本と時計とアイスコーヒー

日本橋高島屋の新館4階に「cafe黒澤文庫」ってお店が出来てた。
秋田に本店のあるブックカフェの3号店。2軒目は仙台にある。ブックカフェだけど文庫本だけ…、というのが独特でカウンターに座ると目の前にズラリと文庫本が並べられてる。
基本ディスプレイ。一冊読むと50円。それはチャリティーに回されるんだという仕組み。背表紙を外して並べると、同じ大きさの木の板を並べているみたいに見えてたしかに面白い。読んだことがある本があるかと探してみたけどボクの目の前にはまるでなかった。この世の中にある本をすべて読んだ人っておそらくいないはず。それほど多くの本があるってスゴいこと。
頭の上には壁掛け時計が並んでる。チクタク、音がずっと聞こえてくるですネ。
お店のテーマが「本と珈琲とインクの匂い」と言うことなんだけどこの席に限っては「本と珈琲と時計の音」って感じ。家にいて、時計の音を刻む音がするのは好きじゃない。急かされてるような気がして落ち着かないから、うちには機械式の置き時計は置いてない。

だから時計の音はすごく新鮮。
BGMは軽めのクラシック。
そこに混じるチクタク音はリズムはずれのメトロノームのようでもあって、案外あってる。
オモシロイ。

アイスコーヒーをもらいます。
銀のトレイに小さなビーカー、大きなビーカー。
ガムシロとミルクの入った小さな容器が並べられてる。
ビーカーの中にはコーヒーを凍らせた角氷がギッシリ詰め込まれ、フラスコの中に落としたてのコーヒーが入って添えられる。
フラスコからコーヒー氷の上にコーヒーを注いで冷ますという趣向。理科の授業の実験室のような感覚。悪くない。

小さなビーカーにはストローがささってて、さすがにビーカーを持ち上げて飲むのはお行儀悪いかなぁ…、と思ってストローで飲んでみたけどやっぱりおいしくないからビーカー手にして口つけ飲んだ。
浅煎りの今どき流行りの酸っぱいコーヒー。あとくちスッキリ、お腹を重たくするような酸っぱさではなくほどよくおいしい。
飲んでくうちに大きなビーカーに入った氷が溶けてアイスコーヒーになっていく。香ばしくってそれがおいしく、しかも氷を口に含んでガリガリ噛むと、口の温度でみるみる味が変わってく。おいしいというよりたのしい飲み物。それもよし。
ぼんやりしてたらボーンって時を告げる大きな音がしてハッとする。気づけばほぼ1時間が経っていました。いとまする。

 

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