氷の下を泳ぐうどん

今日も冷たいゴチソウを…、と家の近所の松井製麺。
2年前ほどから、東京は空前の讃岐うどんブームにうかれているようで、本場で修行した人たちや、本場から出店してくるお店も多い。ただ、讃岐にあった店を畳んで夫婦そろって東京でうどん屋さんをやるため移住してまで開業した店…、となると極めて珍しい。それが近所の松井製麺。
気合が入った店なのにムードは気軽で、肩の力が抜けてるところがいい感じ。
ラーメン屋さんならいざしらず、ゴリゴリに気合が入って「へい、いらっしゃい」ってうどん屋さんは暑苦しい。旨いと評判のそば屋にありがちな、「オレの仕事はうどんを作ることだから」って修行僧のような無愛想さはうどん屋さんには似合わない。
「げんきやった?お腹いっぱい食べてってな」と、讃岐のお国言葉でやさしくニッコリ出迎えてくれるお店はありがたい。

冷たいかけを食べればいいと思ってきました。
キリッとしまったうどんが、冷たい汁に沈んで目にも涼しい料理。
にぎやかな店。ほぼ満席で、けれどほとんどみんなうどんを食べてる。つまり券売機の前には誰もいなくてじっくり商品ボタンをながめる。そしたら「冷やしつけ」っていう見慣れぬボタンをみつけて思わずそれを試した。

そしたらウットリするほど渦やかなコト。
丼に水。氷がたっぷり浮かんでて運ぶ途中もカラカラカチカチ、氷同士がぶつかる音に気持ち涼やぐ。氷の下に箸をつっこみ麺をひっぱりタレにひたしてズルンとたぐる。冷たい上にツルンとなめらか。歯ごたえたのしく喉越しもよい。一口ごとに体の熱がとれていくよう。夏の定番にしたくなる。

友人は予定通りに冷たいかけ。
茹でて冷やしたうどんにこれまたキリリとひやした汁をかけ、ズルンと味わう定番料理。
うどん屋の命と言えばうどんのように思われるけど、出汁はもっと大切で丹精込めたうどんを生かすも殺すも出汁次第。
かけが旨い店が本当にうどんの旨い店なんだ…、って言う人もいる。
ボクも麺ばかりにこだわる店より、麺と出汁のバランスがよい店が好き。
出汁は冷たくすると味や風味、香りが眠る。だから本来、冷たくするのはもったいなくて、けれどここの冷かけの汁は冷たくしても実力満点。いりこの旨味に軽い苦味に荒々しさの一歩手前の香りはそのまま、キリッと冷たく、口の中で温度が上がるとその味わいがどんどん強くなっていく。

お供に小さな牛丼とスパムおむすび。牛丼の肉は肉うどんの肉。甘辛味で煮汁と一緒にのっけてくれる。だからつゆだく。茶碗の底に煮汁がたまるほどにザブザブで、それがおいしい。スパムおむすびに挟んだ卵焼きは甘くてスパムの塩味を引き立てる。
お揚げを一枚。讃岐名産の大きなお揚げを、甘くにしめてふっくら、しっとり。噛むとジュワッと出汁の旨味が染み出し広がる。
野菜のかき揚げと、エビの殻を砕いてすり身に混ぜて揚げたエビちくわの天ぷらと、どちらも熱々、できたてなのがありがたい。半地下の冬にはひんやり感じる店が、夏には日陰の涼しさ。満たされました、家に帰ってのんびりす。

 

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