東京駅地下、立喰いの鮨

東京駅周辺は「グランスタ」というブランドの商業施設ばかりで迷う。
かつては駅ナカの一部エリアでこじんまりした飲食店が何軒か並んでただけ。
今ではなんと駅ナカだけでも80店舗。
駅の外側にも55店舗と総勢100軒を越える大きなショッピングセンターのようになっちゃった。
グランドなステーションでグランスタ。確かに大きさだけで言えばグランドクラスでございましょう。

一ヶ月ほど前にグランドオープンした新たなグランスタの一番外れに寿司屋が一軒。
「築地すし好」という名前の最近、都心の盛り場に店を次々オープンさせてるチェーン店。テーブル席にカウンターのある普通の寿司屋の脇に立喰コーナーがあり、ちょこっと試す。
Lの字型のカウンター。
ぎっしり詰めて立つと10人ちょっとくらいのほどよいサイズ。カウンターの角に柱が一本あって、そこで目線が仕切られるから一層、こじんまりした感じになるから寿司をたのしむことに没頭できる。悪くない。

まだ店の存在がしっかり認知されていないのか、それとも商業施設の一番端というロケーションが悪いからかお店の中は申し訳ないほど静か。先客3名。それに対して職人さんは3人と、ほぼ握り手ひとりを独り占め的贅沢なコトにまずニッコリ。サービスですと汁が来て、その汁が寿司屋的に熱々、出汁がしっかりしててコクがある。醤油を注ぐ小皿の絵柄がひょっとこの顔というのがちょっと愛嬌あって、また笑う。

まずは貝。
にぎりを一貫ずつたのむコトができるというのがありがたいとこ。
それで4貫、4種類。
生のとり貝、ホタテにつぶ貝、ミル貝と選んでたのむ。
テキパキ寿司が作られて、4貫同時にストンと目の前のゲタの上。
奥に三貫、手前に一貫。
無造作に置かれてるようでいて、何か意志を感じて聞いてみる。この4貫の中で旨味が一番弱いのがとり貝。だからまずとり貝を口に入れ、クニュクニュとした食感たのしんだ上で残りの三貫を食べていただけると多分、おいしく召し上がれるからと。
なるほどやっぱりメッセージ。

確かに生のとり貝は食感独特で、その独特ゆえ味が滲み出してこない。だから最初に口に入れ食感たのしみ、ホタテのネットリした食感に強い旨味を次に味わう。続いてつぶ貝のポリポリ感をたのしんで、最後に旨味の強いミル貝で〆。食べる順番ひとつで寿司もおいしくなったりとぼけたり。
オモシロイなぁ…、って思ってニッコリ。

コハダをもらう。
好きなネタだからこれは2貫。
程よいサイズでしかもほどよく厚みもあって、肌はキラキラ。
艶っぽい。
真ん中にススッと包丁を入れてスパッと開いたところは、ハッとするほどうつくしい色。
口にふくむとムワッと広がる青魚独特のむせ返るような香りと風味。
酢〆の状態もほどよくて、酸味が魚の脂をキリッとひきしめる。
ちなみにココのシャリは甘み、旨味よりも酸味が強めのそっけない味。その素っ気なさがネタの持ち味を引き出してくれるところがオモシロイ。

この季節になると思い出したように食べたくなるのが子持ち昆布。そのまま食べるならば数の子だけど、にぎってもらうのならば子持ち昆布…、な感じでたのむ。ザクッと歯切れてパラリとちらかる。しかもプチプチ、ずっと奥歯のところで弾け続ける。困ったことに魚卵の粒の半分くらいは歯茎と唇の間にこびりついてしまうんだけど、それを舌先で引き剥がしながら食べるというのもまた粋なとこ。
小ぶりだけれど玉子がタップリ抱いたシャコに、甘くてとろけるウニの軍艦。どれも良し。

そろそろ〆に向かっていきます。最近の回転寿司や立喰寿司のブームのひとつが「三点盛り」。二点じゃなくて四点でもなく三点盛りというのが日本の人の気持ちをくすぐる工夫。炙り三点とか光り物三点、サーモン三点とかあれこれあって、中でも気を引かれたのが「マグロ三点」。
本マグロの赤身に中トロ、トロと三点。ひんやりとしていてサクッと歯切れる赤身の酸味。とろける中トロ、脂が一瞬にしてとけて甘くなってくトロと、同じマグロでこれほど味わい、食感違うところがオモシロイ。
焼いた穴子をポッテリと。ちょっと苦目のツメがおいしくボク好み。カッパを手巻きでたのんで〆る。海苔のパリパリ、乾いた感じが簀巻で巻いたカッパより強くて口がさっぱりしてくる。数ある立喰寿司の中でも上等なネタと仕事は一級品。ただ、お店の人が真面目でちょっと怖い表情。昔の寿司屋に来たようなカンジがするのはご愛嬌。

 

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