気恥ずかしくて時代遅れで嘘くさいTGIF

TGIフライデーがどんな具合になっているのか来て確かめる。
ワタミがやってるレストランです。
アメリカ出身。つまりワタミがコンセプト付きビジネスモデルを買ってやってるお店です。
はっきり言って調子が良くない。
当初の目論見がすっかり外れて店が増えない。作った店もパッとしない。
あとからやってきたフーターズなんて、ある一定の評価を受けて店舗数は多くはないけど流行っているように見えたりする。そもそもこういう業態を日本で沢山作ろうという発想自体が失敗だと言ってしまうのは簡単で、でも他に絶対理由があるはず。…、と思って来てみて、思いついたのが次の3点。

「恥ずかしくって、時代遅れで、嘘臭い」から。

説明します。
例えば「世界最大級のアメリカンカジュアルダイニング」という看板にもでかでかと書かれたキャッチフレーズ。
世界最大と言い切れないところがもどかしく、いまさらアメリカンであることを売り物にしてしまったところが恥ずかしい。
しかも「カジュアルダイニング」と業界用語で説明されても、一体どれほどの人に伝わっているのかって思うとますます寒くなる。

そこに拍車をかけるのが外人写真。
そもそも日本企業がCMするにあたって外人にたよるときは自信がないとき。方向性も定まらず、中身がないことを気付かれないように煙に巻くため外人たちを連れてくる。ただ、今となってはそんなコトはバレバレで、だからこういう場面での外人写真は恥ずかしい。
その恥ずかしさを逆手にとった「トリバゴ」なんて自虐具合が堂に入ってて嫌いじゃないけど、これはかなり恥ずかしいやつ。恥ずかしい。

それからサービス。
日本に生まれて日本で育ち、日本で生活している人が絶対しないであろう「スマイル!」。前歯が乾いて唇が貼り付いて元の口に戻らないんじゃないかしら…、って心配になるほど爽快な笑顔がなんとも気持ち悪い。
もって回ったものいいに、いかにも「お客様もコトを考えております」って感じの仕草もかなり恥ずかしい。
どこか違和感があるのですネ。それってココじゃないだろうって思って、ならばどこならいいのか…、って考えなるほど。ディズニーランドでやればいいんだ。その笑顔、仕草に言葉遣いのすべて。
あそこは気恥ずかしいコトをみんなで共有することを「非日常の感動」に置き換える「魔法」の王国。
それをレストランでやっちゃぁおしまいだろう…、って思ったりする。結果、料理の内容に比べてサービス過剰に見えてしまう。

お替り自由。そのたびにサービススタッフを呼びつけ持ってこさせるサービスも、テーブルチェックもこの客単価にはオーバースペックかなぁ…。
サービスのつもりでやってることが「コスト」に感じられるとしたらもったいないこと甚だしい。
アメリカから来たという「売り」のひとつなんだろうけど、今の日本には「アメリカから来た」店が沢山溢れかえってて、だからなんだ?と言われちゃおしまい。時代おくれなこだわりだなぁ…、って思ったりする。

それからも一つ。
時代遅れを店の造りに感じてしまう。
バーカウンターが置かれたホールが喫煙席。自然に思える。
でもこの店の一番の見せ場はバーカウンター。
そこでバーテンダーがシェイカーをたのしげに振るさまこそ本当の「アメリカ的」な景色。つまりこの店の「売り」のひとつのはずなんだけど、それを見ることができるのはタバコを吸う人。
一方、タバコを吸わぬ人たちはその見せ場を見ることができないホールに押し込められる。ちなみに今日。喫煙席はガラガラで、ファミリー客が暗いところに押し込められている様子を、経営している人はおそらく見ていない。遅れてる。

レストランだからメニューのことも書かなくちゃ(笑)。
メニューはアメリカ。
ボクは嫌いじゃない品揃え。
特にメキシカンフレーバーの南カリフォルニアの人たちが好みそうなメニューが多くて、どれにしようかと迷ってしまう。

ブラックンシュリンプメキライスというのをたのむ。
スパイスをまとわせてグリルしたエビのメキシコ風ご飯…、ってことになりましょうか。
ご飯のまわりにサルサやフェジョアーダ、コリアンダーが彩りそえる。つまりトルティアで包む前のシュリンプブリトーをお皿に盛った…、って感じの料理。香りがとてもメキシコ的で今の季節にピッタリかなぁと思ったりする。

ただ食べるといろんなところに嘘っぽさが漂いはじめる。サルサの酸味やスパイス使いが上手で、アメリカ的ではあるのだけれど、混ぜて食べようとカシャカシャしてたらご飯の塊がゴロンと出てくる。
レンジアップしたままでよくほぐさないで盛り付けたんでしょう…、相当興ざめ。
しかも加水で膨れたエビは料理の主役を任せるにはいささか貧弱。ブリブリしていて気持ち悪いことはなはだしい。レシピ上にはエビのサイズと個数は明記されていたけど「エビを加水せぬものを」とは本部が指定しなかったのでしょう…、コストを下げるための工夫にあっという間に夢、失せる。勉強しました、オベンキョウ。

 

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コメント

  1. ひろりーな

    いつも楽しく拝見させていただいています。アメリカ生活が長くなり TGI Fridays が日本にもあるとはまったく知らず驚きました。勝手な思い込みですがアメリカでもフーターズに行こうと思うことはあっても、わざわざ TGI Fridays に行こうと思うことはない気がします。ちょうどそこにあるから利用する程度、と言いますか…。ブログを拝見していると、数多くの店が海を渡り日本でもオープンしているんですね。個々の店がどんなビジネスプランを描いてオープンし、その後どうなっていったか経過を辿るだけでもすごく面白そうです。

    そう言えば、以前丸亀製麺のお話が出てましたが、数か月前ついにサンフランシスコにも上陸しました。今はかなり人気のようですが、さて…。

    • サカキシンイチロウ

      ひろりーなさん
      メキシカンレストランのエルトリートも日本ではかなりの苦戦。ならばメキシコ料理は人気がないのかというと、メキシカンレストランの名店は数知れず。どこもしっかり繁盛している。
      おそらく「アメリカ的なビジネスモデル」、それも30年ほど前に作られたバーを併設した郊外大型レストランというフォーマットがおそらく日本ではすっかり陳腐なものとして嫌われているのじゃないかと思います。
      フーターズは、そういったフォーマットから突き抜けた業態。TGI Fridaysとはまるで違った魅力があるからいいのでしょう。
      ちなみに今日本ではステーキレストランが続々とアメリカから上陸中。ニューヨークのピータールーガーもやってくるようですし、なんとモートンズまで東京にくる。日本人てそんなにステーキが好きだったんだっけ…、ってちょっと心配になっちゃいます。

      サンフランシスコ。
      Sears Fine Foodのパンケーキ食べて、ダブルラインボーのアイスクリームを舐めながら坂道歩きたくなっちゃいました。

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