、漬物が旨いお店は旨い店。

熱々ご飯の上にポッテリ目玉焼き。ハンバーグのサイドにのってたサニーサイドを置いてしばらく休ませる。生っぽかった白身にどんどん熱が入ってほどよき状態になっていく。白身の縁は揚がったようにサクサクしているオゴチソウ。
それからチキンライスをとって2人で分ける。
ブイヨンで炊き上げた米に角切りチキン。玉ねぎ、缶詰マッシュルーム。レイズン加えてケチャップ味に仕上げたモノ。ご飯の粒のひとつひとつが口の中で転がるようで、焼けたケチャップの香りもおいしい。
なつかしいなぁ…、って思ってパクパク。パセリもエビの尻尾もお腹に収まりました。オキニイリ。

 

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コメント

  1. にゃおにゃん

    東京いる時に通院していたのがその大型病院で、こちらのブログで気になって一度訪れたことがありました。早めのお昼で少し待って座れるくらいの満席でした。
    一人で行ったのでエビピラフのみ。夫と行っていろいろ食べてみれば良かったなぁ。。と心残り。
    築地のかちどき橋手前のニチレイビル近く、かつ平さんもおススメです。

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      にゃおにゃんさん
      エビピラフはボクの母が大好きな料理。
      ブイヨンで炊いたご飯にたっぷりエビが入っているのがうれしいですよね。
      こういう気軽な洋食屋さんが、日本全国でなくなりはじめている。だからできるだけ大切にしないといけないなぁ…、と思います。
      築地のかつ平さん。
      ブックマークいたしました。おいしい情報、ありがとうございます。

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