本家橋本の並の天そば

徳島に来る。目的地に向かう前に腹ごしらえ。蕎麦にしました。
「本家橋本」という街の老舗で、かつてはニギヤカであったであろうアーケード商店街の中にある。今は街そのものが萎れてしまって時がとまってしまったよう。徳島って明治6年に行われた人口調査でなんと全国10位の規模。仙台につぐ大きさで近畿圏にほど近く豊かを誇った場所だった。それが今では44位。鳥取、島根、高知、徳島という順番で人口少ない地域になった。大きなコトがいいことじゃない…、それはわかっちゃいるけれどなんだかさみしい。駅前の商店街の姿をみるとそのさみしさがしみじみ深まる。そんな昼。
好きな店です。古くはあるけど掃除、養生行き届きすべてがキレイに整っている。暖簾をくぐった途端に出汁の匂いが漂ってくるというのもステキ。

メニューはいわゆる昔ながらの蕎麦屋のそれ。
ここ一番の名物は冷たい蕎麦にタレを直接かけて味わう、わんこそばとか出雲そばとかと同じ食べ方の「きそば」ではある。
けれどココの天ぷらそばが好きでそれ。
しかも「上」と「並」の二種類があり、けれどココは断じて「並」。
きっぱり「並天」とお願いをする。

上天ぷらは大きなエビを二本普通に揚げた天ぷら。一方、並の天ぷらは小さなエビをかき揚げ状に揚げたのがポンッとのっかりやってくる。
天ぷらの上に刻んだネギと大根おろし。注文すると厨房の中でジューッと衣が落とされる音。それに続いてシュワシュワ蒸気が噴き出す音。最後にカラコロ、油が爆ぜる音が続いて出来上がり。おまたせしましたとやってくる、この一杯にニッコリします。オキニイリ。

天ぷら油の香りがフワッと漂いやってくる。普通の天ぷらに比べて衣が多い。つまりその分、含んだ油の量も多くてつゆにたちまち油が浮かぶ。上天ぷらにはない力強さに「並のものではない並の実力」感じてウットリ。
蕎麦は不思議な蕎麦であります。細い。若干、平たく切られてトゥルンとなめらか。なのにザクザク、歯切れる感じがちょっと独特。伊府麺とか、タリアテッレが持つバッサリとした食感がある。熱い汁の中でどんどん熱が入っていくのに正体なくしてしまうようなコトがなく、麺の一本一本を感じるコトができるのですね。情報量が多いというかなんというか、食べ続けるのがたのしくなるようなオゴチソウ。

汁はひねた香りに何かが焦げたような風味がまじる独特。節が枯れているのかあるいは揚がった衣がたのしい悪さをしてるのか…。
食べはじめると衣が崩れる。
汁を含んでどんどん膨れて最後は大きな天かすみたいになってく。
閉じ込められていたエビは大ぶり。しかもゴロゴロ。
あぁ、贅沢だって気持ちが豊かになっていく。
自然な甘みとふくよかな旨味の汁に天ぷら油のコクがくわわり舌がちょっと疲れてくるのね…、そこで大根おろしをひとつまみ。
辛味の強い大根で、口がさっぱりするのがうれしい。ネギの風味もみずみずしくて、ハフハフズルズル、そしてゴクゴク、丼の中身がきれいさっぱりお腹の中に収まった。850円のうれしい贅沢。

後からやってきたおじさんがザブザブ食べてた他人丼。おいしい出汁をたっぷり含んでふくらんだ玉子の具合がなんと旨そう。その反対側ではココの名物のきそばをまるで飲み込むように食べる人。ちょっとゆっくりしてたいけれど、他の人が食べてるものが食べたくなってしまうから、お店を出ましょう。駅にゆく。

 

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