松茸を蕎麦にうかべて食べる秋

新宿で昼。そろそろ秋の蕎麦がはじまり頃合いでしょう…、と大庵にくる。
蕎麦の店です。
新宿という街にあって珍しく落ち着いた年齢の人たちばかりでいつもにぎわう大人のお店。オキニイリの席は外の景色が見通せる、窓に面したカウンター席。
ほどよい高さから通りを歩く人達を俯瞰しながらぼんやりできる。街の景色もすっかり秋です。
カウンターでは昼からお酒を飲むシアワセな人たちが、のんびり昼をたのしんでいる。気軽なランチメニューが多彩に揃うと同時に、玉子焼きや炭の上で炙りながら味わう海苔。お酒をねだる蕎麦前料理に事欠かない。
ランチタイムの蕎麦には必ず小鉢がついて、今日はおからを炊いたもの。しっかりとした味わいで、これすら酒をねだるおいしさ。困っちゃう(笑)。

季節ごとに季節の蕎麦が提案される。
秋といえばキノコであります。
山が色づき、キノコがおいしくなるこの季節でその王様と言えば「松茸」。
その松茸をふんだんに使って「松茸そば」がそろそろあるんじゃないか…、と入口前のメニューをみたら、やっていました。背中をのばして注文します。

3000円をちょっと越える値段ですから、若干緊張しながら告げるも、それをさらりと「しばらくお待ち下さい」って普通のことのように受け止める。
大人だなぁ…、ってしみじみ思う。

そしてしばらく。ワクワクしながら待って届いた漆の器。
蕎麦を沈めた汁の上にはびっしり松茸。まるで器に蓋するようにたっぷり乗せられ、ユラユラ揺れる。
松茸以外には三つ葉が少々。蕎麦につきもののネギは香りを邪魔してしまうからでしょう…、供されないのにニッコリします。
器の中から松茸の秋の香りが出汁の香りと一緒に漂い、鼻から胸にやってくる。あぁ、秋だなぁ…、ってウットリしながら、そう言えば今シーズンで二度目の松茸。一回目は土瓶蒸しだったから、これほどたくさんの実体伴う松茸を感じる機会はこれがはじめて。アリガタシ。

まずは汁。かえしの香りに出汁の旨みと一緒に香り。
体を満たす力強さに山の豊かを感じてニッコリ。昆布の甘みに鰹節の酸味がキリッと旨みを引きしめ、お腹のすみずみあっためる。
松茸一切れ。シャキッと歯切れて香りが踊る。
熱々の汁の熱で表面トゥルンと、とろける感じがオゴチソウ。
蕎麦をツルリとたぐってすすると、一緒に汁をたっぷりまとう。松茸の香りを抱いた汁で、にもかかわらず蕎麦独特のむせるような香りがするのもまたオモシロイ。ゆっくり蕎麦が汁の熱を帯びてくる。するとネットリ。奥歯で若干粘る感じが細いそばがきみたいな感じになっていく。その食感がジャクジャク歯切れる松茸の繊維を一層際立たせ、今、松茸を食べているんだって頭がよろこぶ。堪能す。

蕎麦のお供にいなり寿司。ここのお稲荷さんはご飯ではなく蕎麦を短く切ったものを甘辛煮付けのお揚げで包む。お揚げはぽってり。噛むとじゅわりと煮汁がにじみ、油が唇ひんやりさせる。
蕎麦はぱらりと口いっぱいに散らかっていく。硬めに茹でているのでしょう…、パラパラ転がり噛むとザクザク歯切れる感じ。ご飯にはない乾いた感じがするのが不思議。茹でているからその表面はみずみずしくて、なのにお揚げと一緒になるとペタペタしないで乾いた感じ。オモシロイなぁ…、癖になる。
蕎麦湯が来ます。濃い目に仕上がった汁を割って飲むも良し。でもそうすると松茸の香りが薄まるような気がして、蕎麦湯は蕎麦湯そのもので飲む。これが甘くてトロンとしてて、蕎麦の香りが突き抜ける。よい昼でした。オキニイリ。

 

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