殻の上の海。手のひらの中のあたたかさ

生牡蠣を食べたいなぁ…って思って新宿のオイスターバーワーフにやってくる。
昨日に続いて牡蠣ランチ。
バスターミナルビルの中にある店。今は他のお店と同じく11時開店になっちゃったけど、かつては10時にランチスタート。タナカくんが里帰りで乗るのは大抵1時ちょっと前のフライトで、11時スタートのランチじゃちと遅い。それで旅の前のランチは必ずここって決まってた。
いい旅になりますように…、って水盃じゃ縁起悪いから、冷えた白か泡を必ずたのむ。生牡蠣をお供に小一時間をのんびり過ごすのが常だった。
大の大人にボクが心配することもないのだろうけど、飛行機の予約票は持った?…、お金は足りる?って気にするボクに、日本語が通じればなんとかなるさって平気の平左で酒を飲んでた。
そののんびりに救われたなぁ…、どんなに気持ちがギスギスしてても彼の笑顔が心の棘をとってくれてた。なつかしい。

必ずたのんだのが生牡蠣三種の食べ比べ。
氷のベッドの上に産地の異なる牡蠣3つ。右上から時計回りに食べていくのがおいしく食べるルール。
確かにさっぱりとした柿から徐々にぽってり、ねっとり濃厚になる。
レモンをギュギュッ。
レモスコ、ピュッ。
殻を持ち上げ、唇につけてそっと斜めに傾ける。
殻の上に海がある。
その海がゆったりゆるやかに口の中へとすべり込んでくる。
潮の香りに軽い塩味。明るい酸味がそこに混じって気付けば舌の上にぽってり、牡蠣がおさまる。クチュッと歯切れてねっとりとろけ、強い旨味とかすかな渋みで幕をひく。ひと殻分がひとつの劇場、それが3幕。堪能します。

メインはカキフライの定食にした。
牡蠣のおいしい食べ方で格別なのは生牡蠣で、料理の中ではカキフライが一番好き。
焼きガキは牡蠣の渋みが強く出る。
蒸すと牡蠣の風味が薄まるし、ロックフェラーやバター焼きは調味料を味わう料理になってしまう。
牡蠣の旨味や香りがパン粉衣で閉じ込められて、熱が入っているのにみずみずしくて生だった頃の名越りを感じることができるのですね。
カサッと揚がった衣が前場をよろこばせ、牡蠣のふっくらとした風合いが引き立つ感じもオゴチソウ。
レモンを搾り、タルタルソースをたっぷり乗っけてご飯と食べると口は天国。牡蠣の風味を邪魔するからと、味噌汁じゃなくワカメスープが付いてくるのも、シンガポールからきた店ならではの自由な発想。オキニイリ。

 

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バス出発の時間まで、とらやのアンスタンドでお茶を飲んでた。
夏にはアンペーストのかき氷。涼しくなるとアントースト。今日はアントーストにホットミルクをたのんでのんびり。
2センチほどの厚さで手のひらサイズの小さな食パン。軽くトーストして二切れにし、そのひと切れに小倉あん。もうひと切れには粒あんがペットリ塗られてバターが一枚。
あんこの違いを食べ比べするのが本来の食べ方なんだろうけど、どちらも伸ばしてトースト全体に塗りこめて、バターを挟んでサンドイッチにして食べていた。
真ん中からちぎってネ。おっきい方がタナカくん。
パンに比べて明らかにあんこの量がたっぷりでしかもバターも溢れほどで、まるであんこバターを手掴みで食べてるみたいな贅沢さ。
ホットミルクが心にしみる。
あんことミルク、バターとミルク。どの組み合わせも合わぬはずなく、それら3つが一緒に口でとろけて消える。カップを手のひらで包み込み「あったかいねぇ」ってぼんやりしました。あったかい。

 

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コメント

  1. ヨウコ

    「ギスギスしてても心の棘を取ってくれる」
    タナカさんはとても素敵な方だったんですね。
    美味しい物をいつも仲良く分け合うお二人を想像したら、ほっこりした気持ちになりました。

    ああ、それにしても、牡蠣が美味しそう!

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      ヨウコさん
      立場上、それに性格上、上へ上へ、前へ前へと進んでいかないと気がすまないボクに、ちょっと立ち止まって後ろや下をみることも大切なんだよ…、って教えてくれた人でした。
      今もボクがボクらしくいられるのも彼のおかげと思っています。

      生牡蠣って、なんでこんなにおいしいのでしょうね。冬の味覚に誘惑されました。

  2. ヨウコ

    タナカさんにとっても、サカイさんはきっと同じように有り難くて大切な存在だったろうと思います。
    大切な人がいなくなってから、その人にどんなに支えられてたか痛感しますよね。
    もっともっと優しくして、大好きだよって沢山言えば良かったと私は今でも後悔しています。

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      ヨウコさん
      もっとたくさん手をつないでおけばよかったなあ…、とか、もっと話をしておけばよかったって後悔することばかり。
      なにより彼の写真があまりに少なく、もっと一緒に写真を撮っておけばと本当に哀しく思います。

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