案山子とサンドイッチ

歌いたくて歌えない歌がある。
昔は歌えた。
十八番のひとつでもあったほどでメロディーも歌詞もバッチリ頭に入ってる。
でもいつ頃からだろう…、歌いはじめると泣いてしまって歌にならない。
何度も何度も試すのだけどここしばらくはイントロを聴いただけで泣けてきて、タナカくんなんて面白がって内緒で予約したりしてた。

さだまさしの「案山子」って曲。
元気でいるか、街には慣れたか、友だちできたか。
寂しかないか、お金はあるか、今度いつ帰る。
…、というのが冒頭の歌詞。こうやって入力しているだけでどうしようもなく泣けてくる。そこからのフレーズはなんとか涙声でも歌えるんだけど、サビの部分は泣いてしまって声にならない。

手紙が無理なら電話でもいい。「金たのむ」の一言でもいい。お前の笑顔を待ちわびる、お袋に聴かせてやってくれ。

親父やおふくろがボクのことをどれほど心配してくれていたんだろう…、と思うとどうにもたまらず泣いてしまうのですネ。15年ほど前までは別居ではあったけど近所に住んでて毎週実家に戻ってた。なのに帰るたびに帰りのタクシー代にしなさいって小遣いくれたり、手作りの料理をショッピングバッグ一杯に入れて持たせてくれていた。ありがたいなぁ…、としみじみ思う。

タナカくんが逝ってから、彼のお母さんと何度か電話で話す機会があって、でも話しはじめるとふたりとも泣いてどうにも話にならない。考えてみれば30年以上も故郷を離れて遠くに住んで、手紙どころか電話もあまりかけなかった彼。お母さんはどんな気持ちで彼のことを思ってたんだろう…。
それこそこの歌のように彼のことを気づかっていたんだろうなぁと思うとなおさら歌が身にしみ、泣けてくる。
もう向こうには慣れたんだろうか。お父さんやテツには会えたのかなぁ…。もし麻雀したくなったらボクの親父を探すといいよ。ボクはまだまださみしいよ。今日から新盆。お母さんに甘えなさいネ…、って西に向かって手を合わす。ボクはおふくろに電話をしましょう。明るい声でニッコリと!

サンドイッチを作って食べた。昔、よく作っていた作り方。そして素材で作ることにした。

エディアールのバターをタップリ使って仕上げた小さめサイズの角食を無理を言って12枚に切ってもらったの。
2枚を重ねて一組にして賢いトースターで3分半焼く。
2枚に重ねて焼くとパンの外側だけが焼け、重なり合った内側はふっくら、シットリしたままで、だから前歯はカサカサ乾いた食感たのしめ、パンのフカフカした食感も一緒に味わうことができるという工夫。
焼いたらしばらく休ませて、パンが含んだ水気を蒸発させてそれからマスタード。マヨネーズを薄塗りにしてそれから具材をはさんでく。

コンテチーズを薄く削ってまず敷き詰める。
ジャンボンブランをのっけてレタスの芯に近い部分を並べて、パンで蓋してザックリ2つに切り分ける。
レタスの葉っぱの外側部分は、見栄えはいいけどサンドイッチにするとペリペリ、紙を食べてるみたいな感じがするのが苦手。
芯の部分は平らに広げるのがむつかしいから、扱いづらくはあるけれど甘くてそしてみずみずしい。ざっくり歯切れて口の中で散らかる感じもおいしくて、それで今日はその組み合わせ。

エディアールのパンはきめ細やかで、けれど焼くとバターや水分が揮発して軽く仕上がる。甘みも自然で主張をあまりしないところがサンドイッチにとても上等。むっちりしたハム。レタスの芯はサクッと歯切れて軽い渋みと甘みをジュワリ。
なによりコンテチーズのおいしいコト。
ローストした栗のような甘い香りと豊かな塩味。熟成をみた乳製品に独特の香りと渋みと大人味。どれもがバランス良いのだけれど、何か印象に残ったか?と、敢えて言うならチーズがおいしく口どけました…、ってそんな感じのオゴチソウ。
よく出来たでしょう…、よく出来ましたってそんなおいしさ。半分食べて半分お供え。おやつで食べるつもりなり。

コメント

  1. akko

    こんばんは。
    この焼き方、母が休日 自分だけの朝ごはんがゆっくりできやってるときやっていて いつものトーストとぜんぜん違う、小学生にはびっくりの女王ブランチでした。嫁ぎ先で自分の時間も取れないけれどおいしいものが大好きな母ですから ダレにも気兼ない時間においしいパンを買ってきて おいしい珈琲を豆から挽いて自分の時間を楽しんでいたみたい。バタとハムとチーズ、ジュワリあの時の日曜日がよみがえりました!
    おいしくできて相方様も安心したのでは。
    おいしくすごして心も体もなにとぞ自分を大切に。

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      akkoさん
      サンドイッチって作る人の数だけ種類がある。
      作って上げる人の数だけ、おいしいがあるんだなぁ…、って思いますよね。
      久しぶりに自分のためじゃなくサンドイッチを作ったような気持ちになりました。

  2. batten

    中身は違いますが、パンの厚さと焼き方でクラブハウスサンドを思い出します。
    オーダーが入ったら面倒ですけど。チキン焼いてウスターでフランベして、ベーコンをグリルパンで網目に焼いて、サラマンダーでパンを炙ってと・・・
    これが追っかけで入ってくるとバタバタしちゃいました。

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      battenさん
      サンドイッチって手間がかかる料理なんですよね。作り置きや仕込み食材だけを積み重ねて切ればいいんだ…、というのであればそれほど手間もかからないのでしょうけれど、特にクラブハウスやBLTのようなサンドイッチは手間も時間もかかってしまう。その対価があまりに安いのってもったいないなぁ…、ってレストランに行くたびに思います。

  3. りんご

    子供の頃のプロセスチーズから始まり、きがつけば「ちょっとだけ癖のあるナポレオンも好き」などと生意気を言うようになってしまったチーズ好きです。
    コンテ美味しいですよね!大好きです。
    今日は泡と一緒にいただくことに致しましょう。
    暑い毎日が続きます。
    季節のお野菜でも果物でも、瑞々しさを取り入れてご自愛くださいますように

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      りんごさん
      手搾りのオレンジジュース。おいしいミルクを使ったバナナジュース。みずみずしさを忘れちゃいけませんね。心がけます。

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