母と味わう春の会席、春の味

高松で母と夕食。
たまにはしっかりした日本料理もいいわねぇ…、と定宿にしているホテルの日本料理のお店を選ぶ。
随分、日が落ちるのがユックリとなったモノです。
夕食時なのに外は明るく火点しどき。連絡船の波止場を眺める母の写真を撮ろうとカメラを構えたら、「今日は凛々しく撮ってよね」という。いつもと違った表情を待って撮ったらこれがなかなかの男ぶり(笑)。
最初の料理。四角い箱にお皿がみっつ。奥の蓋つきの器には赤なまこ。もったりやわらか。出汁のきいたお酢に浸かってなんとおいしい。ちりめんじゃこに大根おろし。讃岐名産のエビと豆腐の練り物に鶏胸肉の燻製、それからしょうゆ豆。そら豆をただただ醤油に漬けて仕上げたこれも讃岐の名物料理。

お椀がきます。キリをふきつけ小さな水滴がついた蓋。開けると中にはすり流し。すりおろした蕪にトロミをつけた汁。実にはタケノコ。鯛の切り身に卵をまとわせ茹でたもの。タケノコの自然な苦味と山の香り。鯛のネッチリした食感が口に広がる。とろりと喉をくすぐる汁もオゴチソウ。
刺し身が来ます。横長のお皿の真ん中に醤油皿。中には讃岐の旨味の強い出汁醤油。刺し身は鯛にマグロにオリーブハマチ。右の端には本四連絡橋の絵が緑の粉で描かれている。
昆布の粉を混ぜた塩で描いたモノという。焼いた塩を使ってて、辛味はひかえめ、旨味が強く、そこに昆布のコクが入ってなかなか旨い。マグロの赤身にはわさびをのっけて醤油タップリ。ひんやりとした温度感に舌がキリッと目覚める感じ。

今日のメインの一つの牛肉。
香川県が最近推してるオリーブ牛の石板焼き。
脂の乗ったところを大きく、拍子木に切り付け合せの野菜やキノコは軽く素揚げにされている。

焼けた分厚い石板がくる。
まずは脂を石板におく。
するとたちまち甘い香りが漂いながら石の表面をツヤツヤさせる。
そこに肉をのっける。
ジューッと湿った音がしながらバチバチ脂が肉の周りではじけて踊る。
じっくり、こんがり、ちょっと長めに焼いていく。脂が滲んで肉が徐々に小さくなっていきながらほどよく熱が通ってく。
醤油に塩、もろみ風味のソースにガーリックチップがついてやってきて、好みでどうぞと、まずは塩。肉の脂の甘みがひきたつおいしさ。しかも脂の口溶けがよく、体の中に染み込む感じがオゴチソウ。
脂まみれになった石板で素揚げの野菜やエリンギをやく。おいしく上等な脂を吸い込みタダの野菜がゴチソウ野菜になるのもたのしい。

そして鍋。鰆のしゃぶしゃぶという提案。
お皿の上に分厚く切った鰆の切り身。キャベツに水菜や千切りにした大根、ニンジン。竹の筒には豆腐と椎茸。まずは豆腐やしいたけを鍋の中に落としてしばらくクツクツ。冷たい豆腐が出汁に浸かると沸騰していた小鍋の温度が一気に下る。静かだった鍋の中が、徐々にゆっくり暴れ始めてゴトゴト豆腐が足踏みするように動きはじめる。鍋の底からユックリ泡があがりはじめたタイミングにて、千切り野菜を沈めて上に鰆の切り身。しばらくすると魚の切り身の表面の色がかわって白くなる。ひっくり返してまた少々。千切り野菜を巻くようにして箸で持ち上げタレに浸してパクリと食べる。

脂ののった鰆の切り身。鍋でかなりしっかり熱を通したつもりでも、ねっとりとしたどこか生な感じが残る。
鰆独特の香りと一緒にポン酢の酸味。
ねっとりとろけて、シャキシャキとした千切り野菜と混じって消える。
切り身の厚さもあってでしょうか…、魚というよりどこか脂ののった鶏もも肉をお湯に放って食べてるような感じがするのがオモシロイ。
豆腐をポン酢に浸して食べる。いわゆる湯豆腐的なる味わい。
湯豆腐ってなんだか損したような食べものってずっと思ってて食べなかった。だって自分でもできるんだもの…、って居酒屋なんかじゃほぼスルーする食べものだった。けれど最近、おいしく感じる。お店によって味や風味が違って感じて、ボクも大人になったんだなぁ…、って(笑)。
鍋の中のスープをポン酢の器に移して、フウフウ飲んでお腹をしっかり温める。

そして料理の最後の1品。河豚の唐揚げがやってくる。バリバリとした天ぷら衣のような衣をまとって前歯でそれが壊れる。壊れた途端にムッチリとした河豚独特の肉の食感がやってきて、ジュワリと汁が口に広がりウットリさせる。

〆の食事は炊き込みご飯。具材はタケノコと刻んだ油揚げ。出汁がしっかりきいていて、素朴な感じが〆にピッタリ。
酸味きかせて仕上げた漬物。それから汁のかわりにと「巾着うどん」がついてきた。
確か奈良の名物料理のひとつのコレ。そこでは大きな油揚げでにうどんを詰めて出汁でたき汁と一緒に味わう食べもの。ここのはそれのミニチュア版か。讃岐うどんはコシが命といわれてて、ところがコレのうどんはやわらか。甘く煮られたお揚げがおいしく、なんだか得した気持ちになった。
母も健啖。次々料理をたいらげて、最近作った料理の話や春の旅行の話で食卓、盛り上がる。

コメント

  1. ボルテイモアのおかず

    アハハ、男前って—。でも確かに今回は、お母様凛々しくいらして「榊00の守(かみ)」みたいな感じですネ(黒刺繍のベストが裃みたい(^_^)
    今月は珍しく日本料理、私は緑の「本四連絡橋」と「巾着うどん」が変わっていて食べてみたいなあ、と思いました。
    今週のほぼ日のお父様との思い出の記事も、とても良いお話で、思わず涙が出てきました。ご両親様の遠いご努力ご苦労のお蔭もあり、私もサカキさんのブログを毎日楽しませて頂いてるんだなあ、と感謝の気持ちです。

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      ボルティモアのおかずさん
      母と食事をしながらする会話の中に、父が最近でてくることが結構増えて、時が経つに従って、冷静にいろんなコトを思い出すことができるようになったんだね…、ってしみじみ思ったりします。
      今年は機会があれば小さな旅行をしようねなんて、未来の話が母とできるということもありがたくってしょうがない。大切にしたいなぁ…、と思います。

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